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BOTANICAL LIFE 03

季節感を手軽に気軽に— 切り花編 —

2021年10月公開

四季折々の植物を気軽に暮らしに取り入れたい。
そんな人には、気分に合わせて手軽に取り換えられる「切り花」がおすすめです。
1輪からボリュームのあるブーケまで、楽しみ方はさまざまですが、
切り花の基本的な扱い方や生け方のコツを知っておくと、
花がより長持ちしたり、いつもよりちょっと上手に生けることができたり、
切り花のある生活をもっと楽しめるようになるはずです。

花を生ける前の下処理から日々のお手入れ、
さらには、花器のかたち別にポイントを押さえながら
生け方のアレンジ例をたっぷりご紹介します。



  • Q1.生ける前に下処理は必要?

    切り花が弱ってしまう一番の理由は、水不足です。
    花や上の方の葉にまでしっかり水を吸い上げられるよう、簡単な下処理をしましょう。

    • 茎の先を切り落とす

      茎の切り口が新しいほど水の吸い上げがよくなります。花器に合わせてサイズを調整することも兼ねて、生ける前に茎先を切りましょう。水に触れる面積を増やすため、切り口が斜めになるように切り落とします。

    • 余分な葉を落とす

      水に触れる部分が多いほど雑菌が繁殖しやすくなり、花持ちが悪くなるため、水に触れる葉は落としてしまいます。また、葉が多いほど花まで水が行きにくくなるので、バランスを見ながら余分な葉は取ります。

    • 枝ものは割る・削る

      切り花に比べ、枝ものはより水を吸い上げにくいのが特徴。花器の大きさに合わせて枝先を切るだけでなく、先から5cm程度まで十字に割り、さらに皮を剥いで内側の繊維が直接水に触れるようにします。

    \ あると便利! /

    秀久 ステンレス万能剪定鋏 (外山刃物)
    長さの調節や茎先を切り落とすために必要なハサミ。花の茎には水が通るための導管がありますが、切れ味の悪いハサミを使うと導管を潰してしまい、水の吸い上げが悪くなってしまいます。「秀久 ステンレス万能剪定鋏」なら、直径1cm程度の枝までスパッと切れて、切り花から簡単な剪定まで使えます。ステンレス製なので、お手入れが簡単なのもうれしいところ。

  • Q2.花器のかたちで生け方は変わる?

    花器との組み合わせを考えるのも切り花の楽しみの一つです。
    生け方の正解はありませんが、いろいろなアレンジ方法を知ると
    自分の好きなバランスを見つけるヒントになるはず。
    コップのように口が広がっていたり、ストンとした円筒形のもの、
    一輪挿しや空き瓶のように口が狭いもの、ちょっと変わった口が横長のもの、
    かたちの違う4種類の花器別に、
    1種類の切り花を使ったシンプルな生け方と、いくつかの種類を組み合わせた豪華な生け方、
    2パターンのアレンジをご紹介します。

    コップや口広の花器の場合

    コップのように口に向かって広がっていたり、ストンと円筒形など、口が広いタイプは、
    口の高さに花がのるように長さを調節すると、安定感が出てバランスが取りやすくなります。
    ボリュームのあるブーケにもおすすめ。

    \ シンプルに! /

    少ない本数を生けると寂しい印象になりがちな口広の花器。
    同じ種類の花を1~2本生けたいときは、
    1本の茎からいくつも枝分かれしているスプレー咲きのものを選ぶと、
    少ない本数でもボリュームが出ます。
    茎が長いまま放射状に生けるとパラパラした印象になってしまうので、
    花瓶の縁に花がのる長さに茎を切り、一方に花を集めると存在感のある仕上がりに。
    ▶使用したのは……アストラティア

    POINT!

    スプレー咲きの場合も、そのまま茎を短くするだけでなく、枝分かれしている部分を花瓶の高さに合わせて切り、集めて生けるとボリュームよくまとまります。

    \ ちょっと豪華に! /

    アレンジされたボリュームのあるブーケを、
    そのままのかたちをキープしながら飾れるのが、口広の花器のいいところ。
    口の高さに花がのるように長さを調節し、まっすぐ入れるといいバランスに。
    茎を縛ったままだと蒸れたり、水の吸い上げが悪くなるので、紐や輪ゴムなどは取ります。
    一般的にアレンジされたブーケはすぐにバラけないようらせん状に組まれているので、
    花のすぐ下を持つようにすれば、水替えのときでもかたちを保てます。
    ▶使用したのは……アストラティア、アルストロメリア、アンスリウム、オヤマボクチ、バラ、ハレニウム、ラクスパー、レースフラワー、レモンリーフ、ユーカリ

    口が狭まった花器の場合

    口広の花器に比べ花が1~2本でも立たせやすく、そのうえブーケも飾れる
    初心者におすすめの使い勝手のいいかたちです。
    花器の高さと花器の外に出た部分の花の長さが1対1になるよう長さを調節すると、
    バランスよく収まります。

    \ シンプルに! /

    枝ものを1本差すだけでも様になります。
    基本は花器の高さと花器の外に出た部分の長さが1対1のバランスですが、
    広がって枝分かれしていたり、葉や実が枝の上の方にまとまっているような場合は、
    少し長めにしてもまとまります。
    ▶使用したのは……カクレミノ

    \ ちょっと豪華に! /

    ブーケとまではいかなくても、質感やかたちの違うタイプの花を5本くらい生けると
    それぞれを引き立てあって華やかな印象になります。
    色のトーンを合わせると、まとまりやすくなります。
    ▶使用したのは……アンスリウム、ガーベラ、セダム、マリーサイモン、ラクスパー

    POINT!

    数種類の花を生ける場合には、以下のように役割の違うものを選ぶのがポイント。写真を参考に選んでみましょう。

    1 縦長で背景になる花(ラクスパ)
    2 ボリュームを出す花
    (マリーサイモン)
    3 顔があり目を引く花(セダム)
    4 顔があり目を引く花(ガーベラ)
    5 アクセントになる個性的な花
    (アンスリウム)

    3と4の役割は同じですが、花の咲き方や色が違うなど、タイプを変えることでバランスがよくなります。
    また、5の「個性的」というのは人それぞれですが、例えば、他の4本にはない光沢があるものや、かたちが複雑でユニークなものなどをイメージして選んでみてください。

    一輪挿しや空き瓶の場合

    瓶のように口がきゅっと細くなった花器は、1輪向き。
    口が狭いので、複数本生けたい場合は、茎が細い植物を組み合わせましょう。

    \ シンプルに! /

    シンプルに一輪挿しとして(左)。花器と花器の外に出た部分の長さを1対1にします。
    高さのある花器の場合、ツタを垂らすように生けるのも素敵です(右)。
    ▲使用したのは……クレマチス(左)、リキュウソウ(右)

    POINT!

    口の周りは葉を落とすなどして余白をつくると、よりすっきりとした印象に仕上がります。

    \ ちょっと豪華に! /

    同じ花を2本と葉ものを1本、花の高さを変えて生けると、
    細長い花器の凛とした雰囲気を生かしつつ華やかさが出ます。
    口が細いので、茎の細いものを選びましょう。
    ▶使用したのは……ベロニカ、クサソテツ

    口が横長の花器の場合

    口が横長の花器は一見難しそうに思えますが、横長のかたちを生かし、
    思い切って角度をつけて生けると、一気に垢抜けておしゃれな印象になります。

    \ シンプルに! /

    顔の大きな花を2~3本、斜めに飛び出すように生けると、
    すっきりとしつつ、立体的で動きのある表情が出ます。
    ▶使用したのは……ポンポンピンク

    POINT!

    側面に茎の先を引っかけると、斜めに生けることができます。思い切って角度をつけることで、花器の周りの空間を生かした生け方ができます。

    \ ちょっと豪華に! /

    ミニブーケを斜めに生けると、洗練された雰囲気に。
    横広のかたちを生かして、全体的に流れるような動きをつくるのがポイントです。
    ▶使用したのは……アストロメリア、セダム、セルリア、ヒメヒゴダイ、ユーカリ

    POINT!

    真っすぐ生けると、どことなくもさっとした印象に。口が横長の花器は、少し口部分に余白をつくるとすっきりと見えます。

  • Q3.花を長持ちさせるには?

    水がうまく吸い上げられないと、切り花が弱ってしまいます。
    日々のお手入れでは、清潔な水を切らさないことや、
    水を吸い上げやすい状態を保つことが大切です。

    • こまめに水を替える

      水に雑菌が繁殖すると茎の切り口が傷み、水を吸い上げにくくなってしまいます。水はこまめに替え、清潔な状態を保つようにしましょう。茎が水に浸る部分が多いほど傷みやすいので、水は花器の1/3~1/2量を目安にします。切り花の量が多いほど水を必要とするので、切り花の量に合わせて調整を。
      また、枝ものの場合には水を多く吸い上げるので、水は花器いっぱいに入れてください。

    • 水替えのタイミングで茎の先を切る

      切り口が新しいほど水を吸い上げるため、水替えの度に茎先を1cm程度切り落とします。水に触れる面積を多くするため、切り口が斜めになるように切ってください。

    \ あると便利! /

    除菌・消臭スプレー(A2Care/エーツーケア)
    茎の切り口を傷みにくくするには、除菌剤を使うのもおすすめ。水を替え茎先を切って新しくしたら、除菌剤を吹きかけます。「A2Care」の「除菌・消臭スプレー」は、無色・無臭で、水と同じくらい安全な除菌剤。アルコールや塩素系だと切り花自体もダメージを受けてしまいますが、これなら気兼ねなく使用できます。

  • Q9.こんなときはどうしたら?

    • 水を替え、茎を切っても元気がない……

      基本的に茎が短ければ短いほど、水が揚がりやすいので、思い切って短くすると元気になる場合があります。

    • 茎を切っているうちに、だいぶ短くなってきた……

      茎先を切っていくうちに短くなってきたら、花器のサイズ替えて生けなおすと、また違った表情になり楽しめます。そのためにも、花器は大きなものから小さなものまで揃えておくと、茎を切り揃えながら長く楽しむことができます。コップやマグカップ、ときにはぐい呑みなどを使っても。花器と切り花の自由な取り合わせを楽しみましょう。

北中植物商店のこと

東京都三鷹市大沢の野川沿いにある
夫婦2人で営む植物店。
造園家である北中祐介さんが「庭部門」、フローリストである小野木彩香さんが「花部門」を担当。店舗での植物の販売だけでなく、庭づくりやウェディング、店舗装飾も手がけ、庭から盆栽、観葉植物、生花やドライボタニカルまで、植物との暮らし方を幅広く提案しています。
公式サイトはこちらから。

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