うつわのいろは 産地別のうつわ 東北編

産地別のうつわ 東北編


日本のうつわは、各地で地域の特色を反映して発展してきました。
「産地別のうつわ」では、数ある産地の中から、
地域別に代表的な産地と、そのうつわの特徴を紹介します。
今回は「東北編」です。


北に位置する東北地方は、冬になると雪の多い地域。
雪国は、成形した土が凍りやすく、
他の地域と比べると焼き物づくりには不向きといわれています。
そのため陶磁器の産地は少なめですが、
一方で、豊富な森林資源を利用して漆器や曲げ物づくりが盛んになりました。


  • 宮城県大崎市

    鳴子漆器(なるこしっき)


    画像提供:経済産業省 東北経済産業局

    「竜文塗(りゅうもんぬり)」や「木地呂塗(きじろぬり)」など、
    多種多様な技法を自在に操った漆器。
    1600年代前半が起源とされ、
    温泉やこけしでも有名な大崎市鳴子でつくられています。
    墨を流したような模様をつくり出す技法「竜文塗」や、
    漆の下から木地の木目が浮かび上がらせる技法「木地呂塗」といった
    塗りの技術に優れています。

  • 秋田県大館市

    大館曲げわっぱ(おおだてまげわっぱ)



    天然の秋田杉を曲げ、山桜の樹皮で留めて仕上げた曲げ物です。
    秋田杉を使って曲げ物がつくられ始めたのは、1300年ほど前まで遡ると考えられ、
    1600年代より、窮乏打開のため盛んにつくられるようになりました。
    日本三大美林に数えられる秋田杉を活かして、お弁当箱やおひつを中心に制作。
    美しい木目と爽やかな香りが魅力です。

    【お取り扱いのあるブランド】

    • 大館工芸社

      約60年に渡り大館曲げわっぱを手がけ、現在では積極的に工場での生産を進めるなど革新的です。
      「小判弁当」は、秋田杉の美しさはそのままに、現代生活での使い勝手を考えたウレタン塗装仕上げ。
      需要に合わせて柔軟に変化、対応することで、伝統の技が守られています。

    • 柴田慶信商店

      杉の木が持つ力を最大限に発揮できるよう、白木にこだわる柴田慶信商店。
      美しい製品は世界中で数々の賞を受賞し、柴田慶信氏は皇太子殿下の前で実演を行ったこともあるほど。
      お弁当箱やおひつだけでなく、デザイナーとのコラボレーションでパン皿やバターケースを手がけるなど、新しい挑戦にも積極的です。

  • 秋田県湯沢市

    川連漆器(かわつらしっき)


    画像提供:経済産業省 東北経済産業局

    安価で丈夫なお椀に定評のある川面漆器。
    鎌倉時代にはじまり、1615年頃から盛んに。
    農業が主な収入源の地域ながら、年の半分が雪に覆われたことから、
    内職として漆の仕事をはじめたのが原点です。
    お椀を中心に、重箱なども手がけてきました。
    割れに強い木取りの方法を採用し、
    下地づくりに力を入れているので、堅牢さが特徴。
    また、質を落とさず工程の数を抑えることで、価格が手頃なのもポイントです。

  • 山形県山形市

    平清水焼(ひらしみずやき)


    画像提供:山形県商業・県産品振興課

    1800年初頭より山形市の南東、千歳山の麓でつくられる陶器と磁器。
    陶器、磁器それぞれの成分となる土が採れたため、
    両方がつくられてきました。
    白化粧をかけたやわらかな質感の陶器や、
    鉄分を多く含む土を活かした表現が特徴です。
    現在も残る三つの窯元には共通する明確な特徴は見られませんが、
    それぞれさまざまなうつわをつくり、切磋琢磨しています。

  • 福島県会津若松市など

    会津塗(あいづぬり)


    画像提供:経済産業省 東北経済産業局

    福島県会津地方でつくられる、美しい装飾が魅力の漆器。
    1590年にはじまったと伝えられています。
    表面に文様を施す「加飾」が多く用いられ、
    縁起のよい図案などが華やかに彩ります。
    上塗りには、油分を含んだ漆で仕上げることで、
    しっとりとした美しさが魅力の「花塗り」という技法がよく採用されます。
    会津塗を手がける地域は、日本有数の漆器一大産地になっています。

  • 福島県会津美里町

    会津本郷焼(あいづほんごうやき)


    画像提供:経済産業省 東北経済産業局

    桃山時代を起源につくられてきた、重厚な陶器と繊細な磁器。
    瓦を焼いたのがはじまりとされ、その流れを汲む陶器と、
    産地で採れる陶石を原料とした磁器の両方がつくられています。
    かつての陶器は、薄いと変形しやすい土の性質上、厚く飾り気のないものが主流。
    厚手であることで、料理が冷めにくいという寒冷地ならではの工夫でもありました。
    郷土料理であるニシン漬けを保存する「ニシン鉢」が代表的なうつわです。
    陶器は主に飴釉を使ったどっしりとしたもの、
    磁器は染付などの装飾に凝った華やかなものが中心でしたが、
    現在残る13の窯元は、それぞれ異なる作風にチャレンジしています。



※参考書籍:
「産地別 やきものの見わけ方」佐々木秀憲監修(東京美術)
「民藝の教科書② うつわ」久野恵一監修/萩原健太郎著(グラフィック社)
「民藝の教科書③ 木と漆」久野恵一監修/萩原健太郎著(グラフィック社)

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