うつわのいろは うつわの技法 木 表面仕上げ編

うつわの技法 木 表面仕上げ編


うつわは使い勝手をよくしたり、見た目を美しくしたりするために、
陶磁器や木などの素材ごとに、さまざまな技法が用いられます。
「うつわの技法」では、数ある技法の中から、
cotogotoで取り扱っているうつわにも使われている技法を取り上げています。

木編では、「成形」や「表面仕上げ」の技法を扱います。今回は表面仕上げ編です。


木のうつわは、仕上げの表面加工によって、使い勝手や見た目の印象が大きく異なります。
木そのままの味わいを楽しめる「無塗装」。
それに極めて近い状態を保ちながら、汚れがつきにくくした「ガラス塗装」。
樹脂でコーティングすることでお手入れを楽にした「ウレタン塗装」。
汚れの染み込みや乾燥を防ぐ「オイル・ミツロウ仕上げ」。
そしてうつわを丈夫に、かつ美しくする「漆塗り」があります。

仕上げの技法によって、使うときに気をつけるポイントや、お手入れの仕方などが異なるため、
購入する前にぜひ違いを知っておきたいものです。

  • 1.無塗装

    何も塗装を施していない、木そのままの状態のもの。
    木の持つ調湿効果や、杉や檜が持つ抗菌作用など
    木そのものが持つ力が十分に発揮されます。
    こうした力を活かしたいお弁当箱は、
    無塗装で仕上げられているものが多くあります。
    また、木そのものの香りが楽しめるのも魅力です。

    無塗装の場合、乾燥に弱く、食べ物の色やにおいがつきやすいため、
    お手入れが難しく感じる場合もあるかもしれません。
    また無塗装のものは染み込みがはやいので、
    つくり手によっては中性洗剤の使用を推奨していない場合も。
    しかし使い方によって表情が変わり、最も変化を感じられるので、
    使い続ける楽しみも大きいはずです。
    使う前には一度水にくぐらせると、汚れやにおいがつきにくくなるなど、
    ちょっとした気遣いで長くきれいな状態で使うことができます。

    • 美作めんつ

      抗菌作用のある檜と杉を使用。
      調湿効果により時間が経ってもご飯がかたくなりすぎず、べちゃっとしないので、いつでも美味しく食べられます。
      木そのままの状態なので、檜と杉という2種類の木の表情の違いを楽しめるのもポイント。

    • パン皿 (柴田慶信商店)

      焼き立てのパンをのせても、木が水分を吸ってくれるから、蒸気でふやけることがありません。
      さくっとした食感が続きます。
      パンにほんのりついた杉の香りは、上品なスパイスのよう。

  • 2.ガラス塗装

    ガラスを常温で液体にしたものを木に染み込ませ、
    木を強くし、汚れや傷をつきにくくした仕上げ。
    見た目は無塗装のものとほとんど変わらず、
    表面を覆う塗装ではないため、
    調湿効果などの木の効能や、香りも楽しめます。
    また、塗装が剥げてしまう心配もなく、
    近年注目されている塗装です。

    しかし、食べ物によっては色が移ったり、硬い物が当たると
    傷がついてしまうことはあるので、
    取り扱いには注意が必要です。
    なお、中性洗剤の使用は可能です。

    • あすなろのBENTO-BAKO
      (輪島キリモト)

      白く美しいあすなろの表情をそのまま活かした弁当箱。
      ガラス塗装のおかげで無塗装より使い勝手がよく、使い続けると全体が落ち着いた飴色に変化します。

  • 3.オイル・
    ミツロウ仕上げ

    表面にクルミやエゴマの油、ミツロウを塗ることで
    木の乾燥を防ぎ、反りや狂いを起こしにくくしたり、
    汚れを染み込みにくくしたもの。

    クルミやエゴマの油は「乾性油」と呼ばれる
    塗った後に乾きがはやい油で、
    木に深く染み込み、しっとりした色合いに仕上げます。
    一方、ミツロウは表面をコーティングし、
    さらっとした仕上がりにと、少し違いがあります。
    いずれも表面を完全に覆う塗装ではないため、
    木の調湿効果などは保たれます。

    尚、中性洗剤の使用は可能です。
    使ううちにオイルやミツロウが落ちてしまいますが、
    自分で塗りなおして使い続けることができるので、
    市販のものを常備しておくと重宝します。

    >> cotogotoでもミツロウをお取り扱いしています。
    詳しくはこちら

    • 山桜のお皿 (woodpecker)

      亜麻仁油や桐油をブレンドした植物性のオイルを使用。
      オイルによって、木本来の美しさにツヤが加わり、上品な仕上がりに。

    • 木の器 (cogu)

      ミツロウにより、ほんのりクルミの木の色が深まり、細かな彫刻刀の跡が引き立ちます。

  • 4.ウレタン
    塗装

    口に入れても安心な透明の樹脂で全体を覆う塗装。
    表面からの染み込みを防げるため、耐水性があり、
    色・におい移りの心配も少なく、お手入れが簡単です。

    しかし、使い続けると塗装が薄くなり、
    裂け目ができると効果は薄れてしまいます。
    ウレタン塗装の場合は塗り直しが難しいことが多いので、
    ある程度消耗品と考えた方がいいかもしれません。
    長時間水に浸さない、
    すり減りやすい角や縁を強くこすり洗いしないなど
    気をつけて使うことで、寿命を延ばすこともできます。

    また、木そのものの調湿効果などは弱まり、
    塗料によってはツヤが出ます。

    使いはじめは、ウレタン塗装特有のにおいがある場合も。
    気になるときは、風通しのいい場所で
    数日間そのまま置いておくと落ち着きます。

    • 銘木椀 (薗部産業)

      毎日使う汁碗だから、ウレタン塗装が施され、お手入れが楽なのが嬉しいのです。
      表面がツルンとしているので、汚れ落ちもスムーズです。

    • Kami プレート (高橋工芸)

      自然の木のよさが活きるよう、特注のウレタン塗料を使い、なるべくマットに仕上げています。

    • 小判弁当 (大館工芸社)

      ウレタン塗装だから、無塗装の曲げわっぱでは避けたい揚げ物やケチャップなどを入れても、油染みや色移りの心配がありません。

  • 5.漆塗り

    伝統的な自然塗料である漆の木の樹液でコーティングしたもの。
    漆は耐水性だけでなく、耐酸・耐アルカリ性にも優れています。
    抗菌作用もあり、食材の腐敗を漆が防ぐため、
    昔から重箱やお弁当箱などに用いられてきました。
    色・におい移りの心配も無く、米離れもいいと、実用性に適っています。

    また、漆の色がつき、木そのものの美しさからは離れますが、
    とろりとした漆独特の光沢は、ほかの仕上げにはない美しさです。

    たくさんの工程を経てつくられるため価格が高く、
    敷居が高い印象があるかもしれませんが、
    修理も可能で、長く使うことができます。
    また中性洗剤の使用が可能で、お手入れも難しくありません。

    • 端反椀 (輪島キリモト)

      艶やかな表情が美しい「本堅地(ほんかたじ)技法」を用いて漆が施されています。
      口にしたときに、滑らかな漆の優しさを実感できるはずです。

    • ヘラ模様椀 (輪島キリモト)

      同じく「本堅地(ほんかたじ)技法」を採用。
      塗り師が下地漆を塗りこむときの手の動きを、螺旋模様として残したデザインです。

    • ヘラ模様椀 (輪島キリモト)

      本来なら下地に使う粉を表面に近い部分でも使用し、あえてざらっとした質感に仕上げた「蒔地(まきじ)技法」でつくられています。
      表面の硬度が高いため、フォークなど金属のカトラリーを使っても傷がつきにくく、気軽に扱えます。

▼表面仕上げ別、お手入れの方法について詳しくはこちら



※参考書籍:
「輪島キリモト」輪島キリモトの漆塗り技法と木製品について

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