1日をごきげんにはじめる!仕込み上手な朝ごはん
2024年12月公開
ご飯が進む、旨みたっぷりの手づくり干物
ダンノマリコさんに教わる
「イワシのみりん干し」
「イワシのみりん干し」
和朝食の定番といえば、魚料理。
中でも、魚の美味しさがぎゅっと凝縮され、しっかりとした味つけでご飯が進む干物は、
焼くだけで簡単に食べられて、それを楽しみに目覚めることができそう。
魚を傷めたりしてしまいそうで難しそうに思える手づくり干物ですが、
実はシンプルな手順で、一晩でつくることができるのです。
魚介を使った家庭料理や保存食を提案しているフードスタイリストのダンノマリコさんに、
手軽につくれて、風味よく焼き上がる「イワシのみりん干し」を教わりました。
大根おろしのような感覚で、魚と一緒に食べてもさっぱりと美味しい「かぶと梅肉の浅漬け」、
磯の香りが魚にぴったりの「あおさの味噌汁」と、白ご飯も一緒に。
ぎゅっと旨みの詰まった干物をさらに美味しく食べられる和朝食を
もりもりといただいて、元気に朝をはじめてみませんか。
教えていただいたのは……
フードスタイリスト
ダンノマリコさん
フードコーディネーターのアシスタントを6年間務めた後、独立。栄養士の資格も持ち、本や雑誌などでのスタイリングだけでなく、料理も担当。自宅近くの子どもたちを集めて一緒に料理をつくる会や、魚にまつわる料理教室「ミナトゴハン」も開催。目下、市場や漁港を訪ねて魚介を使った家庭料理や保存食を探求中。
著書に「スーパーのお魚で!港町の漁師飯」(春陽堂書店)、「野菜・果物・魚介・肉 365日おいしいびん詰め 保存食&食べ方テク」(朝日新聞出版)、「フライパンひとつで魚のごちそう」(青春出版社)など多数。
活動情報はInstagramより。
イワシのみりん干し
イワシをみりんとしょうゆに漬けてから干す「イワシのみりん干し」。
みりんの甘みとしょうゆの風味がしっかり浸み込んで、
焼けばイワシと調味料が合わさることによりこんがり香ばしい香りが広がります。
難しそうに思えますが、意外にもつくり方はシンプル。
2時間調味料に漬けて数時間干すだけと、とても手軽につくることができます。
干物づくりには、ステンレス製で汚れてもさっと洗い流せる「干しかご (家事問屋)」がおすすめ。
もちろん、お手持ちの干しかごやざるで干していただくこともできます。
梅雨どきなど天気の悪いときには冷蔵庫でつくることも。
しっかりと味つけし、乾燥させて余分な水分を外に出すことで日持ちするので、
魚がたくさん手に入ったときの保存手段としておすすめ。
旨みもぎゅっと凝縮されるから、特売で売られているような魚も美味しく仕上げることができます。
イワシ以外にもサバやアジなどの背の青い魚や、鮭などを使っても美味しいです。
白身であればカマスやマナガツオなど、比較的脂がのって香りの強いものがおすすめです。
仕込み上手のポイント
前日にイワシを調味料に漬けて干しておけば、朝は焼くだけで完成です。
材料(2人分)
- イワシ(開いたもの)…4尾(約100g)
- 白炒りごま…少々
- (A)
- しょうゆ…小さじ2
- みりん…小さじ2
- 酒…小さじ2
- きび砂糖…小さじ2
つくり方
Aを鍋に合わせて火にかけます。
沸騰したら火からおろし冷まします。イワシは血やぬめりなどで汚れている場合は、水っぽくなるのを避けるため塩水で洗い、キッチンペーパーで余分な水分を吸いとります。
ビニール袋にイワシの身が重ならないように入れ、調味料を入れます。
袋の中の空気を抜いてから袋の口を縛り、冷蔵庫で2時間ほど漬けます。
時間がある場合は、1日漬け込んでもしっかり味が浸みて美味しく仕上がります。イワシを取り出しキッチンペーパーにはさんで10分ほど置き水気を吸い取ります。
魚から漬け汁が落ちた時のために干しかごの下段に紙やバットなどを敷いてから、上段にイワシの皮を下にして並べます(写真では「干しかご (家事問屋)」を使用しています)。
一般的なざるや網を使う場合は、ざるや網の下に皿やバットを敷きます。
バットの縁に揚げ物用の網をのせる、皿やバットに菜箸などを置きその上にざるを置くなどして、空気が通るようにしてあげると早く乾きます。白炒りごまをふり、就寝前に軒下やベランダなど風通しのいい場所で乾かします。
季節により仕上がりに差が出ます。
冬:風通しのいい場所に一夜干しで8〜10時間程度。
春、秋:天日干しで3~4時間程度。
夏:天日干しで2~3時間程度。一般的なざるを使う場合は、鳥などに取られてしまう場合があるので、下記の冷蔵庫を使用する方法をおすすめしますが、外に干す場合はしっかりと上に蓋をしてから重しをのせます。
また梅雨どきは湿気が高く気温が低く干物には向かないので、5をラップなどをかけずに冷蔵庫に入れます。
冷蔵庫で一晩、朝に裏返して夕方まで入れ、ごまは最後にかけます。
また、冷蔵庫の冷風の吹き出し口の近くに置くと乾きやすいです。
魚とざるが接する面が乾きづらい場合は、乾きづらい面をしっかり乾かすため、魚の上下を裏返してください。写真のように表面が少し乾きツヤが出たらでき上がり。
干し上がったものをアルミホイルで包んでからビニール袋に入れ、さらに蓋ができる容器に入れて冷凍庫で保存します。
乾燥しすぎた場合は表面に酒を塗ってから包みます。
アルミホイルで包むことでラップなどより乾燥しにくくなります。
日持ちは1ヵ月ほどが目安。
魚焼きグリルで焦げないよう気をつけながら、弱めの火で5~10分ほど、油がじわじわしとしてくるまでイワシを焼きます。
かぶと梅肉の浅漬け
かぶを梅肉と一緒に漬け込んだ、さっぱりとした浅漬け。
かぶの葉も一緒に始末よくいただきます。
甘みのあるみりん干しの箸休めとしてもぴったりですし、
大根おろしのような感覚で一緒に食べても美味しいです。
梅干しの塩気だけでほどよい味に決まるのもうれしいです。
材料(2~3人分)
- かぶ…小2個(100g)
- かぶの葉のやわらかい部分(あれば)…10g
- 梅干し(塩分12%の赤紫蘇漬け)…中1個(15g)
- みりん…小さじ1/2
つくり方
かぶは皮をむき縦半分にしてから薄切りに、葉は1cm幅に切ります。
ビニール袋にかぶ、かぶの葉、梅干し、みりんを合わせ、袋の外から梅干しを崩して梅肉を全体に行き渡らせ、10分ほど置きます。
※塩分が少ない梅干しの場合、塩1つまみ程度(分量外)を入れて塩分を調整してください。
袋の外から手でもんで味を馴染ませたら器に盛ります。
前日に1、2の手順で仕込んでおくのもおすすめです。
あおさの味噌汁
あおさと、だしも兼ねたかつお節だけのシンプルな味噌汁。
あおさの磯の香りが食欲をそそり、焼き魚とも相性抜群。
あおさとかつお節、味噌をお椀に入れてお湯を注ぐだけで簡単にできるから、
忙しい朝にさっと汁物を添えたいときに助かるメニューです。
材料(1人分)
- あおさ…2つまみ
- かつお節…2つまみ
- 味噌…大さじ1
- 熱湯…150〜200ml
つくり方
お椀にあおさ、かつお節、味噌を入れて好みの濃さになるまでお湯を注ぎ、箸などで混ぜて味噌を溶かします。
ダンノさんの器選び
朝らしく爽やかな印象で、和朝食に合う落ち着いた印象のものを選びました。
魚と浅漬けは同じ角皿にのせて、一緒に食べやすくしました。
長角皿の細長いかたちは魚を引き立たせてくれるので、家族分あると便利です。
味噌汁は具材が少ないシンプルなものなので、小ぶりなお椀に。
マットな質感の漆が素敵だなと思って選びました。
ご飯をよそった飯碗は、呉須の絵付けが民藝らしい雰囲気がありつつも、
側面がすっきりしたかたちで、食卓を軽い印象にしてくれます。
箸は、食卓の印象を引き締めてくれる焦げ茶色のものに。
八角形なので転がらず持ちやすいのもいいと思います。
箸置きは、やさしい輝きの真鍮で、ほどよい大きさのものを。
お茶を入れたカップは、すっきりしたかたちがきれいだなと思って選びました。
カップをのせた刺し子のコースターは、刺繍がかわいらしく、
紺の色合いがグレーのカップとも好相性です。
1.すみきり長皿 青白 (瑞々)
2.dishes カップ M moss gray(マット) (ユミコ イイホシ ポーセリン/ yumiko iihoshi porcelain×木村硝子店)
3.コースター 紺×生成り (TERAS/テラス)
4.いろは 菊文 茶碗 (バーバー/BARBAR)
5.汁椀 3.8寸 溜 (安比塗漆器工房)
6.真鍮の箸置き 閃光 (フタガミ/FUTAGAMI)
7.八角箸 鉄木 (木箸しのはら×cotogoto)