分解して洗えるキッチンばさみ

手に握り、開いて閉じるを繰り返すと、チョキチョキチョキ……と小気味いい音がします。
新潟県三条市のキッチンばさみ専業メーカー「栗忠（くりちゅう）製作所」が、1979年の創業以来ずっとつくり続けている「キッチンバサミ」です。

オールステンレスのシンプルなデザイン。
見るからに肉厚なステンレスは、握るとしっかりとした重さがあります。
道具としての無骨な佇まいに、頼もしさすら感じます。

工具不要で簡単に分解できる

刃を全開にするだけで外れるので、隅々まで洗え、清潔に保てます。
洗ったら、ネジに穴を合わせ、閉じればすぐに元通り。
工具がなくても分解できるから、お手入れがとにかく楽です。

食材をさっと切りたいときに重宝します

ぐにぐにした鶏肉や豚肉、まな板を使いたくない魚類もサクサクっと切ることができます。
蟹などの甲殻類の殻も、すいすいとカット可能。
小さい子どもが食べやすいよう、お皿の上で料理をカットするのもはさみなら簡単。
かたいものだけでなく、やわらかいものも、スムーズに切ることができます。

切る以外でも活躍する四つの機能性

切れ味がいいのはもちろんのこと、刃のすぐ上の部分は栓抜きに、さらにその上の凹凸でネジ蓋をあけたり、くるみの殻を割ったりできます。

持ち手部分についている耳のような部分は、てこの原理で缶の蓋やプルタブを持ち上げることも。
はさみとしてだけでなく、生活の中のいろいろな作業に対応する万能さです。

使い心地を決める、熟練の職人技

この「キッチンバサミ」の使い心地のよさに、大きく関わっているのがその製造方法です。
成形は、熱間鍛造（ねっかんたんぞう）といって、やわらかくなるまで熱したステンレスを、上下一組の金型に入れて、エアハンマーという機械で圧力をかける製法。
熱間鍛造でつくるとステンレスがぎゅっとつまり、強度が上がります。
ただ、その工程には、熟練の職人の感覚が必要不可欠。
釜の中で赤くなったステンレスの色味、持ったときの感触から、窯出しのタイミングを読む必要があるからです。
さらに、はさみの切れ味に大きく関わるのが、「合い刃取り」です。
別々に研磨した２本の刃を、ただ組み合わせるだけではなく、職人が目視で微妙なズレを見つけ、調節します。
正確に噛み合わせるからこそ、抜群の切れ味が生まれるのです。

見事な職人技があってこその「キッチンバサミ」。
暮らしのさまざまな場面で、堅牢で頼りになる、台所に欠かせない道具の一つになってくれそうです。

栗忠製作所について

金物の町、新潟県三条市にて1979年に創業した「栗忠（くりちゅう）製作所」は、現在は２代目の栗山秀雄さんが受け継ぐキッチンばさみ専業のメーカーです。
約100の工程を経てつくられるはさみは、切れ味のよさはもちろん、何十年と使い続けられる耐久性を誇ります。
持ったときの感触と金属の色から、取り出すタイミングを読みとらなくてはならない熱間鍛造（ねっかんたんぞう）、別々に研磨した2枚の刃を組み合わせる合い刃取りなど、熟練の職人技がなければつくることのできないキッチンばさみをつくり続けています。