春のやさしい雨と共に
二十四節気のひとつ「啓蟄(けいちつ)」。
「蟄(ちつ)」とは、虫が土の中にこもること、
「啓(けい)」は、戸を開くという意味を指します。
つまり、虫たちが地上に出てくるということ。
それほどに、これまでの寒さが和らぎ、あたたかな気候になってくる頃ということです。
まもなく、春の花たちもいっせいに花を咲かせるでしょう。
その一方、3月から4月頃にかけては、雨の多い時期でもあります。
関東から西の地方では、しとしとと雨が降り続くこの時期のことを、
「菜種梅雨(なたねつゆ)」と呼びます。
菜の花が咲く頃の雨であることから、その名が付いたそうですが、
別名では「催花雨(さいかう)」とも言うそう。
菜の花をはじめ、さまざまな花を催す(咲かせる)雨という意味です。
いずれにせよ、花を咲かせるための雨なのです。
新生活を目前に控え、胸には期待と不安が膨らみます。
ときに雨が、どこか憂鬱な気分を運んでくる日もあるかもしれません。
けれど、こうして雨が降るたびに、日差しはあたたかくなり、一歩づつ、春に近づいていくのです。
小さな生き物や植物にとっては、このやさしい雨が、成長を促す恵みの雨となるのです。
静かな春の雨の日には、心を落ち着かせ、
これまでのことに向き合い、これからのことを夢見ましょう。
新しい花を咲かせるために。
3月(啓蟄、春分の頃)が旬の食べもの
うど、ふき、あさつき、春大根、わけぎ、にら、つくし、木の芽、わらび、ポンカン、いよかん、きんかん など | |
あじ、ぶり、さより、とびうお、しらうお、はまぐり、もずく、わかめ など |