【如月】塩山奈央さんに教わる「伊予柑のマーマレード」 | 保存食暦 | cotogoto コトゴト
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季節の恵みを大切にいただく、保存食暦

伊予柑のマーマレード

きーんと痛いくらい冷たい風に爽やかに香る柑橘類。
太陽がよく似合う柑橘類ですが、その多くの旬は冬です。
中でも甘みが強くて食べやすい伊予柑は、2〜3月頭が食べごろ。
砂糖を加えてコトコトと煮詰めるマーマレードにすれば、
冷蔵で1年近くも保存が可能です。
フレッシュな美味しさをぎゅうっと凝縮した「伊予柑のマーマレード」を、
料理家・塩山奈央さんに教えていただきました。

アレンジレシピのつくり方を見る



旬の食材のこと

旬の食材「伊予柑」
瑞々しく苦味と甘味のバランスがいい伊予柑

伊予柑は、1〜3月頃出回り、2月に最盛期を迎えます。
温州みかんに比べるとふた回り程大き目で、
果汁が多く甘味が強いのが特徴。
柑橘類は皮に苦味がありますが、
伊予柑の皮は手で剥ける程度の厚さのため、
果肉の甘味と皮の苦味のバランスがよく、
余すところなく使うことで、爽やかな柑橘の香り立つ
美味しいマーマレードが出来上がります。

塩山奈央さん
教えていただいたのは…

料理家 塩山奈央さん

パタンナーを経て、たべもの・ぬいものを通して心地よい暮らしを提案する「暮らし家」に。衣食住すべてにおける丁寧な暮らしぶりが人気。「まめまめしく」をモットーに、保存食や発酵食づくり、手製の石鹸や針仕事など、暮らしの中にある手づくりの楽しさを雑誌の連載や著書で伝えています。著書に「まめまめしい暮らし」(ピエブックス)、「四季ごはんを、まめまめしく。:のんびり楽しむ、旬のおいしさ」(誠文堂新光社)など。ブログはこちらから。



 

伊予柑のマーマレードのつくり方

用意するもの

用意するもの
材料(つくりやすい分量/
完成量約450g分)
  • 伊予柑…2〜3個(約600g)
    (皮ごと使うので無農薬のもの)
  • 砂糖…伊予柑の重さの25〜30%
    (伊予柑600gなら150〜180g)
 

※農薬使用の伊予柑の場合、野菜などにも使える洗剤とスポンジでよく洗ってから使用します。完全に取り切れるわけではないので、できるだけ無農薬のものをおすすめします。
※砂糖はお好みのものを使ってください。すっきりした味と色鮮やかに仕上げたい場合は、グラニュー糖がおすすめです。今回は、「洗双糖」を使用。

つくり方

伊予柑の皮を剥く

1.洗ってヘタを取った伊予柑の皮に、ヘタの反対側の凹みからヘタの方に向かって6等分になるよう切り込みを入れ、皮を剥きます。

皮をスライスする

2.剥いた皮を約1mmの厚さに薄くスライスします。スライスしたものから水にさらします。

【ポイント】
厚みによって仕上がりの苦味が変わります。ビターな味わいが好きな場合は少し厚めに、苦味が苦手な場合はより薄くスライスしてください。

皮を水にさらす

3.すべてスライスし終わったら一度水を替え、2時間程度水にさらして皮の苦味を抜きます。

【ポイント】
甘夏などのように皮が厚いものは、一晩程度水にさらす必要がありますが、伊予柑は2時間程度で大丈夫。苦味をさらに抜きたい場合は、さらす時間を長くします。

薄皮を剥、種と果肉を分ける

4.果肉の処理をします。薄皮を剥き、果肉と薄皮と種に分けます。口当たりをよくするために、できるだけ果肉から白い部分をとるようにします。種は後で使うのでとっておきます。

薄皮を絞る

5.集めた薄皮を絞って果汁を出し、絞った薄皮は捨てます。

【ポイント】
ジャムにしたときにとろみの元になるペクチンは、種や薄皮に含まれているので、無駄なく使います。

果肉に砂糖をまぶす

6.果肉に砂糖の1/2量を加えます。浸透圧の効果で、果汁が出てきます。

皮のアクを抜く

7.スライスした皮のアクを抜きます。鍋に皮とたっぷりの水を入れ火にかけ、沸騰したら約1分そのまま煮て、ざるなどにあげます。再度同じように水から火にかけ、今度はアクが出るまで煮続けます。アクをとったら、ザルにあげてお湯を切ります。味見をして、好みの苦味になるまで繰り返します。

皮が透明になるまで煮る

8.好みの苦味になったら、かぶるくらいの水とお茶パックに入れた種を入れ、皮の白い部分が透明になるまで煮ます。

果肉を加えアクを取る

9.皮が透明になったら、種パックを取り出します。6の果肉を加えて強火にかけ、沸騰したら弱火にします。アクが出たらとります。

砂糖を加えて煮詰める

10.アクが出なくなってきたら、残りの砂糖を加え、煮詰めていきます。

火を止める

11.鍋底に汁がうっすらと残り、もったりとしたところで火を止めます。

【ポイント】
冷めると硬くなるので、汁が少しシャバシャバしているかなというところで火を止めます。

瓶に詰めて脱気する

13.熱いうちに、煮沸消毒した瓶の9分目程度までマーマレードを詰めます。瓶の底を机に軽くトントントンと打ち付けて空気を抜きながら詰めていきます。すぐに蓋を閉め、逆さに置いて脱気します。完全に冷めてから、蓋が簡単に開いてしまわないか確認します。しっかり締まっていたら、冷蔵で1年程度保存が可能です。
※一度開けたら、お早めにお召し上がりください。

「伊予柑のマーマレード」のアレンジレシピ

マーマレードの豚肉巻き白ワイン煮
「マーマレードの豚肉巻き白ワイン煮」

マーマレードに松の実、パルメザンチーズ、パン粉を合わせ、豚肉の薄切りに巻き、タマネギと一緒に白ワインで煮た肉料理。こっくりとした味わいに、マーマレードが爽やかなアクセントを添えてくれます。

 

アレンジレシピのつくり方を見る

マーマレードチーズタルト
「マーマレードチーズタルト」

ほんのりビターで甘酸っぱいマーマレードをたっぷり使って焼き上げたチーズタルト。クリーミーな中に伊予柑のフレッシュな香りが広がります。軽やかな口当たりで、ぺろりと食べられてしまいます。

 

アレンジレシピのつくり方を見る

 

塩山さんが選んだ器は…

ReIRABO オーバルプレート
S quiet white(イイホシユミコ)

うろこ雲のような独特な釉薬のムラと、丸みのあるかたちが特徴的なオーバル形の小皿。「シンプルだけれど、あたたかみのあるデザインで、何を入れても似合いそうです。Sは、食べる分だけのマーマレードを取り出すときにいいサイズです」

 
 
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