一年で一番暑い時期。自然の暑さを味わうという、新しい贅沢を
立秋とは、「秋立つ」の意ですが、
実際には名ばかりで、
この頃が一年で最も暑い時期。
「暑さ寒さも彼岸(秋分の頃)まで」というように、
涼しくなってくるのは、まだ当分先の話です。
秋分(9月23日)までの暑さのことを「残暑」と呼び、
季節の挨拶状は「暑中見舞い」から「残暑見舞い」に
替わります。
空には入道雲。蝉の声がうるさいくらいの日中を過ぎ、
焼け付くような日差しがようやく傾きはじめる頃、
日中の暑さでだるくなった体を横たえ、
少しぼんやりとしていると、どこからともなく聞こえてくる
カナカナと鳴く、ひぐらしの声。
日中の息苦しいほどの熱気を含んだ空気とは違う、
夏の終わりを予感させる風が、ふと頬をなで、秋を感じる日が、日に日に増えていく頃です。
各地ではさまざまな夏祭りが催され、暑い夏の終わりを惜しむように、夏をめいっぱい楽しむのです。
暑くて暑くて、早く涼しくなってほしいと思いながらも、
本当の夏の暑さを感じられるからこそ、冷たいものの冷たさをいつも以上に感じることもできるはずです。
きっと、涼しい部屋で冷たいものをいただくよりも、暑さのなかで感じる冷たいものは、いつもの数倍おいしいはず。
食欲がなくなりがちな夏ですが、だからこそ、夏においしいとされる旬の野菜や果物、魚を食べて、
よく冷えた飲みものに喉を鳴らす喜びを、心から、そして体で感じることができるのではないかと思います。
自然の大きすぎる力を痛いほど感じる昨今、
一方で、自然が与えてくれる恵みのことを、あらためて見直し、感謝をする機会にもなるはず。
そして、無理はせず、けれど自然に寄り添い、ともに歩んでいくことを考えてみたいと思うのです。
8月(立秋・処暑の頃)が旬の食べもの
枝豆、とうがん、唐辛子、オクラ、しょうが、とうもろこし、ゴーヤ、トマト、パプリカ、ピーマン、みょうが、モロヘイヤ、すいか、すだち、ぶどう、マスカット など | |
たこ、かんぱち、たちうお、おこぜ、あわび、こんぶ など |