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coguの工房を訪ねて

4. 信頼できる道具


木の道具との付き合い方

coguの道具

こうしてひとつひとつ、丁寧に手でつくられたcoguの道具。
こんなにも手がかけられていると思うと、一瞬使うのをためらってしまうくらいです。
しかし中島さんは、道具なのだから、毎日の暮らしで使われてこそ意味があると言います。
「使ううちに木が乾いてきたら、亜麻仁油やえごま油を塗りこんでお手入れを。
少し面倒ではありますが、クルミを金づちで叩いて出た油を使うこともおすすめしています」。
でも、一番の手入れは毎日使ってあげること。
使う度に油が染み込み、深い味が出てくるのです。

そして木の道具といえば、環境が変わると反ったり、縮んだりするもの。
それが嫌で、木のテーブルウェアには手が出せない、なんて人もいるかもしれません。
中島さんはなるべく狂いがでないように気を配っていますが、
それでも木は環境に応じて変化します。
「木は加工してプレートやカトラリーになった後も、
湿度の変化によって膨張・収縮を繰り返すんです。
だけどほとんどの木は、放っておくと新しい環境に馴染んで、
ゆっくりと元の姿に戻るので大丈夫ですよ」。

木を知り尽くした中島さんからそう言われると、
なんだか安心して木の道具とお付き合いできる気がしてきます。
そして、そんな木特有の癖まで愛おしく思えてくるのです。

木工業界全体の未来をつくる

プレートを彫る
プレートを彫る中島さん。スプーン同様、ベースの形をつくったら、あとはすべて手で彫っています
お話を伺って、中島さんがいかに木についての知識を有し、
経験と技術に裏打ちされた木工職人なのかが見えてきました。
しかし近年、中島さんのような職人は少なくなり、
木工業界全体が衰退してきていると言います。
「最近は5年くらい修行したら、すぐに独立して職人を名乗る人が増えてきました。
たしかに5年でつくることはできるようになりますが、木の性質を見抜く力は身につかない。
あらゆる木を扱ってきた親方のもとで、何十年もかけて学ばないと、
つくったものが、その後どう変化していくかまで予測できません。
そこまでできないと、職人とは言えないと思うんです」。
いい道具をつくれるだけでなく、その後のことまで責任をもつ。
それが本来の職人のあるべき姿なのです。
「だから僕は、これから先、coguを誰かに引き継ぐというよりは、
自分がもつ知識と技術を継承し、少しでも業界全体に寄与できればと思っています」。

毎日の暮らしに欠かせない、食べる道具。
中島さんのような職人がつくるものならば、安心して長い時間を共に過ごせるのではないでしょうか。
coguの道具こそ、「信頼できる道具」と言えるのだと思います。


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