オリジナルフライパン製作記_毎日使いたくなるフライパンを目指して | 読みもの | cotogoto コトゴト
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オリジナルフライパン製作記毎日使いたくなるフライパンを目指して

2023年2月公開

 

cotogoto10周年を記念し、「毎日の料理が快適に、楽しくなるように」という想いから、
フッ素樹脂(テフロン)加工のオリジナルフライパンをつくりました。
その名も「日々のフライパン」。
扱いやすく、安全性の高いフライパン製造に精通している
「ウルシヤマ金属工業株式会社」にお願いし、
試行錯誤をしながら、自信を持っておすすめできるものが完成しました!
製作を開始したきっかけをはじめ、
「毎日使いたくなるフライパン」を目指したどり着いた多くのこだわり、
それを実現した高い技術力について、詳しくご紹介します!


扱いやすく、料理が楽しくなるようなフライパンがほしい

日々のフライパン

▲オリジナルフライパン製作の第1回目打ち合わせでは、まずサイズやかたちを検討しました

日々のフライパン

▲フッ素樹脂加工のフライパンだけでも、サイズやかたちはさまざま。どのサイズ、かたちが使い勝手がいいのか探りつつ、オリジナルフライパンのイメージを具体的にしていきます

日々の調理で毎回使うと言ってもいい「フライパン」。
使用頻度の高い道具だからこそ、かたちやサイズ、素材の種類が幅広く、
cotogotoスタッフをはじめ、お客さまからも
「自分に合ったフライパン選びに悩んでいる」という話をよく耳にしていました。

特にフッ素樹脂加工のフライパンは、使い勝手がいい分寿命が短かったり、
好みの佇まいのものがなかったり、
スタッフの多くが“とりあえず”で選んできた道具でもありました。

「コンロの上に出しっぱなしにしても素敵で、消耗品だけどできるだけ長くつき合っていける。
かつ、毎日の調理が快適に、楽しくなるようなフライパンがほしい」
そんな想いが強くなったのが、オリジナルフライパンの製作がスタートしたきっかけでした。

力を借りたのは、フライパンを知り尽くしたウルシヤマ金属

日々のフライパン

▲オリジナルフライパン製作に尽力してくれた金子さん(左)と、現場の技術について教えてくださった斎藤さん(右)

日々のフライパン

▲私たちのイメージを伝えると、さまざまなフライパンを例に新たな提案をしてくれ、よりオリジナルフライパンの構想が固まっていきました

スタッフの要望がたくさん詰まった理想のフライパンづくりに力を貸してくれたのは、
アルミフライパンを鋳造からコーティングまで一貫して製造できる、
日本では数少ないメーカーの「ウルシヤマ金属工業株式会社」。
新潟県の西蒲区(にしかんく)赤鏥(あかさび)に工場を構え、
高い技術力を活かしてさまざまな調理器具を生み出しています。

中でもフライパンへの取り組みは熱く、20を超えるブランドを生み出すほど。
そんな深くフライパンを知り尽くしたノウハウや技術力は
タッグを組むにはぴったりの相手だったのです。

「毎日使いたい理想のフライパン」ができました!

日々のフライパン

▲側面が黒いものが「IH用」(左)。アルミの素材感が際立つのが「ガス火用」(右)です。どちらも手前から「20cm」、「26cm」

プロジェクトがスタートしたのは2021年9月。
何度も打ち合わせをし、「理想のフライパン」の構想を練り、多くの試作を繰り返しました。

そしてついに完成したのが、使い勝手と耐久性、佇まいを意識した
フッ素樹脂加工のフライパンです!

現代のキッチン事情に合わせて「ガス火用」と「IH用」の2種類をご用意。
サイズは、調理するシーンや家族構成、スタッフの声などから幅広いシーンで使えるよう、
お弁当用や副菜などちょっとした調理に便利な「20cm」と、
家族分のおかずがしっかりつくれる「26cm」を揃えました。

多くの人にとって「ついつい手が伸びて使ってしまうフライパン」として
毎日の調理で活躍してもらえるようにと想いを込めて、「日々のフライパン」と名づけました。

  1. こだわり
    美味しく仕上がる熱伝導性のよさ

    日々のフライパン 日々のフライパン

    ▲「日々のフライパン」の厚みの図。「ガス火用」、「IH用」共に側面は薄く、底面は厚い造りですが、「IH用」はIHクッキングヒーターが感知できるよう「ガス火用」より底面が厚くなっています

    複雑なかたちでも成形できる「重力鋳造」のおかげで、
    「日々のフライパン」は底面は厚く、側面は薄いつくりになっています。

    底面に厚みがあることで、熱をしっかり蓄え、食材に素早く、ムラなく熱を伝えます。
    料理を美味しく仕上げるときに重視される一つが、熱伝導性。
    熱伝導性がいいと、食材に均等に火が通るから、
    「一部分だけ焦がしてしまった!」なんてこともなくなるのです。

    Pick Up!
    「重力鋳造」について

    ▲「重力鋳造」で成形している様子

    「重力鋳造」は、ドロドロに溶かしたアルミを金型に流し込み、重力のみで成形する方法です。
    アルミの流し込みは、一つ一つ職人による手作業。

    つくり方を聞くと単純な作業に思えてきますが、
    つくるものによって流し込む速度に技術が必要なのだといいます。
    フライパンのようなカーブを描いたものは、ゆっくり流れていきますが、
    側面が垂直に近いものだと流れが速くなり、均一な厚みにするには難しいのです。

    人の手で流し込むことで、アルミがゆっくり均一に金型に入っていきます。
    アルミが固まっていく過程で、重力によって徐々に空気が抜けていき、
    気泡などの凹凸がなく、高気密に仕上がります。

    その仕上がりのおかげで、フッ素樹脂のコーティングの吸着率が上がり、
    加工が剝がれにくいフライパンになるという耐久性も実現しているのです。

  2. こだわり
    耐久性の高いフッ素樹脂加工

    日々のフライパン

    ▲最高級のフッ素樹脂を使用しているため、一般のフッ素樹脂加工のフライパンでは使えない、金属製のキッチンツールも使えるのです

    フッ素樹脂加工がされたフライパンは
    コーティングの剝がれによる寿命があり、どうしても消耗品となってしまいます。

    とはいえ、「愛着を持って、できるだけ長く使っていただきたい」という
    道具を愛する私たちの想いが強くありました。
    そこでおすすめされたのが、テフロン(※)の最高グレードである「プラチナプラス」。

    プラチナプラスは耐久性だけでなく、耐摩耗性、耐蝕性が高いため、
    一般的なフッ素樹脂加工のフライパンでは使えない、
    金属製のキッチンツールを使うことができるのが大きな特徴。

    他にも食材離れや汚れ落ちも続きやすく、
    長く使い続けることができると聞いて、即採用となりました。

    Pick Up
    テフロンのグレードについて
    日々のフライパン 日々のフライパン

    ▲「プラチナプラス」のコーティング層のイメージ。層の多さやその厚みによって、加工の強度が上がっていきます

    フッ素樹脂加工は、2~3層に分けて表面を塗装しています。
    塗料の質や厚みが増すごとに耐摩耗性や耐久性が高まり、グレードも上がっていくのです。

    「プラチナプラス」は、さまざまな観点から最高の品質を誇るグレード。
    コーティングが4層と多いうえ、厚みも最高クラス。

    グレードが低いものだと、25ミクロン以上とされているコーティングの厚みも、
    45ミクロン以上と最も厚く定められています。

    さらに耐久性指数は、基本を100とすると、プラチナプラスは700とされるほど。
    この数値からも、どれだけ丈夫かが伺えます。


    ※「テフロン™」および「teflon™」は、フッ素樹脂についてのケマーズ社の商標です。
    ウルシヤマ金属工業株式会社がライセンスを受けて使用しています。

  3. こだわり
    握りやすく、
    風合いのいいウッドハンドル

    日々のフライパン

    ▲楕円形で木目も美しいハンドル。握っていても疲れず、手が痛くならないかたちです

    扱いやすさや重さの感じ方にも作用する持ち手は、
    握りやすさをとことん追求して、横に張り出た楕円形に。

    正円や四角など、さまざまなハンドルを握り、試行錯誤を繰り返すうちに、
    手へのフィット感もよく、負担も少ないこのかたちにたどり着きました。

    素材は強度も高く、木目が緻密な桜(チェリー)の木。
    自然素材ならではの手への当たりのやわらかさや
    風合いのよさを感じられて、ぬくもりある佇まいなのもポイントです。

    塗装は建築にも使われる、耐久性の高いガラス塗装に。
    洗っても落ちないので、日々のお手入れも簡単なのです。

    Pick Up
    最も苦労したハンドル製作
    日々のフライパン

    ▲樹脂製や木製の中でも素材を変えつつ、さまざまなかたち、大きさのハンドルを試しました

    日々のフライパン

    ▲持ち手をつくってくれたのは、家具の産地「飛騨高山」として知られる岐阜県高山市丹生川町にある「雉子舎」。木の持つ個性を活かした素材感の高い家具をづくりを行っています

    オリジナルフライパン製作の中で、最も苦心したのがハンドルです。
    ハンドル部分は、確かな技術で上質な「飛騨の家具」をつくる「雉子舎(きじや)」にお願いし、
    楕円形という複雑なかたちを「3Dスキャニングコッピングマシン」という
    最新機器を使って再現してもらいました。

    ▲「3Dスキャニングコッピングマシン」でハンドルを楕円形に削っているところ

    「3Dスキャニングコッピングマシン」は、職人が直感的につくり出した複雑な造形を、
    そのままスキャンして同じものをつくれる、高性能な機械。

    単純な丸ではない楕円形を職人の手だけでかたちづくるのには時間がかかり、
    多くのお客様に届けるのが難しくなってしまいます。
    でもこの機械のおかげで、ハンドルのかたちへのこだわりをそのままに
    実現することができたのです。

    そして完成した試作品をウルシヤマ金属工業株式会社の金子さんに確認してもらったところ、
    なぜだか不安そうな顔に。

    というのも、試作当初は握りやすいようかなり細いつくりだったのです。
    「木製という新規素材に加え、当社のフライパンに使用しているハンドルと比較しても
    細かったので、取りつけた際の強度に対する不安がありました」と
    金子さんは当時を振り返ります。

    その後も強度や安全性を意識しながら、試作を繰り返しました。
    太さを調整したり、使用する木材も見た目の美しさだけでなく、
    強度も備える桜(チェリー)を採用。
    安全面の観点から仕上げにも気を配りました。

    表面をつるつるに磨き上げてしまうのではなく、
    少し粗さを残しているのがポイント。
    つるつるにしてしまうと、ハンドルを持ったときに手が滑ってしまう可能性が。
    滑り止めになるよう、手への不快感もない、多少粗さを残した仕上がりにしています。

    安全性のテストもクリアし、強度も品質も確かなフライパンが完成。
    「デザインを保ちつつ、強度や安全性の基準値を満たす」という
    バランスが難しかったハンドル製作。
    どちらも妥協せずつくり上げることができたおかげで、
    自信を持ってみなさまにおすすめできる仕上がりになりました。

  4. こだわり
    深さがありつつも、
    底面が広いかたち

    幅広い平皿に対応するかたち

    ▲魚の切り身を平らに置け、汁気がある料理にもしっかり対応。写真は「26cm IH用」

    本体はどんな調理にも幅広く対応できるように底面を広く取りつつも、深さがしっかりあるかたち。
    餃子や魚の切り身も平らに置くことができ、深さがあることで煮物もつくることができます。

    緩く曲線を描いている側面のおかげで、
    炒めているときも食材がきれいにターンするので炒め物にもおすすめです。

    Pick Up
    さまざまなかたちのフライパンで検証
    上からも横からも器が取り出せるデザイン

    ▲炒め物やくっつきやすい卵料理、完成した煮物を汁まで盛りつける場面など、さまざまなシーンを想定してかたちにこだわりました

    炒めやすさと返しやすさ、ヘラなどキッチンツールの入れやすさ、
    調理した食材を器へ移すときの液だれ有無に注目して、
    さまざまなかたちのフライパンを試しました。

    結果、使いやすさを感じたのは底面が広く、深さがあるかたち。
    底面が狭いと食材が重なり、火の通りにムラができてしまいます。
    そのため満遍なく火を通すことができる底面の広さの必要性を改めて感じたのです。

    汁気がある料理や嵩張る葉物などを調理するときは、深さもほしくなります。
    そこで、この二つをかけ合わせた今回のかたちに決めました。

  • 多くの人の毎日に寄り添えるよう、想いを込めて


    身近な調理器具だからこそ、その使い心地にはとことんこだわったオリジナルフライパン製作。
    「日々のフライパン」という名前の通り、日々の何気ない調理が快適に、楽しくなりますように。
    「日々のフライパン」と過ごす毎日を、お楽しみください。

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