商品担当のあれこれ日記
2024年11月公開
title:つくり手を訪ねる旅―大分 小鹿田焼編―
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先日、初めて小鹿田焼の窯元を訪れました!
昔ながらの方法を続け、伝統を守る姿に感動した訪問になりました。
今回はそのときの様子を紹介します。まずは小鹿田焼について。大分県日田市の皿山(さらやま)という土地で、300年以上前に開窯された焼き物です。こちらの地区は「小鹿田焼の里」とも呼ばれています。
地元で採れる材料を使い、機械を使わずに、いまでも手づくりを続けているのは全国でもまれ。そして親から子へ、一子相伝で伝統が伝えられているという特徴もあり、現在は9軒の窯元のみがその伝統を守っています。
民藝運動の指導者・柳宗悦が訪れ、「世界一の民陶」と称賛され、民藝の器として全国にその名が広まりました。
1995年には国の重要無形文化財に指定されています。そんな小鹿田焼の里は、民藝の器が好きな私も是非行きたい土地でした。
到着すると川が流れる音のなかに、「ぎぃ~ ごっとん」という、何とも不思議な音が聞こえてきました。
音の正体は土を粉砕するために動いている、「唐臼(からうす)」の音です。川の水を使って「ししおどし」のように動き、餅つきのように陶土を粉砕しています。
眺めていると、なんだか愛らしさも感じてきました。現代なら粉砕機などで行う作業ですが、ここまで機械を使わず、いまでも自然の力を使っているのには驚きです。
もちろん知識として小鹿田焼は「機械を使わない」ということは知っていましたが、実際に目の前にすると、時間も労力もかかるやり方に、頭が上がりません。器を焼く窯は、もちろん機械を使わない「登り窯」です。
登り窯は各窯元が個人で窯を持つ個人窯と、五つの窯元が共同で管理をしている共同窯があります。
徒歩5分圏内で五つの登り窯があるのも大変珍しいなと思いました。小袋窯の登り窯は、数年前につくり直したものです。
登り窯は40~50時間も火を入れ続けますが、窯によってくせがあり、同じように焼いても仕上がりが異なるそう。
うまく焼けているか取り出すまでわからないので、毎回の緊張は想像もつきませんね。そして小鹿田焼の里で是非見たいと思っていたのが、「飛び鉋」です。
小鹿田焼の代表的な伝統的な技法の一つで、金属のヘラのような道具を使ってリズミカルな模様をつけていきます。生で見る機会がないので、是非ともとお願いして説明していただきました。
「これには飛び鉋をしない予定だったけどな~」と言いながら見せてくださったのは、「坂本工窯」の坂本さん。画像ではなかなか想像しにくいですよね?
ということで、スローモーションの動画もどうぞ。実際にスピードで見ていると回るのが止まるまで模様は見えませんでしたが、スローだとよくわかります。 1枚につき10秒もかからないほどで、あっという間にできてしまいました。
同じ技法ですが、よく見ると窯元によっての違いもあり、技術の差も出てくるとのことで、奥が深いなーと大変勉強になりました。
他にも、 電動ではなく足で蹴ってろくろを回す「蹴ろくろ(けろくろ)」があったり。
天気が良かったので外で器を乾かしていたり。
乾燥窯と呼ばれる窯の上に土を置いて、土の水分を抜いていたり。
色々な小鹿田焼の風景を見れて、大満足な訪問になりました。
この風景は、昔から変わらずずっと続いているんだなと考えると、とても感慨深いですよね。
1日訪問しただけでは、伝統を続けていくことの大変さを理解することは到底できませんが、より一層大切に紹介していきたいと思えた訪問になりました。今回は「小袋窯」でも少し買い付けをさせていただきました。
こちらも実店舗に並びますので、ぜひ皆様も小鹿田焼の魅力に触れてみてください!■おまけ
小鹿田焼の里に行ったら、「山のそば茶屋」でのお昼ごはんを!
清流や唐臼の音を聞きながら、素敵な器で美味しいお蕎麦が食べられますよ。