ちょっとした調理にぴったりな、手仕事の銅の小鍋

コトコトコトコト……。
なんて音が聞こえてきそうな、かわいらしい佇まいの銅製の「ジャム鍋」。
富山県を拠点に活動する金工作家の池田晴美さんが製作しています。

銅は熱伝導率が高いのが特徴。
弱火～中火でもすぐに鍋全体に均一に熱が伝わり、食材にムラなくしっかりと火が通ります。
また牛乳やお湯を沸かすときも速く沸いてくれるので、時間のない朝食準備のときなど、毎日の調理に活躍してくれそうです。
さらに蓄熱性も非常に優れているので、弱火でも一定の温度が保て、コトコト煮込みたい料理やジャムづくり、シロップづくりにはもってこい。
内側に錫引き（すずびき）をしていない仕様なので、鍋が高温になる揚げ物にも使えます。

何百回、何千回と叩いてつくられたかたち

実際に使ってみて見えてきた改善点や、こういうものがあるといいなという気づきからつくられる道具たちは、佇まいだけでなく、使い心地も申し分なし。
自由な発想からうまれたかたちは、ユニークで愛嬌があり、目を惹きます。

池田さんが用いるのは、銅板に当て金（あてがね）と呼ばれる道具を当て、叩いて成形する製法。
かたちによって何種類もの当て金を使い分けながら、何百回、何千回と金槌で叩き続けてつくりあげる根気のいる作業です。
凹凸になって残る手跡は、見るだけでなく、触れてその感触を味わうこともできます。

また縁には小さな注ぎ口がついている仕様。
コトコト煮込んでつくったジャムを瓶に移すときや、温めたミルクをマグカップに注ぐのもしやすいです。

少量の食材の調理に向いている３サイズ

サイズは「200ml」、「400ml」、「700ml」の３種類。
それぞれ蓋つき、蓋なしが選べて、全６種類。
少量のソースや溶かしバターなら「200ml」、お弁当用の野菜を茹でる、ゆで玉子を１～２個つくるなら「400ml」がおすすめ。
季節の果物を使ったジャムや、１人分のおかゆづくりには「700ml」がよさそうです。

銅は新品のときは赤褐色ですが、愛用するうちに落ちついた褐色に変化していきます。
使う頻度や固体によって変化の様子はそれぞれ。

使い続けていくうちにどのように育っていくか。
調理時の楽しみがまた一つ増えそうです。

アヤノの使い心地

「ジャム鍋　400ml」でゆで玉子をつくってみました。
銅製で熱伝導率のいい鍋で水を沸騰させるのははじめてでしたが、水が湧くまでの時間の速さにびっくり！
沸騰させたら、一般的なゆで玉子をつくる時間茹でれば、いつもつくっているゆで玉子が完成しました。
見た目がいいだけでなく、いつもの調理の時短にも繋がるといった機能面にも惚れてしまいました。

池田晴美さんについて

富山県射水（いみず）市を拠点に金工作家として活動している池田晴美さん。
大学を卒業後、貴金属装身具の製造に携わったのち、2017年に独立。
国内外の企画展や公募展に出展し続けながら、作家としての活動の他に、2024年からは母校である富山大学芸術文化学部の非常勤講師も務めています。
手打ちで叩いてかたちづくる銅製の台所道具を中心に製作。
ハンドメイドらしさと実際に使いながらつくるからこその使い心地のよさ。
その両方を堪能できる作品をつくっています。