1日をごきげんにはじめる!仕込み上手な朝ごはん
2024年11月公開
玉子とあんのとろみで体の中からポカポカに
前沢リカさんに教わる
「玉子あんかけご飯」
「玉子あんかけご飯」
寒い日の朝は、温かいものを食べて体の中からじんわり温まると、目覚めもすっきり。
体にやさしく味わい深い料理を提案する東京・駒場東大前の和食店「七草」店主の前沢リカさんに、
とろりとした玉子とあんが体の芯から温めてくれる「玉子あんかけご飯」を教わりました。
野菜と海藻を補える「ほうれん草と海苔のさっと和え」も添えて。
黄色と緑の彩りが目にもうれしく、心も体も温まる朝ごはんで、
寒い1日も元気よくはじめられます。
教えていただいたのは……
和食店「七草」店主
前沢リカさん
うなぎ屋の3女に生まれ幼少期から厨房で育ち、大学卒業後、アパレル企業へ勤めたのち料理の世界へ転身。2003年に和食店「七草」をオープンし、旬の野菜や乾物を使った、体にやさしく味わい深い料理を提案しています。料理教室、雑誌等へのレシピ提供、機内食監修なども手がけています。
著書に「野菜の料理教室」(エンターブレイン)、「『七草』からご案内 いいことづくしのお酢レシピ」(成美堂出版)、「野菜をひと干しきょうの一皿」(地球丸)など。
七草のオフィシャルサイトは、こちらから。
玉子あんかけご飯
ふんわりと半熟に仕上げた炒り玉子に、ほんのり甘みのあるあんをかけたご飯。
玉子とあんがとろっとしているので朝の食欲のないときにも食べやすく、体も温まります。
おろししょうがを添えれば、さらに体はポカポカに。
玉子にもあんにもだしが効いていて、やさしい味わいが朝にうれしい一品です。
玉子やあんはシンプルな料理だけに、とろみ具合が重要。
火加減やポイントを押さえるときれいなとろっとした仕上がりにすることができます。
また、具材を追加することで、さまざまなアレンジを楽しむことができます。
仕込み上手のポイント
前日にだしの準備をしておけば、朝はあんと炒り玉子をつくれば完成です。
材料
- 【だし(つくりやすい量)】
- 水…500ml
- 昆布…5g
- かつお節…10~15g
- 【玉子あんかけご飯(2人分)】
- 卵…3個
- 塩…ひとつまみ
- だし…大さじ2
- 油…適量
※お好みのものを。ごま油だと香ばしい香りに - (あん)
- だし…200ml
- しょうゆ…大さじ1
- みりん…大さじ1
- 水溶き片栗粉…片栗粉大さじ1と1/2を同量の水に溶く
- ご飯…250~300g
- おろししょうが…適量
つくり方
だしをとります。
鍋で水を沸かし、沸騰したら火を止めすぐに昆布を加え蓋をし、室温になるまで置きます。
昆布は65~75℃程度でしっかり味や旨みが出るので、火にかけず置いておくことで美味しいだしになります。昆布を取り出し火にかけます。
沸騰する直前に火を止めすぐにかつお節を加えます。
そのまま1分ほど置いたら、キッチンペーパーなどで濾します。※前日に時間がない場合は、1までを前日に済ませて一晩冷まし、2を当日の朝に行っても。
【あん】
鍋にだし200ml、しょうゆ、みりんを合わせ一煮立ちさせます。
煮立ったら火を止め、すぐに水溶き片栗粉を加えます。
水溶き片栗粉は回し入れずに一定の位置から加えます。
鍋中をレードルで30回ほど回しながらとろみをつけます。
火を止めてから水溶き片栗粉を加えることであんが白濁せず透明な仕上がりになります。2を再度火にかけます。
火加減はあんがふつふつする程度にしてください。
1分ほどやさしくかき混ぜながら滑らかなあんに仕上げます。
再加熱することで粉くささが消え、ゆるんで滑らかになります。
【玉子】
ボウルに卵、塩、だし大さじ2を合わせ溶きます。
フライパンに油を入れ中火で熱し、煙がたったら4を一気に加え、そのまま10秒ほど待ちます。
木べらなどで大きく4~5回玉子全体を混ぜ、半熟状に火を入れます。
まだ生っぽいかなと思っても、予熱で火が通るのでこれくらいの加熱で大丈夫です。飯碗にご飯を入れ、玉子をのせあんをかけ、おろししょうがを添えます。
玉子あんかけご飯の楽しみ方
今回はシンプルな玉子あんかけご飯のレシピをご紹介しましたが、
具材を追加することでさまざまなアレンジを楽しめます。
【ボリュームたっぷりのアレンジ】
火を通しておいたイカや豚肉を卵と同じタイミングでフライパンに入れれば、
食べ応えのある満足感ばっちりの仕上がりに。
【野菜をプラス】
一口大に切ったトマトを卵と一緒にフライパンで火を入れると
野菜がたっぷり摂れて、爽やかな味わいに仕上がります。
【風味のアレンジ】
食べる前に粉山椒を振ると、爽やかな香りでお箸が進みます。
また、小エビや桜エビを卵に入れると旨みたっぷりの玉子が楽しめます。
ほうれん草と海苔のさっと和え
材料(2~3人分)
- ほうれん草…1袋(200g)
- 焼き海苔(全型)…1/2枚
- ごま油…小さじ2
- しょうゆ…小さじ1/2
- いりごま…小さじ2
- 塩…2つまみ
つくり方
中央からあぶくがブクブク立つくらいしっかり沸騰させた湯にほうれん草を入れます。
全部沈めて根元を持ちながら15秒ほど湯がきます。茹で上がったらざるで冷まし、冷めたら水気を絞ります。
根元に水気が溜まらないよう、根元を上にして葉先に向かって水気を絞るようにします。食べやすい大きさに切ります。
2枚のキッチンペーパーで包み、5秒ほど手でそっと押さえます。
そのまま冷蔵庫で一晩保存し、残った水分を吸わせます。
保存容器が小さい場合は2段重ねにしても。
ボウルにほうれん草、ごま油、しょうゆ、いりごまを合わせ、味を絡めるようによく混ぜます。
焼き海苔をさっと炙り香りがたったら、海苔の半分を小指の先ほどの大きさにちぎり1に加え、ざっと天地を返します。
残り半分の海苔をちぎり入れ、5~6回さっと混ぜたら、器に盛ります。
混ぜすぎると海苔がしっとりしすぎてしまうので、さっと数回混ぜるのがおすすめです。
前沢さんの器選び
主役である玉子が美味しく見える器を選び、
それを引き立てる副菜の器やテーブルウェアを選びました。
「玉子あんかけご飯」を入れたボウルは、玉子が映える生成色を。
また、小ぶりな器にたっぷり入れることで下のご飯が
目立ちすぎず玉子が美味しそうに見えると思います。
副菜用の皿は、黄色い玉子の差し色になるよう、青の絵付けを選びました。
またボウルに高さがあるので、平皿で高さのバランスを取っています。
お盆は和の意匠がシンプルな料理を華やかに見せてくれる、長木瓜のかたちに。
すっきりとした横長のかたちで場所を取らないのも気に入っています。
生成や黄色といった明るい色が多いので、汲み出しは黒を選んで引き締め役にしました。
1.印判小皿 菊十 (東屋)
2.スープボウル 04 (小石原ポタリー)
3.KITO 盆 長木瓜盆 大 (四十沢木材工芸)
4.汲み出し碗 黒麗 (南景製陶園)