【神無月】黒田民子さんに教わる柿の果実酢 | 保存食暦 | cotogoto コトゴト
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季節の恵みを大切にいただく、保存食暦

2018年10月公開

風がひんやりと感じられるようになる10月は、柿が色づきはじめる頃。
日本に古くからあり、栄養価も高い柿は、
発酵させてつくる「柿酢」としても親しまれてきました。
とはいえ「柿酢」をつくるのは、発酵具合や管理にコツがいるため少々難易度高め。
そこで今回は、柿を氷砂糖と一緒に酢に漬ける、手軽で失敗知らずの「柿の果実酢」を、
料理研究家・黒田民子さんに教わりました。

炭酸水などで割って飲むのはもちろん、甘さ控えめなので料理にも活躍します。
漬け込んだ柿の果肉も、甘味と酸味が利いていて、
ヨーグルトに添えたり和え物にしたり、美味しくいただけます。
アレンジレシピは、やわらかい甘さを寿司酢として活かす「柿の果実酢ちらし寿司」と、
漬け込んだ果実を白みそと合わせる「柿味噌のふろふき大根」をご紹介します。

アレンジレシピのつくり方を見る


 

旬の食材のこと

ビタミン豊富で「医者いらず」の柿

10~11月頃に旬を迎える柿は、「柿が赤くなると医者が青くなる」と言われるほど栄養豊富。
ビタミンCは柑橘類の2倍、ビタミンAも多く含まれ、風邪予防や美肌にうれしい果物です。
また、塩分を体から排出するカリウムやアルコールを分解する作用のあるタンニンも多く、むくみや二日酔いにも効果があると言われています。

教えていただいたのは…

料理研究家 黒田民子さん

生活総合情報サイトAll Aboutの「ホームメイドクッキング」担当ガイドとして、安心・美味しい・楽しいという観点から、四季折々を取り込んだ家庭でできる手づくり料理を紹介。10年以上もガイドを務める傍ら、新聞や雑誌、テレビへのレシピ提供も行っています。「やさしい保存食と自家製レシピ ― 一生つかえる1年中の手しごとのすべて。」(主婦の友社)、「果実酢のあるおいしい食卓―かんたん!楽しい!ヘルシー!」(昭文社)、「いちばん簡単な手作り燻製レシピ」(河出書房新社)など、保存食にまつわる著書も多数。 All About担当記事は、こちらから。



 

柿の果実酢のつくり方

用意するもの

材料
材料(つくりやすい分量/
完成量約180ml)
  • 柿…1個(約160g)
  • 氷砂糖…30g
  • 酢…150ml

  • ※使う酢によって色や味わいも異なります。黒酢や玄米酢、白ワインビネガーなど、お好みで酢をお試しください。

つくり方

柿を切る

1.柿を4等分に切って皮を剥き、さらに半分に切って8等分にします。

材料をすべて混ぜる

2.清潔な保存瓶に柿と氷砂糖を入れ、酢を注ぎます。

2~3週間漬け込む

3.2~3週間漬け込んだら完成です。果肉がとろりとしてきたら、酢が濁るので果肉は取り出し、果肉の残りが気になる場合はこして使用します。冷蔵で1ヵ月、取り出した果肉は1週間保存が可能です。

【ポイント】
溶けた氷砂糖が下に溜まりがちなので、ときどきゆっくりゆすって全体が均一になるようにします。

黒田さんが選んだ器は…

豆皿 土灰 ひまわり (東屋)

ひまわりのかたちをモチーフに、木灰をかけて焼いたザラリとした質感が特徴の豆皿。「縁のかたちに惹かれて選びました。酢やしょうゆを入れるのはもちろん、薬味をのせたり、梅干しなどのお漬物をちょっと添えるのに使いやすい大きさですね」

 




柿の果実酢ちらし寿司

やさしい甘みと角の取れたまろやかな味わいの「柿の果実酢」は、
お寿司にぴったりです。
サーモン、いくら、錦糸卵といったお馴染みの具に、
やわらかく煮た黒豆を「柿の果実酢」に漬けた酢豆も混ぜてアクセントに。
青柚子の皮を散らせば、香り高い秋のちらし寿司のでき上がりです。

材料(4~5人分)
  • 米…3カップ
  • 昆布…10cmの長さ1枚

  • (合わせ酢)

  • 「柿の果実酢」…大さじ4
  • 砂糖…小さじ1

  • (具)

  • 黒豆…30粒
  • 「柿の果実酢」…大さじ2
  • スモークサーモン
    …4切れ(50g)
  • いくら…60g
  • 錦糸卵…卵2個、塩小さじ1/2
  • かいわれ大根…1パック
つくり方

1. 米は洗って同量の水と昆布を入れ、30分ほど浸水させます。昆布を入れたまま、白米を炊くときと同様に炊きます。合わせ酢の材料は混ぜ合わせます。
2. やわらかく煮た黒豆をかぶるくらいの「柿の果実酢」に漬けます。使う「柿の果実酢」の量は容器にもよりますが、今回は大さじ2を使用。
3. 錦糸卵の材料を混ぜ合わせ、サラダ油を引いたフライパンで薄焼き卵を3~4枚焼きます。焼き上がったら、1枚ずつキッチンペーパーを挟み、冷めたら5cmの長さの細切りにします。
4. 炊きあがったごはんを飯台に移し、合わせ酢を回しかけ、切るように混ぜ合わせます。
5. 器に3をのせ、飾りの具を盛りつけます。



黒田さんが選んだ器は…

白木塗重箱 (松屋漆器店)

タモ材を透明なウレタン塗装で仕上げ、木目を生かしながらお手入れも簡単な「白木塗」の重箱。「行楽弁当に、漆の重箱では仰々しいけれど、これならカジュアルな雰囲気でいいですね。サンドイッチや和菓子を入れてもいいし、詰める中身を選びません」


柿味噌のふろふき大根

漬け込んだ柿の果肉は、とろりと甘い中に酢の酸味も感じられ、爽やかなジャムのよう。
白味噌と合わせるだけで、深みのある味わいの「柿味噌あん」に。
出汁でやわらかく炊き上げたふろふき大根にかけていただきます。
まるで割烹料理のような上品な一品は、おもてなしの食卓にもおすすめです。

材料(4人分)

    (柿味噌)

  • 「柿の果実酢」の果肉
    (取り出してスプーンで
    潰したもの)…大さじ2
  • 白味噌…大さじ2

  • 大根…1/2本(300g)
  • 出汁(昆布と鰹節)…300ml
  • 柚子の皮…適量
つくり方

1. 大根は4cm厚の輪切りにして厚めに皮を剥きます。表面に十字に切り込みを入れ、10分ほど蒸します。
【ポイント】
大根は、出汁で煮る前に蒸すことで味が染み込みやすくなります。

2. 1を出汁に入れ、弱火で30分ほどやわらかくなるまで煮ます。
3.潰した「柿の果実酢」の果肉と白味噌を合わせます。
4.器に大根と煮汁を盛りつけ、上に「柿味噌」と柚子皮を飾ります。



黒田さんが選んだ器は…

アグラとんすい 天目
(フォースマーケット)

ぽってりと厚みがある萬古焼のとんすい。とんすいとは、縁の一部が少し突起した小鉢のこと。「天目の黒が大根や柿味噌の色を引き立てて美味しそうに見せてくれます。縁の突起に手を添えると食べやすいのも、とんすいのいいところです」













 
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