

2020年10月公開
ようやく涼しく秋らしくなってくる10月は、夏の疲れがどっと出やすい時季。
夏に収穫されたにんにくが、乾燥されて出回りはじめる頃でもあります。
にんにくは、疲労回復や滋養強壮に効果のあるアリシンが豊富。
香りがよく、料理の美味しさも引き立ててくれるから、
積極的に取り入れて、冬に向けてのスタミナ回復に活用したいものです。
とはいえ、薄皮を剥く手間や香りが手について落ちにくいのが少々面倒。
そこで、一度つくってしまえば、つけだれとして、
また、炒め物から煮物、和え物などに手軽に使える万能調味料「にんにく醤油」を、
料理家・柚木さとみさんに教わりました。
アレンジレシピは、
にんにくが香ばしさを増す「里芋の竜田揚げ にんにく醤油ごまだれ和え」と、
えびの旨味が引き立つピリ辛風味の「海老と青菜の中華炒め」をご紹介します。

健康維持や病気予防に効果のあるにんにく
にんにくは、食欲をそそる独特の香りが特徴的。
その香りの成分である「アリシン」には、
疲労回復や滋養強壮のほか、免疫力を高めたり、
がんの予防に効果があると言われています。
また、強い殺菌作用もあるため、
しょうゆに漬けたときに日持ちが可能なのです。

教えていただいたのは…
料理家 柚木さとみさん
カフェのプロデュースやメニュー開発、大手料理教室の講師など、食と食空間に関わる仕事を経て、料理家に。雑誌やWEBサイト、企業に向けたレシピ提案のほか、古民家をセルフリノベーションしたアトリエにて料理教室「さときっちん」を主宰するなど、幅広く活動中。著書に「塩レモン・塩ゆずパーフェクトブック」(タツミムック)、「体がよろこぶ!菌活レシピ」(幻冬舎ルネッサンス)など。オフィシャルサイトは、こちらから。

材料(つくりやすい分量/
完成量約150~200ml)
- にんにく…1玉(60g)
- 昆布…3×5cm(3g)
- しょうゆ…150~200ml

1.にんにくは皮を剥き、大きいものは半分に切ってから麺棒で叩いて潰します。ラップを被せながら叩くと、飛び散るのを防げます。昆布はペーパーでさっと拭きます。
【ポイント】
にんにくを叩き潰すと、繊維が壊れて風味が出やすくなります。みじん切りにすると加熱して使うときに焦げやすくなるので、潰すのがおすすめです。

2.にんにくの芯は消化不良が起きやすくなるので、取り除きます。

3.清潔な保存容器に2と昆布を入れ、にんにくがかぶるようにしょうゆを注ぎます。

4.蓋をし、冷蔵庫で1日以上置いたら完成です。冷蔵で2ヵ月保存が可能。長く漬けると昆布のぬめりが出てくるので、気になる場合は1週間ほどで昆布を取り除いてください。
柚木さんが選んだ器は…
平皿 飛び鉋 4寸皿(小鹿田焼)
ろくろで器を回しながら刻む飛び鉋の模様がリズミカルな平皿。「4寸ですが、中央に向かってほどよく窪みがあって大きく感じさせないから、しょうゆ皿にいいサイズ。柄が細かくて繊細さも感じます。小鉢のような使い方もよさそうですね」

旬の里芋に片栗粉をまぶして揚げたものを、「にんにく醤油」やおろし生姜、
ごまを合わせたたれに絡めていただく香ばしい一品。
揚げてからたれを絡めることで、しっかり味を纏います。
おつまみとしてはもちろん、白いごはんも進む、おかずとなる料理です。
材料(2~3人分)
- 里芋…400g
- 片栗粉…大さじ1
- 揚げ油…適量
- 「にんにく醤油」の
にんにく…小さじ1 - ごま…大さじ1
- 「にんにく醤油」…大さじ2
- おろし生姜…小さじ1/2
- ごま油…小さじ1
(たれ)
つくり方
1. すり鉢に「にんにく醤油」のにんにくを入れ、すりこ木でつぶします。ごまを加えてさらにすり潰し、「にんにく醤油」、おろし生姜、ごま油を入れてよく混ぜます。
にんにくをおろし金でおろし、すりごまを使っても簡単です。
2. 里芋は水洗いし、皮つきのまま蒸し器でやわらかくなるまで蒸します。皮を剥き、片栗粉をまぶします。
3. 揚げ油をあたため、約180度で2を揚げます。蒸してやわらかくなっているので、2~3分揚げて衣が香ばしくきつね色になったら取り出します。
4. 1に3を入れてよく絡めます。
柚木さんが選んだ器は…
皿 線 7寸(陶眞窯)
黄土色や薄緑色で唐草模様が描かれたやちむんのお皿。「茶色いおかずなので、縁を彩る大柄な模様が料理を装飾して華やかに見せてくれるやちむんを選びました。縁の内側に線があるとボリュームがあるように見える効果もあるんです」
「にんにく醤油」に豆板醤を加えた、ピリ辛の炒め物。
にんにくの香りがえびのくさみを抑え、うま味を引き立てます。
えびはあえて背中に深めの切込みを入れることで、
火を入れたときにぶわっと広がり味が絡みやすくなります。
これからの季節、青菜は青梗菜やほうれん草、春菊などもおすすめです。
材料(2人分)
- えび
…8~10尾(殻つきで160g) - 青菜…1束
※今回は、つるむらさき200gを使用 - ねぎ…5cm
- 生姜…1片(5g)
- ごま油…大さじ2
- 紹興酒…大さじ1
- 「にんにく醤油」
…大さじ1と1/2 - 豆板醤…小さじ1/2~1
- 片栗粉…小さじ1
- 水…小さじ2
(A)
(B)
※青菜は、青梗菜やほうれん草、春菊などお好みのものを。重量は、種類によって異なります。
つくり方
1. えびは殻と尾を外し、背中に深めに切り込みを入れて背ワタを除きます。ボウルに塩一つまみ(分量外)と片栗粉大さじ1(分量外)を入れ、揉むようにまぶします。水(分量外)を注ぎ入れ、流水でよく洗い、ペーパーで水気を取ります。
【ポイント】
えびは塩と片栗粉を使って洗うと、くさみが取れ、ぶりっとした食感に仕上がります。
2. 青菜は根元を除き、5cmの長さに切ります。ねぎ、生姜はみじん切りにします。
3. 調理の直前にえびに片栗粉(分量外)をまぶし、(A)をよく混ぜておきます。
【ポイント】
炒める前に片栗粉をまぶすことで、身がかたくならず、味の絡みもよくなります。
4. フライパンにごま油を強火で熱し、ねぎと生姜、えびを入れて炒めます。
5. 4に紹興酒を加え、アルコールを飛ばしたら(A)を加えて炒めます。仕上げによく溶いた(B)を加え、ダマにならないようとろみがつくまで手早く混ぜます。
柚木さんが選んだ器は…
デルフト皿 三度黒 L(イフジボックスメーカー)
カエデの木を植物由来の染料で染め、拭き漆のような深みを出したお皿。「加熱するとえびが鮮やかな色になるので、お皿はシックな色合いのものに。黒は料理が引き締まって見えます。また、真っ黒ではない、木目がみえて表情のあるところも素敵です」