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ガラス(非耐熱)
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最も普及しているのは、耐熱ではないガラス製品。
特に「ソーダガラス」と呼ばれる種類のものが多く、
急激な温度差と強い衝撃に弱いことが特徴。
「耐熱ガラス」と明記されていないものは、ほぼ非耐熱のガラスのため、
温度差には十分注意が必要です。
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耐熱ガラス
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ガラスにホウ酸という物質を加えることなどによって、
普通のガラスよりも熱で膨張する割合が小さく、温度変化に強いガラス。
耐熱温度差(※)が120度以上400度未満のものが
「耐熱ガラス」に分類されます。
衝撃に強い「強化ガラス」と混合されがちですが、
強度は非耐熱のガラスと同等程度なので、注意が必要です。
耐熱ガラスの中でも「熱湯用」「電子レンジ用」「オーブン用」「直火用」の使用区分があり、
耐熱ガラスであることとあわせて、パッケージなどへの表示が家庭用品品質表示法により定められています。
基本的に耐熱ガラスはすべて熱湯の使用が可能なため、
電子レンジ・オーブン・直火のいずれも使用不可な商品に「熱湯用」の表示がされています。
電子レンジ・オーブン・直火のいずれかの使用が可能な場合には、それぞれの使用区分が示され、
「熱湯用」の表示は省かれている場合が多いです。
使用区分は、以下のようなガラスの特徴に応じて分けられています。
ガラスの特性は概ね同じですが、ガラス以外の付属部品の耐熱性などによって区分されています。
また、一定以上の設備規模を満たす工場で生産され、
「社団法人日本硝子製品工業会」の基準に合格した耐熱ガラスには、
赤い「耐熱認証シール」が貼ってあり、目印になっています。
※耐熱温度差
加熱した状態から冷水などに入れて急速冷却しても割れない温度差のこと。
「耐熱温度」とは異なります。
例えば耐熱温度差120度のガラスは、120度までしか熱せられないわけではなく、
急熱・急冷したときの温度差が120度の範囲内であれば破損しないということです。
耐熱温度差が120度以内であれば、120度以上の高温も耐えられます。
耐熱ガラスの場合は、必ず耐熱温度差が明記されているので、使用前に必ず確認してください。
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洗う
ガラス(非耐熱)
耐熱ガラス
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どのガラスも、初めて使う前には
中性洗剤を柔らかいスポンジにつけて、軽く洗ってください。
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電子レンジやオーブンでの使用
耐熱ガラス
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非耐熱のガラスは電子レンジ・オーブン不可なものがほとんどですが、
耐熱ガラスは使用区分に合わせて
電子レンジ・オーブンでも使用できるものがあります。
ただし、「中に何も入っていない状態で電子レンジやオーブンにかけて、
空だきすることは避けてください」(THE、HARIO)
使用前に必ず各商品に明記されている使用区分を確認してください。
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やってはいけない使い方
ガラス(非耐熱)
耐熱ガラス
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<急熱・急冷>
非耐熱ガラスは温度差に弱いため、急熱・急冷は厳禁。
急激な温度変化、特に急冷すると破損の危険があるので、
ガラスが熱いうちに冷たいものを入れたり、濡れたところや
冷たいステンレスのテーブルの上に置かないでください」
(Sghr スガハラ、松徳硝子、木村硝子店、セラーメイト)
「ガラスの器は、鍋から直接熱々の料理(パスタなど)を盛ると
割れることがよくあるので、必ず少し冷ましてから入れてください。
また取っ手付きのジャグなどは、特に熱や衝撃に弱く、
お茶を入れただけで割れてしまったこケースも」(ガラス工房 橙)
逆に、「ゆっくりと温度が上がるのであれば、蒸し器での使用なども大丈夫です」(Sghr スガハラ)
「お湯割りをつくるときは、お酒を先に入れてから、グラスの中央にお湯を注げば、
直接ガラスに熱が伝わらないので、割れにくくなります」(ガラス工房 橙)と、
急激な温度差にさえ注意すれば、多少の高温にも耐えられるよう。
そのほか、メーカーによっては「常温の状態のグラスに100度近いポットのお湯を注いでも問題ありません」
(Sghr スガハラ)というように、自社で検査を行い、日常の使用の範囲内であれば、
耐熱ガラスでなくても、ある程度の温度差は可としている場合もあります。
一方、温度差に強い耐熱ガラスも、耐熱温度差を超えると割れる恐れがあるため、
「途中で差し水する場合は冷水を避け、ガラスが熱くなっている時は
濡れた布で触れたり、濡れたところに置かないでください」(THE、KONO、HARIO)と、
非耐熱のガラスと同様に十分な注意が必要です。
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<衝撃>
「ガラスは傷がつくと強度が落ちるので、
ガラス同士や固いものとぶつからないようにしてください」
(松徳硝子、Sghr スガハラ、セラーメイト、木村硝子店、THE、KONO、HARIO)
「金属のカトラリーなど固いもので、強くこすったりしないでください」
(松徳硝子、HARIO、ガラス工房 橙)
「大きな氷の塊を勢いよく入れると、衝撃で割れることがあります」(ガラス工房 橙)
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食器用洗剤をつけて洗う
ガラス(非耐熱)
耐熱ガラス
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初めて使う前と同様、食器用の中性洗剤などをつけて、
柔らかいスポンジを使って洗ってください。
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拭く
ガラス(非耐熱)
耐熱ガラス
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水あかが残るのを防ぐため、洗った後には自然乾燥ではなく、布で拭いてください。
「ポリエステル素材のグラス用クロスがあると、
毛足がつくことなく、ガラスを傷付けないのでおすすめです」(Sghr スガハラ)
そのほか、麻のふきんも毛足が付きにくいです。
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やってはいけない洗い方
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<食器洗浄機の使用>
ガラス(非耐熱)
耐熱ガラス
非耐熱のガラスは、食器洗浄機不可のものがほとんど。
「温度的には大丈夫でも、取っ手や足がついているものは、
破損しやすいため、使用は避けてください」(ガラス工房 橙)
耐熱ガラスは対応しているものが多いですが、
木の取っ手などガラス以外の部品がついているものや、
繊細な装飾が施されているものなどは
使用することができないので、取扱説明書の表示に従ってください。
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<金属タワシ、研磨剤の使用>
ガラス(非耐熱)
耐熱ガラス
細かい傷でも割れの原因につながるため、
表面を傷付ける恐れがある金属タワシや研磨剤の使用は厳禁。
「破損及び強度の劣化につながります」
(Sghr スガハラ、松徳硝子、THE、セラーメイト、KONO、HARIO)
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<ひねり洗い>
ガラス(非耐熱)
耐熱ガラス
ガラスの内側を洗う際に、
無理に内側から力を入れてひねるように洗うと、破損の可能性が。
「無理な力を加えずに奥まで洗える、柄付きスポンジなどの使用をおすすめします」
(Sghr スガハラ、松徳硝子、木村硝子店、KONO、HARIO)
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保管方法
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<なるべく積み重ねない>
ガラス(非耐熱)
耐熱ガラス
「ガラスは積み重ねると、破損したり外れなくなったりするので、
スタッキング可と説明書などに明記されている商品以外のものは
積み重ねないで保管してください」(松徳硝子、木村硝子店、木村硝子店)
「スタッキングできる形状の商品でも、手づくりのため大きさに個体差があり、
重ねると外れなくなることも」(ガラス工房 橙)
やむを得ず重ねる場合は、グラスの間に柔らかい紙などを挟むと安心です。
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水あかがついてしまったら
ガラス(非耐熱)
耐熱ガラス
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水道水のミネラル分などが付着して、自然乾燥させた場合に付いてしまう水あか。
「水あかはアルカリ性なので、酸性の食酢などで
中和させると落ちやすくなります」(松徳硝子、HARIO、木村硝子店)
「酢に塩を混ぜると酸性が強くなるので、ペーパータオルや布巾につけてこすると、
酸性が強くなるので、より効果的です。
中が洗いにくい形のガラス製品も、粗塩を多めに入れて、
薄めた食酢ですすいでください」(Sghr スガハラ)
また、「メラミンスポンジの使用も効果的です」(ガラス工房 橙、Sghr スガハラ)
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茶渋やコーヒーの色がついてしまったら
ガラス(非耐熱)
耐熱ガラス
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「汚れがひどい場合は、漂白剤を薄めて使ってください」(HARIO)
「樹脂や木製のハンドル、または金属のバンドなど、
漂白剤が使えないパーツが付いている場合は、
漂白剤をガラスの中に溜めて使用してください」(KONO)
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ヒビが入ったり欠けてしまったら
ガラス(非耐熱)
耐熱ガラス
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小さなヒビでも使用を止めることがベスト。
「ヒビ、欠け、強い擦り傷の入ったものは、
思わぬときに破損することがあります」
(THE、松徳硝子、HARIO、セラーメイト、KONO、木村硝子店)
「ガラスの分子は不規則に並んでいるため、
目に見えないヒビが蓄積されて、突然大きく割れてしまう可能性があります」
(Sghr スガハラ)
素人の判断で使用を続けるのは危険です。
それでも使い続けたい場合は、
「メーカーやガラスの加工会社などによっては、欠けた部分を削ったり切り取って
仕立て直すこともできるので、相談してみては」(Sghr スガハラ、HARIO)
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熱湯消毒したい場合
ガラス(非耐熱)
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保存容器などを使う前に行いたい煮沸。
しかし非耐熱のガラスの場合、熱湯をかけて消毒すると割れてしまいます。
「煮沸するには、鍋と容器の間に布巾を敷いて水を入れ、
水の状態から徐々に沸かしてください。
この方法なら急激な温度変化を避けられるので、
非耐熱ガラスでも破損の可能性は低くなります。
また煮沸した後は、自然に冷やしてください。
熱くなったガラスを冷たいステンレスの台の上に置いたり、水の中に入れると
急冷されて破損する場合があります」(セラーメイト)
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<ガラス用語集>
- ソーダガラス(ソーダライムガラス、ソーダ石灰ガラス)
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珪酸・ソーダ灰・石灰を主成分にする、最も一般的なガラス。
食器のほか、窓ガラスなどにも広く使われています。
- 耐熱ガラス(ホウケイ酸ガラス)
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ガラスは他のほとんどの物質と同じように、
熱すると膨張し、冷やすと収縮する性質があります。
そのため、ガラスのコップに熱湯を注ぐと、直接触れる内側の面のガラスは急激に膨張しますが、
外側の面はすぐには膨張せず、この差によって割れてしまいます。
耐熱ガラスはソーダガラスに比べ、ホウ酸の比率が高く、熱しても膨張しにくいため、
熱湯を注いでも耐熱温度差の範囲内であれば、割れることはありません。