特集 高橋工芸の工房を訪ねて

4. 高橋工芸の「手」

工程を一通り見てみると、一見たくさんの機械が登場しますが、
乾燥の工程以外は手で固定したり磨いたりと、
実は多くの作業を人の手で行っている高橋工芸。

特に高速で回転するコップの中に手を突っ込んで
サンドペーパーをかける作業は、手に大きな負担がかかります。

ぼろぼろの軍手

軍手をはめていても、すぐに写真のようにぼろぼろになってしまうというから驚きです。

素手で作業する利佳さん

さらに、仕上げの工程を担当している利佳さんは、
なんと軍手をはめずに、素手でペーパーがけを行っています。
「木の状態によって、何種類のペーパーをかければ良いかが異なるんです。
それが手で触ってみないとわからないから、軍手は使いたくなくて。
もちろん手はすぐに切れちゃって、何度も痛い思いをしましたけど」。

二人の手

毎日休み無く、約100点の商品を手でつくる。
冬場は乾燥して血がにじむ日もあるでしょう。
「ペーパーがけするときの手の形にあわせて、
徐々に指が曲がっちゃうんですよ」と秀寿さんはあっけらかんと笑います。
利佳さんも「手だけ見たら、何十歳も上の人だと思われちゃうんです」と笑います。
二人の手を見せてもらうと、失礼ながら、ごつごつでぐにゃぐにゃ。

なぜそんなに手作業にこだわるのか、機械化できる部分はないのでしょうか。
二人に尋ねると、「やっぱり手でしか判断ができないから」と口をそろえます。
「木って日によって、固体によって、ひとつひとつ違うんです。
育った環境や加工の工程が同じでも、同じ状態のものはひとつとして無くて。
だから手で触って確かめて、その木に必要なことを見極めながら作業する。
機械では絶対にできません」。

経験を積んだ人の手でしかできない、感覚での判断。
「『神の手』じゃないですけど、この手だけがすべてを教えてくれるんです」。


50周年記念ポストカード

木と向き合って半世紀。
高橋工芸の50周年を記念してつくられたポストカードには
今も工房で働く職人さんたちのほか、数年前に引退された秀寿さんのお母さんや別事業を担当する息子さん、
現在は大治さんの下でデザイナーを目指す元職人さんの手が写っています。
よく見てみると、やはり職人の皆さんの手は、ごつごつでぐにゃぐにゃです。
年齢に関係なく、関節の部分が大きなタコのように膨らんだり、不自然に曲がったりしています。

しかし、そんな手でしか生み出せないものを高橋工芸はつくり続けてきたのです。
そしてこれからも、つくり続けていくのです。

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