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BOTANICAL LIFE 04

時間を味方に— ドライボタニカル編 —

2021年12月公開

花が咲き、実をつけ、季節ごとに移り変わっていく植物の世界。
四季折々を飾る美しい姿を、いつでも楽しみたい。
とは言え、生花だと日々のお手入れに手が回らない……。
そんな人におすすめしたいのが、「ドライボタニカル」です。
ドライボタニカルとは、丁寧に乾燥させ、美しい姿をとどめた植物のこと。
もちろんドライにしても、少しずつ色が落ち、ゆっくりと朽ちてはいきますが、
その変化していく姿も味わい深く、また魅力があるのです。

植物の美しさを上手にとどめつつドライにするコツから、
クリスマスのミニスワッグやお正月の注連縄飾りなど、
暮らしへの取り入れ方までご紹介します。



  • Q1.上手にドライにするには?

    「ドライボタニカル」と「枯れた植物」は、別の物。
    美しい状態をとどめながら乾燥させるには、押さえておきたいポイントがあります。

    1.新鮮な植物を使う
    ドライにするからと言って、しばらく生花として飾っておいたものをドライにすると、変色したり、花びらや実が落ちやすくなってしまいます。摘んだり切り分けたりしてから時間が経っていないもの、買ってきてすぐのフレッシュなものを使いましょう。

    2.水を吸わせて
    シャキッとさせる

    美しい状態をとどめたままドライにするためには、元気な状態から乾かしはじめるのが大切。少し元気がないと感じたら、たっぷり水を入れた容器に立たせ、しゃきっとするまで水を吸わせます。基本的にお花屋さんでは元気な状態で売られているので、買ってきてすぐのフレッシュなものは、この工程を省いても大丈夫です。

    POINT!

    バラなどのように八重咲きのものは、つぼみだと乾きにくいため、ある程度開花させてからドライにします。とはいえ、満開まで待つと花びらが落ちやすくなってしまうので、写真のような五分咲きが理想的です。

    3.逆さに吊るす
    逆さに吊るして乾かすと、重力で茎が真っすぐ伸びた状態でドライになり、飾るときに扱いやすくなります。

    4.直射日光と湿度を避ける
    日が当たると色が褪せやすいので、直射日光を避け、壁から離した場所に吊るしてください。壁に植物が当たると蒸れてカビが生えたり、乾きが遅く変色の原因に。茎が乾いてかたくなったら完成です。2週間が目安。

    POINT!

    植物によっては、変色して茶色くなってしまったり、
    花びらや実が落ちやすいものもあります。
    基本的に、生花からドライになるまでの時間が短いほど、きれいに仕上がります。
    つまり、花びらや葉、実が肉厚で水分を多く含むものなどは、やや難易度が高め。
    また、同じ植物であっても、出回りはじめのものより旬の終わりに収穫されたものの方が
    水分量が少ないため、ドライにしやすいという傾向があります。
    ただ、ぱっと見ただけでは判断が難しいので、
    ドライボタニカルに向いているか否かは、お花屋さんに相談するのがおすすめです。

    • ▲植物によっては、生花とほぼ変わらない状態でドライになるものもあります。写真はスターチス。

    • ▲生花とドライの変化が大きいものもあります。色が変わり、きゅっとボリュームがダウン。写真はバラ。

    \ あると便利! /

    ピンチハンガー (家事問屋)
    軽い力で大きく開いて重いものでもしっかりホールドする、フックにこだわったハンガー。オールステンレス製で佇まいも美しいから、植物を吊るして乾かしている姿もインテリアの一つに。ピンチの数で「6」、「10」、「16」と選べます。

  • Q2.ドライボタニカルをどう楽しむ?

    四季折々の植物を長く楽しめるのが、ドライボタニカルのいいところ。
    花瓶に飾るのはもちろん、水が必要ないからこそ、いろいろな楽しみ方が可能です。
    今回は、少ない材料で手軽にできるクリスマスのミニスワッグと、
    お正月の注連縄飾りのつくり方、
    さらには、ちょっとしたアイデアで素敵なインテリアになる
    ガラス瓶に飾るアレンジをご紹介します。

    クリスマスのミニスワッグに

    束ねた植物を吊るして飾るスワッグ。
    スギなどの常緑針葉樹をベースに、赤い実を散らせばクリスマスの飾りにぴったりです。
    空気が乾燥している冬は、かたちをつくりやすい生花の状態で束ねて、
    飾りながらドライにしても大丈夫。
    長さ約30cmのミニスワッグなら、はじめての人でも気軽につくることができます。
    使う植物は、たったの4種類。
    グリーンのアクセントとして入れる「コニファー ブルーアイス」が、
    爽やかに香るスワッグです。

    <材料>仕上がりの長さ約30cm
    1 ヒムロスギ(長さ約60cm)…1本
    2 コニファー ブルーアイス
    (長さ約50cm)…1本
    3 リュウカデンドロン プルモサス
    …1本
    4 野バラの実…3本
    5 輪ゴム…2本
    6 リボン(長さ約60cm)…1本
    7 ワイヤー(長さ約15cm)…1本
    ※ヒムロスギとコニファーは、切り分けて使用するため、枝分かれしている枝が長く、多いものを選びましょう。

    1.ヒムロスギを、枝分かれしている部分で5本に切り分けます。

    2.コニファーを切り分けます。今回は、完成サイズが30cmなので、30cm、20cm、15cmの長さを意識して3本程度に切り分けます。

    3.ヒムロスギ、コニファーともに、持ち手となる部分をつくります。枝の下部約7cm分についた余分な葉を取ります。

    4.長い枝から順番に、ヒムロスギ、コニファー、ヒムロスギ、コニファー……と、全体が菱形になるよう、少しずつ左右にずらしながら重ねていきます。

    POINT!

    ヒムロスギを4本、コニファーを3本重ねたところ。だいたい菱形になりました。

    5.野バラの実を、バランスを見ながら差し込みます。

    6.さらに真ん中にリュウカデンドロンをのせ、その茎を隠すようにヒムロスギをのせます。持ち手部分の枝先を切り揃えます。

    7.輪ゴム2本をまとめて使い、スワッグのくびれ部分を縛ります。枝が乾いて細くなっても抜けないように、輪ゴムを使用します。

    POINT!
    • ①1~2本の枝に輪ゴム2本をまとめて通します。

    • ②くびれ部分まで輪ゴムを移動させ、枝全体を2~3周巻きます。ドライになると枝が細くなるので、きつめに巻いてください。

    • ③輪ゴムの端を枝1~2本に下から引っかけて固定します。

    8.壁などに吊るすときに必要なフックをつけます。ワイヤーをU字に曲げ、直径1.5cm程度の輪を残してねじり、ねじった部分をさらに折り曲げます。写真の矢印の向きに輪ゴムに差し込みます。

    9.輪ゴムを隠すようにリボンを2回ほど巻いて、スワッグの後ろ側で結びます。

    10.完成です。飾りながらドライにしていきます。



    お正月飾りとして

    年神様をお迎えするための正月飾り・注連縄。
    市販の注連縄に、南天や松、ヒカゲカズラなど、おめでたい植物と
    水引を組み合わせれば、見違えるように素敵なお飾りに。
    玄関先はもちろん、室内でインテリアとしても飾りたくなります。

    <材料>直径約18cmの注連縄の場合
    1 南天…1本
    2 ヒカゲカズラ…1本
    3 松…1本
    4 松ぼっくり…1個
    5 注連縄(リース状)…1個
    6 水引(長さ90cm)…5本
    7 ワイヤー(長さ40cm)…2本
    ※使用する植物の長さや大きさは、注連縄のサイズに合わせてご用意ください。

    1.松ぼっくりにワイヤーを巻きます。

    POINT!

    松ぼっくりの鱗片に引っかけるようにくるりとワイヤーを2周程度巻き、中央で合わせて3回くらいねじって固定します。

    2.水引のかたちをつくります。まず、水引の真ん中あたりをもち、片方でくるっと輪をつくります。

    3.もう片方で2より小さめの輪をつくり、ワイヤーを巻いて固定します。

    4.注連縄に3の水引をのせて、水引につけたワイヤーで巻き、固定します。

    5.ヒカゲカズラ、松、南天を、それぞれがよく見える配置で、バランスを見ながらのせます。

    6.松ぼっくりをのせ、松ぼっくりについているワイヤーで巻き、すべての植物と一緒に固定します。余ったワイヤーの端と端をつなげ、リング状にフックをつくります。(写真は裏側から見たところ)

    7.完成です。飾りながらドライにしていきます。



    ガラス瓶にディスプレイ

    ドライボタニカルを花瓶に差したり、吊るして飾るのももちろん素敵ですが、
    ガラス瓶に入れた姿は、ガラスのきらめきも加わって、
    思わずときめく美しさです。
    蓋つきだから埃除けにもなり、ずぼらさんにもおすすめの飾り方です。

    左:標本用につくられた「タコ瓶 200cc」に赤い実を入れたところ。
    中:「イカ瓶 350cc」に1本ずつドライボタニカルを差し込み、最後に茎部分だけ引き出して束ねたもの。
    右:「キャニスター」に斜めに立てかけたドライボタニカルの茎を隠すように、花びらを入れてボリュームを。

  • Q3.こんなときはどうしたら?

    • できるだけいい状態で保管したい……

      ドライボタニカルは、一度ドライになっても、空気中の湿気などを吸ったりすることで、少しずつ朽ちていきます。梅雨時など湿度の高い時期、すぐに飾らない場合は、お菓子用のシリカゲルなどと一緒に密封できる容器に入れておくと、変色防止になります。

    • いつまで飾り続けるか判断に迷う……

      朽ちていく姿もドライボタニカルの醍醐味とは言え、茶色く変色し埃がかぶった状態になったら片づけどき。だいたい3~4ヵ月が目安です。春夏秋冬、それぞれの季節にドライボタニカルをつくり、楽しむ。まずはそんなイメージで、はじめてみてはいかがでしょうか。

北中植物商店のこと

東京都三鷹市大沢の野川沿いにある
夫婦2人で営む植物店。
造園家である北中祐介さんが「庭部門」、フローリストである小野木彩香さんが「花部門」を担当。店舗での植物の販売だけでなく、庭づくりやウェディング、店舗装飾も手がけ、庭から盆栽、観葉植物、生花やドライボタニカルまで、植物との暮らし方を幅広く提案しています。
公式サイトはこちらから。

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