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うつわのいろは うつわのかたち

うつわのかたち


日本の食生活に合わせて生まれた、様々なかたちのうつわ。
和食器は海外のうつわとは比べ物にならないほど、形状のバリエーションがあります。
それぞれの由来や違いを知れば、うつわ選びがさらに楽しくなるはずです。

尚、どのかたちの名称も明確な決まりは無いので、
メーカーやつくり手によって、同じようなかたちや用途でも違う名称の場合があります。
ここでは一般的なものを紹介します。

うつわのかたち 一覧
  • 1.わん(碗・椀)

    「汁わん」や「飯わん」など、
    和食の基本である汁物やご飯を盛るためのうつわ。
    熱いものをよそっても持ち上げやすいよう、高台がついています。
    ちなみに、陶磁器製は「碗」、
    木製は「椀」と、素材によって書き分けます。

    • 汁わん

      ヘラ模様椀 (輪島キリモト)

      味噌汁などの汁物をよそうためのわん。飯わんに比べると、冷めにくいように口が狭い形状のものが一般的です。
      保温性があり、熱を伝えにくい、そして軽量であることから、木製のものが主流。
      漆のものは、抗菌作用があり酸やアルカリにも強く、口当たりも優しいことから、最高の素材として愛されてきました。
      近年はウレタンなどの透明な塗装を施し、木目を楽しめる白木のカジュアルなものも増えました。

    • 飯わん(茶わん)

      平茶わん (白山陶器)

      ご飯を盛るためのわん。汁わんと比べると、口が広がっています。
      また、「茶わん」とも呼ばれています。これは、元々中国から伝わってきたお茶を飲むためのうつわを指していたところ、その後磁器全体を「茶わん」と呼ぶようになり、現在では磁器のなかで使用頻度が高いご飯用のうつわを表す言葉へと変化したことによります。
      磁器や陶器製のものが多いですが、持ち上げた際の手のなじみやすさや軽さ、口当たりのよさが大切です。元々、食事前には伏せておくことから、裏のデザインも重要視させてきました。
      男女でサイズが違うことが多く、セットで「夫婦茶わん」としてつくられているものも。

  • 2.

    主に主菜・副菜などを盛り付けるための平ら、または浅いうつわ。
    洋食器の「プレート」にあたります。
    大きさによって、豆皿(手塩皿)・小皿・中皿・大皿などに呼び方が分かれます。
    大きさについて詳しくは、「うつわの大きさ」のページをご覧ください。 

    • 丸皿

      印判手七寸皿
      (倉敷意匠×kata kata)

      正円の皿。皿のなかでも定番のかたちで、幅広い用途に使えます。ちなみに、正円ではなく楕円形(オーバル)の皿は「楕円皿」と呼びます。

    • 角皿

      角皿 (南景製陶園)

      正方形や長方形、八角形など、角型の皿。横長のものは特徴的な形状の料理を盛るときには欠かせず、特に焼き魚にぴったり。
      そのほか、円形のうつわが多く並ぶ食卓で、全体を引き締める効果も狙えます。

    • 縁付き皿

      輪花つなぎ 平皿
      (九谷青窯・徳永遊心)

      縁の部分が一段立ち上がっている皿。洋食器では「リム皿」と呼びます。
      縁の部分に装飾などが施されていることが多く、料理をのせても隠れずに楽しめます。

    • 深皿

      葉と実 深皿 (九谷青窯・高 祥吾)

      縁が少し立ち上がっていて、深さのある皿。
      鉢ほどの深さはありませんが、多少の汁物も受け止めてくれるので、煮物などをよそうときに便利です。

    • 縁高皿

      プレート / プレート ミニ(HASAMI)

      中央が平らで、縁が高くなっている皿。料理が盛りやすい形状です。
      ワンプレートで様々な料理を盛り付けるときにもおすすめ。

    • なます皿

      NAMASU (amabro)

      生肉や魚、野菜を細かく刻み、酢であえた“なます”を盛るために、江戸時代に生まれた、少し深さのある5寸前後の皿。
      程よい大きさと深さが使いやすく、なます以外にもおかずを盛りつけるのに重宝されています。

  • 3.

    皿よりも深さのあるうつわ。
    主に主菜・副菜を盛り付けるために使われます。
    深さがあることで、汁気のあるものに向きます。
    洋食器の「ボウル」にあたります。
    一般に、直径10cm前後のものを「小鉢」、
    24cm以上のものを「大鉢」、その中間を「中鉢」と呼びます。

    • 丸鉢

      藍駒 大鉢 (馬場商店)

      正円の鉢。鉢のなかでも定番のかたちで、幅広い用途に使えます。

    • 角鉢

      寂がらし釉 八角鉢 (tsudoi)

      正方形や長方形、八角形など、角型の鉢。シャープなシルエットが見所です。
      円形のうつわが多く並ぶ食卓で、全体を引き締める効果も狙えます。

    • 切立鉢

      小鉢 (瑞々)

      縁が垂直に近い立ち上がりをしている鉢。
      見た目以上に容量があり、汁物も安心して盛り付けられます。

    • どんぶり(鉢)

      いろは 平丼 (馬場商店)

      ご飯とおかずを一緒に盛った「丼物(どんぶりもの)」を盛るための鉢。
      飯わんをそのまま大きくしたようなかたちが一般的です。
      うどんや蕎麦など、麺類を盛る際にも使われます。
      蓋付きのものもあります。

    • 小付

      SHIHOU 四方 小付 (白山陶器)

      小鉢よりも一回り小さな鉢で、ウニやカラスミなどの珍味入れに使われてきました。
      丸型や角型、凝ったデザインのものが多いことも特徴。
      もちろん珍味にこだわらず、ちょこっとしたおつまみや納豆、デザートなどを入れても。

    • 鉄鉢(てっぱち)

      寂がらし釉 赤飴釉 鉄鉢 (tsudoi)

      口がやや締まった、丸い鉢。僧が托鉢(たくはつ・修行中に食べ物などを乞うこと)で、食べ物などを受けるのに用いられた鉄の鉢が由来。
      存在感のあるかたちが特徴的で、煮物などを盛るのに向いています。

    • すり鉢

      すり鉢、すりこぎ (東屋)

      内側に「櫛目(くしめ)」と呼ばれる溝が彫られた鉢。
      胡麻などの食材をすりつぶすための調理器具として使われますが、そのままうつわとして食卓に出して風情を味わっても。
      すりつぶす際には、木の棒「すりこぎ」とセットで使用します。

    • 片口

      色絵みかん 片口3.5寸鉢
      (九谷青窯・徳永遊心)

      縁の一箇所に注ぎ口がついた鉢。
      元々は液体を移し替えるときに使う道具でしたが、今はおかずを盛るための鉢として使われます。
      口があることで、納豆や卵などをかき混ぜて、かけるときに便利。
      口をうつわのアクセントとし、独特のフォルムを楽しんで。
      また、お酒の注器としても用いられます。

  • 4.酒器

    酒を供したり、飲むときに使われるうつわ。
    和食器の場合は、主に日本酒のためのうつわとしてつくられています。
    日本酒を飲むためのうつわは、
    サイズ・形状により「お猪口」「ぐい呑み」「盃」に分けられますが、
    総称して「盃」や「酒杯・酒盃(しゅはい)」と呼ぶことも。

    • 徳利(とっくり)

      参考画像

      日本酒を注ぐための注器。首の部分がすぼまっていることが特徴。
      注ぐときに「とくり、とくり」と音がすることから名付けられ、なまって「とっくり」と呼ばれています。
      尚、酒を注文するときに徳利のことを「銚子」と呼ぶことがありますが、実は本来二つは異なるもの。
      銚子は持ち手が付いた急須に似たような形状で、祝いの席などで使われます。

    • お猪口(ちょこ)

      参考画像

      日本酒を飲むためのうつわ。
      ぐい呑みよりも一回り小さいものを指します。
      「ちょっと」の語源である「ちょく」から生じた言葉です。

    • ぐい呑み

      色絵みかん ぐいのみ
      (九谷青窯・徳永遊心)

      日本酒を飲むためのうつわ。
      お猪口よりも一回り大きいものを指します。
      「ぐいっと飲む」ことから名付けられたという説が一般的。

    • 盃(さかずき)

      参考画像

      浅い皿状のかたちが特徴の、日本酒を飲めためのうつわ。
      神前の結婚式で三々九度の際に用いられるなど、現代では神事や祝い事での使用が多いかたちです。

  • 5.茶器

    お茶を供したり、飲むときに使われるうつわ。
    和食器の場合は、主に煎茶や番茶、ほうじ茶などの日本茶のための
    うつわとしてつくられています。

    • 急須

      平急須 横手 (東屋)

      お茶を淹れるための道具。注ぎ口とほぼ直角に持ち手が突き出している「横手」が基本。
      注ぎ口と持ち手が一直線になった「後手」もあります。
      主に煎茶を淹れるときに使い、常滑焼や萬古焼の急須が有名です。

    • 土瓶

      参考画像

      お茶を淹れるための道具。
      胴に注ぎ口が付き、上部に藁や竹などの「弦(つる)」と呼ばれる持ち手が付いています。
      急須に比べて容量が多く、大人数用のほうじ茶などを淹れるときに使います。
      元々は陶器製が主であったため「土」の文字がつきますが、明治以降は磁器製のものが出回るようになりました。
      尚、土瓶を使った蒸し料理「土瓶蒸し」にも使われます。土瓶蒸し用の土瓶は耐熱の陶器製で、中の料理が食べやすいように口径が大きく、浅型になっています。

    • 切立湯呑(湯呑茶わん)

      切立湯呑 (東屋)

      筒型で細長い湯呑。
      容量が大きめであることに加え、お茶が空気に触れる面積が狭く、冷めにくいことが特徴。
      番茶やほうじ茶など、たっぷり飲みたいお茶の場合でも、温かいまま楽しめます。

    • 汲出し湯呑
      (汲出し茶わん)

      汲出し湯呑 (東屋)

      口が広く、腰が張っている湯呑。
      元々は茶道で白湯などを出すために用いられていました。
      口が広いことで、お茶の色を楽しめます。
      容量は少なく、煎茶を飲むときに適しています。

    • 茶托

      茶托 (南景製陶園)

      湯呑の下に敷く受け皿。茶を託すことから名がつきました。
      主にお客様にお茶を出すときに、相手への敬意や思いやりを表して茶托を用います。
      湯呑との組み合わせを楽しんで。

  • 6.その他

    他にも和食器ならではの形状のうつわがあります。

    • 蕎麦猪口

      そば猪口 (馬場商店)

      酒を飲むためのお猪口を、そのまま大きくした円筒形や逆台形のうつわ。元々、祝儀や会席の膳で刺身などを盛って出す小鉢でしたが、江戸時代に蕎麦つゆを入れるうつわとして広まりました。
      現代でも、蕎麦つゆ入れや小鉢として、またデザートカップや湯呑として、幅広い用途に使える万能なうつわとして人気です。

    • 蓋物・壺

      蓋付きポット (小石原ポタリー)

      蓋付きの容器。主に食品を保存するための道具で、蓋があることで乾燥を防ぎます。
      大きなものは味噌や漬物などの保存に、小さなものは調味料や薬味を入れて食卓へ。



※参考書籍:
「食の器の事典」荻野文彦著(柴田書店)
「民藝の教科書① うつわ」久野恵一監修/萩原健太郎著(グラフィック社)
「美しいうつわ」成美堂出版編集部(成美堂出版)

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