熟練の職人が手仕事でつくる、籐張りのスツール

温もりを感じるのは、職人たちが手をかけてつくっているからでしょうか。
秋田県湯沢市で1910年から変わらずに曲木家具を専門につくる「秋田木工」の製品には、日本デザインの礎を築いたと言われているデザイナーたちとコラボレーションして生まれたものが多く存在します。
インテリアデザイナー・剣持勇さんがデザイン、秋田木工が製造するスタッキングスツールは、1958年の発表当時から現在まで続くベストセラーです。

座面近くできれいにカーブを描く脚に、きっちりと籐で編まれた座面。
木と籐の組み合わせは、素材の親和性が高く、すっきりと軽やかな印象です。

籐編みの座面は、座るとちょうどよくたわみ、心地よくフィット。
広めで安定感のある座面だから、長時間座っていても疲れづらいのです。
とくに暑い季節には、蒸れにくいところもうれしいポイントです。

熟練の曲木加工技術

曲木は、治具（じぐ）と呼ばれる鉄製の型に、100℃以上の蒸気で長時間蒸した木材をはめ込んでつくる加工のこと。
かたくまっすぐな木材を、立体的に曲げることのできる熟練の技です。
家具の仕上がりを左右する治具そのものも、秋田木工の職人による手づくり。
曲木だけでなく、オリジナルの道具を使って製品のおおまかなかたちを削り出す切削（せっさく）、感触を確かめながら木材の角を滑らかにする研磨、細かな傷のチェックをしながら行う塗装など、多くの手作業による工程を経た家具には、長年受け継がれてきた職人技が詰まっています。

風合いの違う２種の木材

木の種類は、「ブナ」と「ナラ」の２種。
控えめな木目で、より明るい色味の「ブナ」は、北欧インテリアとの相性もよさそうです。
虎斑（とらふ）模様など、力強い木目が天然木の雰囲気をより感じやすい「ナラ」は、重量も相まってどっしりとした印象。

シンプルなかたちだから実用性抜群

汚れがつきにくいウレタン塗装仕上げを施しているので、毎日使うダイニングチェアにも適しています。
スタッキングできて収納にも困らないから、来客時のチェアとしても重宝します。
また座面がフラットなので、サイドテーブルとして使うのもおすすめ。
見た目のよさだけでなく、堅牢性と実用性も兼ね備えているのはうれしいところです。

職人たちの手作業による技術がなければ生まれない、美しい曲線が際立つ天然木のスツール。
経年による変化も楽しみな逸品を、ぜひ普段の暮らしの中で堪能してください。

秋田木工について

秋田県湯沢市、豊かな水をたたえる雄物川（おものがわ）近くに工房を構える「秋田木工」。
1910年の創業以来、曲木の技術を使った家具をつくり続けています。
柳宗理、剣持勇といった日本を代表するデザイナーたちと協働でつくった家具は、今なおベストセラーとして人々に愛されています。
機械化があたりまえになった現代でも、職人たちの手作業による工程を大切にしながら、日本で唯一の曲木家具専門のメーカーとして、日々強くて美しい曲木の家具をつくっています。