ファスナータイプの小さな財布

シンプルで使う人の性別も年齢も選ばないデザイン。
使ってみると、なんだかとても使いやすい。
岡山県総社（そうじゃ）市の山の上に工房を構える「ANDADURA／アンダデューラ」の山本祐介さんがつくる財布。
スペイン語で「歩く」を意味するブランド名のとおり、三歩進んで二歩さがるような、ゆったりとした足どりで活動されています。

「ファスナーミニ財布」は、L字ファスナーのついた、薄手でコンパクトな革財布。
ファスナーを開けると、中央にはループ状の仕切りがついており、お札、小銭、カードを必要最小限収納することができます。

お札の折り数で選べる２サイズ

お札の折り数と収納量の異なる２つのサイズから選ぶことができます。

手への収まりのいいサイズの「S」は、横向きにカード数枚とお札は三、四つ折りにして収納することができ、中央に小銭入れのあるかたち。

「L」は「S」と構造は同じですが、サイズが大きくなったことで、お札は二つ折りで収納することができ、カードも横向きで「S」より枚数多く収納できます。

使い手本位のデザイン

とにかく使い手のことを考えたものづくりをしている山本さん。
例えば、使う方の心地よさにつながるように、お財布のサイズをミリ単位で細かく調整したり、無意識のうちに左利き仕様になっていたお財布を、右利きの人も使いやすいように右利き用も製作したりと、あらゆる部分に心遣いを感じられます。
もちろん、革の特性もしっかり考慮しています。
開くとお札や小銭入れ、ポケットが自然に広がるようにつくられているから、出し入れがとてもスムーズ。
使い心地が抜群にいいのです。

落ちつきがあり、飽きのこない２色

使用している革は、「佐藤染革」の佐藤さんに、オリジナルでつくってもらう国産の牛革です。
染めや加工をしてから、厚みを調整する漉き加工をするのが一般的ですが、裏面も仕上げたいとの想いで、漉き加工をした後に、染色と加工を行なっています。

色は、「navy」と「beige」。
ブランド立ち上げからのcamel、brown、navyの革の色を、2024年にリニューアルした２色です。
どちらも山本さんが佐藤さんに相談しながらつくった独自の色味です。

墨黒や紫色を思わせる奥深い「navy」。
使うほどにツヤが出て、しっとりとした黒色に近づいていきます。

軽やかさを求めてつくった「beige」。
「beige」は赤みの強いヌメ革のベースにオリーブ色の染料で、赤みを打ち消しあうように染色された色です。
明るい色味は時間と共にこっくりとした深い茶色へと育っていきます。

音楽や本、人との会話、自身の暮らし、さまざまなものごとから着想を得て、かたちづくられた革のものたち。
使えば使うほど、隅々に宿るつくり手の試行錯誤を感じます。
経年による変化も楽しみな革ものならではの味わい深さは、つくり手の山本さん自身にも通ずるものがあります。
この使い心地のよさ、ぜひ堪能してほしいです。

ANDADURA／アンダデューラについて

スペイン語で「歩く」を意味する「ANDADURA／アンダデューラ」。
岡山県総社（そうじゃ）市に工房を構える革の鞄や小物を中心につくるブランドです。
つくり手の山本祐介さんは、思考しながら、試作を重ね、素材をそのままかたちに置き換えることをイメージしています。
実際に自身で使ってみて、購入した人たちの感想も踏まえ、数ミリ単位で調整を繰り返し、素材の特性も考慮しながらかたちにしていきます。
歩いては立ち止まり、思考してまた歩きだす。
ゆっくりじっくりと、歩くようにものづくりをしています。