日差しが強くなり、汗ばむ陽気も多くなる5月は、
ぴりっと爽やかな辛味と香りの実山椒が出回りはじめる季節です。
山椒は、古くから日本で親しまれている香辛料のひとつ。
新芽から若葉、つぼみ、実まで、
季節を追いかけるように食卓で親しまれてきました。
中でも青々とした実山椒は、痺れるような辛味が癖になり、
少し加えるだけで料理の味が引き立ち重宝します。
料理研究家・橋本加名子さんに、
いろいろな料理にアレンジしやすいシンプルな保存食
「実山椒の塩漬け」を教えていただきました。
瓶詰めにして未開封であれば、常温で約1年日持ちします。
一度にたくさんつくって小分けにすると、
使いやすくておすすめです。
香りも辛味も強く、ぴりりと爽やかな実山椒
山椒は芳香がよく、葉、花、実、木、どの部分も
利用されていますが、中でも熟す前の青い実「実山椒」は、
香りと辛味が最も強いのが特徴。
爽やかな香りや辛味は食欲をそそり、
食材のくさみ消しとしても活躍します。
黒くなっていない、青々と瑞々しいものを選びましょう。
教えていただいたのは…
料理研究家 橋本加名子さん
栄養士、近茶流懐石講師。懐石料理教授の母親の影響で幼い頃から食に関心を持ち、米国留学中に出会ったベトナム料理がきっかけで料理の世界へ。アジアの食を追及するため、タイ・バンコクへ渡り、タイの宮廷料理から家庭料理まで、タイ料理の技を幅広く吸収。帰国後、企業にてフードコーディネートや飲食プロデュースを経験し、独立。メニュー開発やコンサルティングなどの仕事と平行し、ジャンルにとらわれない家庭料理を、雑誌や書籍、Web、料理教室にて提案しています。「にほんの食ごよみ」(アスキー)、「そのまま食べてもOK! ほかの料理にもなる! 下味おかずの作りおき」(枻出版社)など著書多数。オフィシャルサイトは、こちらから。
材料(つくりやすい分量/
完成量約220g)
- 実山椒(枝付き)…200g
- 塩…24g(実山椒の重さの12%)
1.実山椒に付いている大きな枝を取り除き、取り除いたものから水にさらしていきます。細かな枝は、取らなくても大丈夫です。大きな枝を取り終えたら、ザルに上げて水を切ります。
2.茹でてアクを抜きます。鍋に実山椒がしっかりつかるくらいたっぷりのお湯を沸かし、沸騰したら実山椒を入れます。5分茹でたら、ザルに上げます。
3.2の実山椒をボールに入れ、たっぷりの水に1時間さらし、さらにアクを抜きます。
【ポイント】
1時間さらした後、食べてみてえぐみを感じたら、そのままもう少しさらします。
4.食べてみてえぐみを感じなくなったら、ザルに上げ水気を切ります。
5.キッチンペーパーで少量ずつ挟み、さらにしっかり水気を取ります。
【ポイント】
水気をしっかり取り除くことで、保存性が高まります。
6.煮沸消毒した瓶に5の実山椒を入れ、塩を加えます。
7.瓶のフタをして、上下左右に揺すり、塩を全体にまんべんなくまぶします。常温でそのまま数日置き、塩の粒が溶けるまで、1日1回程度瓶を振ります。
8.3日程度経つと塩の粒が見えなくなります。塩が溶けて実山椒に馴染んだら出来上がりです。フタを開けない状態であれば、このまま常温で約1年保存が可能です。開封した場合は、冷蔵で2週間を目安に食べ切ってください。
橋本さんが選んだ器は…
八角輪花皿 小皿(JICON・磁今)
やわらかな生成り色と繊細な縁のかたちが特徴の小皿。「花びらのようなかたちが可愛らしいですね。縁が立ち上がっているので、粒々した実山椒が盛りやすいと思います。また、小皿のわりに平面部分が広いから、きれいに盛り付けられるのではないでしょうか」