料理する道具

種類による特徴

    • 鉄

      使い込まれた鉄瓶は、しっとりとした光沢があり、
      沸かしたお湯がまろやかで美味しくなると言われています。
      また、水に触れることで、鉄肌の表面から
      体内への吸収率が高い鉄イオンが溶け出し、
      自然と鉄分を補うことができるという、うれしいおまけ付き。
      きちんと丁寧に使っていけば、
      親子代々使い続けられるという耐久性も魅力です。

    • 銅

      銅の最大の特徴は、優れた熱伝導率。
      そのため、ヤカン全体に熱が均等に回り、お湯が早く沸きます。
      さらに、抗菌・除菌作用や塩素を分解する作用もあり、
      お湯を美味しくしてくれます。
      たとえ内側にめっきが施されていても、めっき表面の微細な穴を通して
      水が銅に触れるため、効果はあるとか。
      銅独特の赤金色から、使い込むうちに深みのある飴色へと姿を変える
      経年変化も楽しめます。

  • ステンレス

    • ステンレス

      鉄にクロムやニッケルなどの金属を添加し、サビに強くしたものがステンレス。
      よく見る「18-8ステンレス」とは、クロム18%、
      ニッケル8%を加えているという意味です。
      使用前や使用後のお手入れは、食器とほぼ同じ。
      お手入れが簡単なのが特長です。

  • ホーロー

    • 磁器イメージ

      鉄にガラス質の釉薬を施したもの。
      鉄同様の熱伝導率がありながら、表面のガラス質がサビや腐食から守り、
      においも付きにくくするという特徴があります。
      色は釉薬の色によるので、赤や青、黄など
      さまざまなカラーバリエーションが楽しめるのもうれしいところ。
      ただ、衝撃には気を付ける必要があります。

  • 使い始めにやること

    • 2~3回繰り返しお湯を沸かす

      • 2~3回沸かす

        「鉄瓶の中を水で軽くゆすぎ、2~3回繰り返しお湯を沸かします。お湯が澄んでから飲用してください」(東屋、釜定)。

    • 食器用洗剤をつけて洗う

      ステンレス

      ホーロー

      • 食器用洗剤をつけて洗う

        「食器用洗剤を付けたスポンジなどでよく洗い、すすぎます」(野田琺瑯、柳宗理)。

        銅の場合、流通時の変色をできるだけ抑えるため、ヤカンの外面に蝋塗りをしている場合があります。
        「食器用洗剤を付けたスポンジなど使ってお湯で洗うと落ちます。蝋塗りが落ちると、銅が露出して、自然な酸化がはじまり、深みのある飴色へと風合いを増していきます」(東屋)。

  • 食器用洗剤をつけて洗う

    • 湯垢をつける

      • 湯垢をつける

        鉄瓶のお手入れ方法の原則は、「内側は触らない」(東屋、釜定)です。
        なぜなら、サビを防ぐために、「焼抜き」といって、
        製造工程の仕上げに鉄瓶を高温で焼き、「酸化皮膜」をつくっているから。
        そして、使用していくうちに付いていく「湯垢(ゆあか)」を取らないようにするため。

        白い粉のように見える湯垢は、「水中のカルシウムなどのミネラル成分が白く定着したもので、鉄瓶の内側の過度なサビの発生を抑える働きをしてくれます」(東屋)。
        サビ止め効果だけでなく、「湯垢によって、お湯がまろやかに、味がよくなる」(釜定)というメリットもあります。

        そして、湯垢は繰り返しお湯を沸かすうちにできていくものですが、
        「早く付けるためには、使い始めの1ヵ月はとくに、毎日使うことが肝心。弱火から中火以下の火力で時間をかけて沸かすと効果的です。さらに、浄水器でろ過した水よりも、カルシウム含有率が高いミネラルウォーターの方が付着は早まります」(東屋)とのこと。

    • 熱いうちに布で磨いて光沢を出す

      • 熱いうちに布で磨いて光沢を出す

        丁寧にお手入れをして使い続けることで光沢が増し、経年変化が楽しめる鉄瓶。「熱いうちに、濡れた布巾で拭くと美しい光沢が生まれます」(釜定)。
        また、表面のお手入れには煎茶が効果的なのだとか。
        「鉄瓶が熱いうちに、煎茶に浸し軽く絞った布で磨きます」(東屋)。

    • やってはいけない使い方

      • <空焚き>

        ステンレス

        ホーロー

        空焚き

        どの素材も、空焚きは厳禁。破損や変形の原因になってしまいます。
        さらに、鉄瓶の場合は、「鉄肌の傷みやサビの原因にも」(東屋)。
        銅のヤカンも、「注ぎ口や取っ手、つまみの破損や変形、
        また、内面メッキが剥がれる原因になってしまいます」(東屋)。

      • <急冷>

        ステンレス

        ホーロー

        急冷

        高温の状態で水をかけるなど急冷することで、「割れやヒビが起こる可能性があります」(東屋、野田琺瑯)。
        また、「急冷時に発生する水蒸気や飛び散る水滴で火傷をする恐れがあります」(東屋、柳宗理)。

      • <満水での使用>

        ステンレス

        ホーロー

        満水での使用

        使用するときは満水の7分目以下にします。
        「熱することで水が膨張したり、注ぎ口が細くなっている形状上、熱湯の吹き出しなどの恐れがあります」(東屋、野田琺瑯)。
        購入する際は、その点を留意して、容量を選びましょう。

  • 使った後のお手入れ

    • 余熱で乾かす

      • 余熱で乾かす

        鉄瓶は、サビ止めになる酸化皮膜や、内側の湯垢を落とさないようにするため、使用後もこすったりせず、水分を飛ばすだけにします。

        「沸かしたお湯はその都度必ず出し切ってください。すぐに蓋を外し、余熱で乾かします。水気が残る場合は、火にかけて水分を飛ばします。空焚きにならないよう、蒸発しはじめたらすぐに火を止めてください」(東屋)。
        過度なサビを発生させないためにも、しっかり水分をとりましょう。

    • 食器用洗剤で洗う

      ステンレス

      ホーロー

      • 食器用洗剤で洗う

        食器などと同じように洗えるのは、銅、ステンレス、ホーローのもの。
        「やわらかいスポンジなどに食器用洗剤を付けて洗い、水気を取って乾燥させます」(東屋、野田琺瑯、柳宗理)。

    • やってはいけない洗い方

      • <食器洗浄機の使用>

        ホーロー

        食器洗浄機の使用

        サビや腐食の原因になることから、鉄やホーローのものは食器洗浄機で使用できないとされているものがほとんど。
        鉄をガラス質の釉薬でコーティングしてあるホーローは、「ヒビ割れや細かな傷、ガラス質のツヤがなくなることがあります」(野田琺瑯)。 また、銅の場合は、「食器洗浄機で使用する洗剤の中には研磨成分が入ったものもあり、全体的に擦れたような傷が付く可能性があります」(東屋)。


      • <金属タワシ、研磨剤の使用>

        ホーロー

        金属タワシ、研磨剤の使用

        「表面に傷が付く原因になるので、金属タワシや研磨剤は使用しないでください」(東屋、野田琺瑯)。
        とくに鉄瓶は、サビ止めになる酸化皮膜や湯垢が落ちてしまうので、「こすらない」が原則です。

  • 困ったときの対処法

    • サビが出てしまったら

      • <お湯が濁っていなければ大丈夫>

        お湯が濁っていなければ大丈夫

        鉄瓶は使っていくうちに、内側にところどころ赤茶色の斑点や流れるような模様が現れ、サビが出てきます。
        「扱い方に関わらず、自然にサビが出てきますが、お湯が濁っていなければ、そのまま使って大丈夫です。そうして使い続けるうちに、内側の全体に白い粉が付いたように湯垢が付いてきて、これがサビの防止へとつながります」(東屋、釜定)。
        少々赤いサビが出てきてもあわてずに。
        焦って、せっかく付き始めた湯垢をこそげ落とすことがないよう気を付けましょう。

    • <お湯が濁ってしまったら>

      鉄瓶の内側に赤サビが広がり、沸かしたお湯が赤くなってしまったら、使用を止め、サビを取る必要があります。
      この状態を「金気(かなけ)」と言います。
      「単に表面が赤く見えるだけでお湯が濁っていない状態を『サビ』と言い、昔から鉄瓶職人の間では、『金気』と『サビ』は厳密に区別されていました」(釜定)。

      金気が出てしまったときの対処法は、煎茶。
      「お茶のタンニンと鉄分の反応により、サビを抑える皮膜がつくられるのです」(東屋)。

      • やわらかいブラシでサビを落とす

        やわらかいブラシでサビを落とします。

      • 煎茶葉を入れる

        サビを洗い流したら、7分目まで水を入れ、湯呑み一杯程度の煎茶葉を入れます。

      • 煎茶葉を煮出す

        沸騰したら、ごく弱火にして30分ほど煮出します。

      • 10時間ほど置く

        火を止め、そのまま10時間ほど置きます。お湯が黒く変化し、サビを抑える皮膜がつくられます。

      • 水を替え沸騰させる

        鉄瓶の中を洗い流し、再び7分目まで水を入れ、沸騰させます。お湯が濁っていなければ完了。まだ濁っていたら、水を替え沸騰させることを繰り返します。

      ※商品によっては、自分で対処せずメーカーに相談することをすすめるところもあるので、各商品の取扱説明書に従ってください。

      • <研磨剤を付けてこする>

        ステンレス

        研磨剤を付けてこする

        「ヘアライン」といって、もともと細かな筋が入っているステンレスは、こすり洗いも平気です。サビてしまった場合は、「スポンジにクレンザーなどを付けてこすり落とし、すすいでください」(柳宗理)。

    • 緑青が出てきたら

      • 緑青が出てきたら

        銅のヤカンは、酸素や水、塩分に反応して「緑青(ろくしょう)」という緑色のサビが出ることがあります。
        無害ですが、気になる場合は、酢と塩を使って落とします。
        「酢と塩を、同量もしくは塩を少し多めに混ぜて布に付け磨いてください。その後水洗いして、水気をよく拭き取って乾燥させてください」(東屋)。

<金属用語集>
金気(かなけ)
鉄瓶の湯が濁るほど赤くサビること。
単に表面が赤く見えるだけでお湯は澄んだ状態のことを「サビ」と言い、昔から鉄瓶職人の間では、「金気」と「サビ」を区別していました。
湯垢(ゆあか)
水中のカルシウム成分が白く付着したもの。
鉄瓶の内側についた湯垢は、過度なサビの発生を押さえ、お湯がまろやかに美味しくなると言われています。
緑青(ろくしょう)
銅が酸化することで表面に生成される緑色のサビの一種。
かつては有毒とされ、鍋、フライパン、ヤカン、マグカップなどの製品の内側にはメッキを施すよう法律で規制されています。
現在では、まったくの無害と証明されていますが、法律は残り、現在でも内側にメッキを施しているのだとか。
<ご協力いただいたみなさま>
  • 東屋
  • 月兎印
  • 柳宗理
  • 釜定
  • 野田琺瑯
ご利用ガイド