味わい深い表情に使いやすさが加わった蕎麦猪口

しのぎの凹凸が表情豊かな「丹波焼　SOBACHOKO」。
釉薬のムラ感が味わい深さを添え、全体に手仕事らしい温かみを帯びています。

兵庫県を拠点に国内のさまざまなつくり手とともにものづくりをするデザインチーム「TRUNK DESIGN／トランクデザイン」がデザインを担当。
日本六古窯に数えられる丹波焼のさまざまな窯元とものづくりに取り組む中で、そのうちの一つ「丹水窯（たんすいがま）」の７代目、田中聡（さとる）さんとつくった器です。

丹水窯ならではのやわらかな色味と、丹波焼らしい鎬（しのぎ）の縞模様や釉薬により生まれる、一つ一つ異なる味わい深い表情が魅力。
そこに、TRUNK DESIGNの考える使いやすさにこだわったデザインが加わり、表情の楽しさと使い勝手を両立させた蕎麦猪口が誕生しました。

縞模様と粉引により生まれる、一つ一つ異なる器の表情

丹波焼といえば、丹波の赤みを帯びた土を使い焼き締めた器に、窯の中で被った灰による自然釉の素朴な味わいの器が代表的。
また、表面に施されることの多い鎬という縞模様の技法も特徴的です。

一方丹水窯では、伝統的なつくり方にオリジナリティを加えながら製作しています。
側面には伝統的な縞を施しつつ、そこに、田中さんがつくる器の特徴である粉引（こひき）の技術を使い、粘土の上に白化粧という白い泥をかけて焼き、さらに釉薬をかけて焼き上げます。
これにより、伝統的な丹波焼とはひと味違う、やわらかな色味に。

鎬の凹凸や釉薬のかかり具合によって色の濃淡が生まれたり、貫入とよばれるひびが加わり、一つとして同じもののない個性あふれる蕎麦猪口が生まれるのです。

普段使いしやすく、色により表情の異なる３色

色は３色から選べます。
どれも丹水窯ならではの粉引の技を活かした、普段使いしやすい、やわらかで穏やかな色味です。

粉引の白が活きる「ミルク」は、どんな食材にも合わせやすいすっきりとやわらかな色。

緑がかった不思議な色の「アンティークイエロー」はベージュに近い雰囲気で、料理や飲み物をさりげなく引き立ててくれます。

こっくりとした中にやわらかさも感じる色味とツヤ感を楽しめる「茶」は、食卓を温かみのある雰囲気にしてくれます。

使う人のことを考えたかたちや軽さ

汎用性の高さや、細かな使い勝手にも、使い手のことを考えながらつくるTRUNK DESIGNと田中さんの心意気が詰まっています。

蕎麦猪口としてはもちろん、一般的な蕎麦猪口よりも一回り大ぶりなので、お茶やコーヒーもたっぷり注げます。

口が広いので、副菜からフルーツやヨーグルト、涼しげなアイスクリームまで、食べ物を盛りつけても食べやすく、なんでもござれな汎用性の高い器です。

すっとまっすぐ広がったかたちは、スタッキングもしやすいです。
そして、どっしりとした佇まいとは裏腹に、手に取ると驚くほどの軽さ。
おまけに陶器なのに、電子レンジでも使えてと、使うたびに、その扱いやすさを実感すること、間違いなしの器なのです。

つるりんとも、ざらっともした感触を手に感じながら、一つの器に見られるいくつもの表情を、眺めて味わいつつ楽しむひととき。
贅沢な時間を生む器です。

TRUNK DESIGNについて

2008年、兵庫県神戸市垂水区で生まれた「TRUNK DESIGN／トランクデザイン」は、日本のさまざまなつくり手と協働で未来に残るものづくりをするデザインチームです。
ずっと続いてきた技術や心意気に自分たちの創造性をかけ合わせ、ブランディングから製品開発、製造、販売と流通にいたるまで、つくり手とともに悩み考えながら、今の暮らしに合うものをつくっています。
工芸、日本のものづくりを未来につなげたい、という想いのもと、その価値を知ってもらうべく活動をしています。