肌に触れる空気や道端の草木に、
少しずつ秋の気配を感じるようになってきました。
秋の味覚の代表格と言えば、キノコ。
味よし、香りよし、歯ごたえよしで、
料理の主役にも、他の食材の引き立て役にもなってくれる
食欲の秋には欠かせない食材です。
ただ、収穫後すぐ身がやわらかくなったり、しなびてしまったりと日持ちがしないので、
保存食に仕立てる方が、より落ち着いて堪能することができます。
酢の力で保存性を高める「キノコの酢醤油漬け」を
料理研究家・石澤清美さんに教わりました。
免疫力を高め、食物繊維も豊富なキノコ
香りがよくいい出汁が出るキノコですが、美味しいだけでなく
健康にも一役買ってくれるうれしい食材です。
食物繊維が豊富で消化吸収がゆっくりなので、
血糖値の上昇を抑える作用があります。
また、免疫力を高める作用もあるため、
冬に向けて体を整えたい秋に食べるのは、まさにぴったり。
全体に張りがあり、変色していないものを選びましょう。
教えていただいたのは…
料理研究家 石澤清美さん
料理書編集者を経て、料理研究家へ。長年、食べることで体と心を調える「食養生」を勉強。国際中医師・国際中医薬膳師、米国 Nutrition Therapy Institute(NTI)認定栄養コンサルタント、ハーバルセラピストなどの資格を保持。雑誌、書籍、テレビ、食品会社へのレシピ提供をはじめ、料理教室も開催。毎日のおかずから、保存食、お菓子やパンなどレパートリーが広く、著書も多数。「麹甘酒パワーレシピ」(学研プラス)、「おいしい手作り保存食」(学研パブリッシング)、「毎日食べてもふとらない 体にやさしいお菓子」(主婦の友社)など。オフィシャルサイトは、こちらから。
材料(つくりやすい分量/
完成量約750ml)
- 好みのキノコ…正味500g
※今回は、シメジ、エノキ、舞茸、シイタケを使用 - 生姜…20g
- 赤唐辛子…1本
- 酒、水…50ml
- みりん…大さじ2~3
- 酢…100ml
※今回は米酢を使用 - 薄口しょうゆ…大さじ1
- 砂糖…大さじ1/2
- 塩…小さじ1/3
(A)
(B)
1.エノキは、石突きを落とし、長さを半分にします。下の方は、食べやすい大きさにほぐします。
2.シメジは、包丁を入れやすいように4〜5等分にほぐしてから石突きを落とし、さらに食べやすい大きさにほぐします。
3.シイタケは、オガクズなどの汚れが気になる場合は、乾いたキッチンペーパなどで軽く拭き取ります。石突きを落としたら、手で傘と柄の部分を分け、それぞれ食べやすい大きさに手で割きます。
【ポイント】
包丁を使わずシイタケの繊維に沿って手で割くことで、シャキシャキとした食感が残ります。
4.舞茸は、石突きがない場合が多いので、そのまま食べやすい大きさにほぐします。
5.生姜は、皮を軽くこそげたら、1mm程度の細切りにします。
6.唐辛子は、先を落として種を取り除きます。
【ポイント】
唐辛子は、今回は辛味をつけるというより、保存性を高めるために入れるため、刻まず丸のまま使用します。辛くしたければ、種を取った後輪切りにしてください。
7.鍋に1~4のキノコを入れて(A)を回しかけます。
8.フタをして中火にかけます。1分程して煮立つ音がし始めたら、焦げ付かないように全体を混ぜ、再びフタをします。吹きこぼれない程度の弱めの中火で、途中1〜2回かき混ぜながら3分程蒸し煮にします。
9.火を止めて、5の生姜と6の赤唐辛子を入れてざっと混ぜます。フタをして30秒程蒸らします。
10.(B)を合わせて注ぎ入れ、全体に行き渡るように混ぜます。
11.
清潔な保存容器に移し、冷めたら冷蔵庫で保存します。約1ヵ月日持ちします。
【ポイント】
1日程度置くと、漬け汁がプルプルしたゼリーのようになってきますが、キノコの性質によるものです。
石澤さんが選んだ器は…
SHIHOU 四方 小鉢 白磁 (白山陶器)
縁は直線で角が立ち、すっきりとした印象の小鉢。「キノコが滑りやすいので、縁のある器の方が盛り付けやすいと思います。盛り付けたときに器との間に少し余裕があるくらい、たっぷりとしたサイズ感もいいですね」