焼きものの土地として知られる栃木県益子の山のふもとに、
郡司庸久（つねひさ）さん、慶子さんの「郡司製陶所」があります。

まるで木々の間を吹き抜ける風のように、
自由にしなやかに器づくりに向き合う２人から届いた「６寸プレート」は、
おおらかさがかたちになったような、枠にとらわれない器です。

高台はなく、斜め上に向かって広がるように立ち上がった縁。
手に取ると、つるりとした見た目とは裏腹に、
無釉の土そのものといった感触が手のひらに触れます。

ひっくり返すと、釉薬のかかっていない底面から覗く白っぽい素地。
素地との境目には、釉薬がぷっくりとのっています。
ほどよい深さがあるので、
汁気のあるロールキャベツや肉や魚の煮込み料理でも、ソースやスープがこぼれません。

シンプルだけど奥深い佇まいは、
クッキーやケーキなどの洋菓子から魚の煮つけとつけ合わせの野菜まで、
盛りつける料理のジャンルや用途を軽々と飛び超えさせてくれます。
複数枚揃えれば、取り皿としても重宝するはず。

郡司さんたちの作陶のスタイルは、
夫婦で話し合うときもあれば、
ときには器を扱うお店の人も巻き込んでつくることもあるそう。

そして、でき上がったものを実際に使ってみて、
「いいな」と思ったものを採用していくのだとか。
なるほど、どうりで使い勝手がいいわけです。

色は、乳白色と呼びたくなる、やわらかな印象の「白」。
透明感があり濃淡がよくわかる「薄あめ」。
チョコレートのように深い茶色の「濃あめ」。
こっくりとして、磁器のような光沢のある「黒」の４種類。

実体験に裏打ちされた使いやすさから、
どんな料理を盛りつけてもしっくりくるやわらかな印象の「６寸プレート」。
和風でも洋風でもない、郡司さん特有の自然体な雰囲気をまとっています。