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coguの工房を訪ねて

工房訪問 coguの工房を訪ねて

2016年2月公開

美しい手彫りの跡に、使いやすいかたち。
「cogu」は、木製のカトラリーやプレートなどをつくる
小さな暮らしの道具のブランドです。
使い手の気持ちを考え、木の個性を大切にしたものづくり。
その背景にある想いを探るべく、つくり手に会いに行ってきました。
知識・技術・経験に裏打ちされたcoguの道具。
取材を終えて自然と頭に浮かんだのは、「信頼できる道具」という言葉でした。




1. coguの魅力


北海道札幌市。
静かな住宅街のなかに、小さな工房をかまえるcogu(こぐ)。
木工職人である中島裕基さんが、奥さまの雅子さんとともに、
6年前に始めた木工テーブルウェアのブランドです。
中島さんがものをつくり、それを雅子さんが発信するという
役割分担で、二人三脚でやっています。

“cogu”という名前には、「木具」「古具」「小具」という3つの意味があるそうです。
「木具」は、家具屋として家具や什器をつくること。
「古具」は、古い木製家具などを修理すること。
そして「小具」は、小さな暮らしの道具をつくること。
この3つを柱に活動をしていこうと、雅子さんと2人で考えて名前をつけました。
大きな家具からスプーン1本まで、木にまつわることを幅広く請け負っています。


coguのinstagram
coguのinstagram(@___cogu)より
現在は主に“小具”の仕事がメインです。
トーストを美味しく食べられるプレートや、赤ちゃんに離乳食をあげるためのスプーンなど、
つくるのはどれも生活に根ざした道具。

中島さんは自身のことを、作品をつくる「作家」ではなく、道具をつくる「職人」であると定義します。
毎日の暮らしのなかで、いかに使いやすい道具であるか。
それが一番大事にしていることだと言います。

使い手の満足のために

大きいスプーン

coguのアイテムはどれも、
中島さんと雅子さんにとっての使いやすさを追求した結果、生まれたかたちです。
カトラリーの柄は細くて長め。
これは、中島さんが幼少期に使っていたスプーンの影響だそう。
「とても使いやすいスプーンだったので、coguのカトラリーも同じような形にしたんです」。

実際に手にしてみると、細いけれど適度な厚みがあって、握りやすいのです。
なにより、細いぶん軽いので、まるで手の一部のように馴染みます。

雅子さんは、自宅で実際にcoguの道具を使用し、その様子をinstagramでも発信。
北海道の凛とした空気のなかで、
美味しそうな料理とともに写るcoguの道具たちは、一層素敵に見えます。
暮らしの中で使われている姿が一番魅力的に映るのは、
やはり実用の道具であるからでしょうか。
雅子さんのお洒落なスタイリングも相まって、
今では3万人以上のフォロワーが集まる人気ぶり。(2016年2月現在)
北海道を中心に活動するcoguが、全国に広まるきっかけになっています。


カトラリーの型
カトラリーの元となる型
しかし、中島さんが何より大事にしているのは、実際に使ってくれたお客さんの声。
「もっとこうして欲しい」という意見があれば、
たった一人の声であっても無駄にせず、改善を重ねます。
その結果、デザインが大きく変わったり、今ではつくらなくなった商品もあるそう。
すべては使い手の満足のために。
それが職人としてものづくりを続ける意味だと、口調を強めます。


使い手のことを第一に考え、生活に寄り添ったものづくりに取り組む中島さん。
しかしcoguを始めるまでは、意外にも“暮らしの道具”とは対極にあるものをつくっていたそうです。
そして自身の生活も、仕事一辺倒で、破天荒だったとか。
一体どんな人生を歩んできたのでしょうか。

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