2017年12月公開
寒さが厳しくなってくる師走は、忙しさもあって体調を崩しやすくなる時期。
食事からも体を整えたいものです。
旬を迎えた瑞々しく甘みのある白菜に、ニンニクや生姜、ニラや長ネギなど
滋養ある薬味野菜をたっぷり入れて乳酸菌発酵させたキムチは、栄養満点のお漬物。
唐辛子も入って体もあたたまるので、この時期にうれしい保存食です。
特別な材料は使わずに、家庭で手軽につくれる「白菜の即席キムチ」を
料理研究家・荻野恭子さんに教わりました。
漬けたその日から食べられて、1ヵ月は保存可能。
最初のうちは浅漬けなのでサラダ感覚で、発酵が進むと酸味が増すので
炒め物や鍋物に合うようになっていきます。
アレンジレシピでは、その味の経過を楽しめる
「豚バラ肉と白菜キムチのサラダ巻き」と
「あさりと豆腐のキムチチゲ」の2品をご紹介します。
部位により違う食感が楽しめる葉野菜・白菜
鍋料理や漬物などに欠かせない、冬の葉野菜。
日本に古来からあるイメージですが、
伝来は日清・日露戦争(19世紀後半~20世紀前半)の頃と、
日本では比較的新しい野菜です。
薄緑色のやわらかい葉の部分と白くて肉厚の軸では、
火の通りや塩の漬かり具合に差があるので、
時間差にするなど分けて調理すると美味しく仕上がります。
※白菜を使った保存食は、こちらもご覧ください。
教えていただいたのは…
料理研究家 荻野恭子さん
料理研究家、栄養士。女子栄養短期大学を卒業後、日本料理を極めるべく、そのルーツとなる中国やロシア料理をはじめ、ユーラシア、ヨーロッパ、アジア、南米など世界各国の料理を研究。現地に赴き、自分の足で歩いて食文化を学ぶスタイルを貫き、訪れた国は50ヵ国以上。現在は、料理教室「サロン・ド・キュイジーヌ」主宰や各種講演会活動のほか、日本テレビ「3分クッキング」、NHK「きょうの料理」出演など、多くのメディアで活躍。著書も「乳酸発酵漬けの作りおき」(文化出版局)、「ロシアの保存食」(WAVE出版)、「世界の米料理」(誠文堂新光社)など多数。オフィシャルサイトは、こちらから。
材料(つくりやすい分量/
完成量約800g)
- 白菜…1/4株(500g)
- 塩…大さじ1/2
- 大根…5cm(100g)
- ニンジン…1/5本(30g)
- 長ネギ…1/4本(30g)
- 生姜…2片(20g)
- ニラ…5本(15g)
- ニンニク…2片(20g)
- りんご…1/4個(50g)
- 塩昆布…10g
- ごはん…大さじ2
- イカの塩辛…50g
- ナンプラー…大さじ1
- 一味唐辛子…大さじ2
- パプリカパウダー…大さじ2
(薬念/ヤンニョム)
※「薬念」とは、調味料、香辛料、薬味野菜を合わせたものの総称。韓国料理の味付けの基本とされています。
※お好みで一味唐辛子の量を加減し、辛さを調整してください。
1.白菜を切ります。白菜の繊維に対し垂直方向に、白い軸の部分は3cm幅、葉の部分は5cm幅に切ります。
【ポイント】
白菜は、そのまま漬けるより切って細かくした方が早く漬かります。食べるときに切らなくて済むのも便利です。
2.ポリ袋に1の白菜をまずは軸だけ入れ、塩を加えます。袋を揺すってまぶします。
3.2に白菜の葉を入れ、袋の上から軽く揉むように全体を混ぜ合わせたら、空気を抜きながらポリ袋の口を縛ります。そのまま30分以上置くと、白菜から水が出てきてくたっとします。
【ポイント】
空気を抜いて密閉させることで、重しをしなくても白菜から水が上がりやすくなります。
4.薬念(ヤンニョム)をつくります。大根、ニンジン、長ネギ、生姜は、5cm程度の長さの千切り、ニラもそれらに合わせた長さに切ります。ニンニクとりんごはすりおろします。どの野菜も皮と身の間に栄養があるので、皮は剥きません。
【ポイント】
ニンニクとりんごをするときは、香りの強いニンニクからすりはじめます。そのままりんごをすると、おろし金にニンニクのにおいがつきにくくなります。
5.ポリ袋に4と残りの薬念の材料をすべて入れ、袋の上から揺すりながら軽く揉むように混ぜ合わせます。
6.5に3の白菜を、よく水気を絞ってから加えます。袋の上から軽く揉むように混ぜ、薬念と白菜をよく絡めます。
【ポイント】
多少水気の絞りが甘くても、薬念に入れたごはんが水分を吸ってくれます。キムチの発酵を促進するため、本場韓国では通常おかゆを入れますが、今回は手軽にできるようごはんを使用。白菜の水切りでも、ごはんが功を奏します。
7.空気を抜きながらポリ袋の口を縛ります。保存は、常温で1日置いた後、冷蔵庫へ。冷蔵で約1ヵ月保存が可能です。
荻野さんが選んだ器は…
花彫浅鉢 小(JICON・磁今)
内側に大きな花模様が彫ってある、取り皿などにもちょうどいいサイズの平鉢。「白い磁器に地紋が施されている様子が、韓国の器のイメージと重なって、キムチに似合います」