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RHYTHMOSの工房を訪ねて

工房訪問 RHYTHMOSの工房を訪ねて

2018年3月公開

日々の暮らしに欠かすことのできない「財布」。
とくに革は、その堅牢性などから財布の定番の素材です。
そんな革を使って、財布をはじめとする革小物を手がけている
鹿児島のレザーブランド「RHYTHMOS(リュトモス)」。
既存の概念を覆すような、シンプルで機能的な財布は、
すべて手縫いでつくられています。
徹底的に手仕事にこだわるのは、革という素材への感謝の気持ちから。
「革」は元をたどれば命ある動物たち。
そのことに真摯に向き合い、ものづくりに取り組む
RHYTHMOSの工房を訪ねました。




1. RHYTHMOSの魅力

RHYTHMOS 外観


鹿児島県、鹿児島市。
鹿児島一の繁華街である「天文館(てんもんかん)」のほど近く。
神社の脇の静かな通りに、革の看板が目印の小さなお店があります。
外から一目見ただけで、センスのよさが光る洗練された空間。
ここがレザーブランド「RHYTHMOS(リュトモス)」の直営店兼工房です。

RHYTHMOS店頭
RHYTHMOS店頭

▲財布やキーホルダーからキャッシュトレー、ブローチまで、革を使った商品がずらり。

CANVASシリーズ

▲国産のキャンバス生地と革を組み合わせた「CANVAS」シリーズ。バッグを中心に展開しています。

ムー君

▲看板犬のムー君。カウンターの隅でお客さんを待ち構えています。

財布を中心に、名刺入れやキーホルダーなどの定番革小物だけでなく、
革とキャンバス生地を使ったバッグなども手がけるRHYTHMOS。
店内には幅広い商品が整然とディスプレイされています。

RHYTHMOS工房

▲店頭からは作業中の職人の姿だけが見えます。ものづくりの道具に溢れた工房というより、ラボのような空間です。

代表の飯伏 正一郎さん

▲代表の飯伏 正一郎(いぶし しょういちろう)さん。

ショップの奥、ガラスで区切られた先には工房が。
RHYTHMOSのすべてのレザーアイテムが、この空間でつくられています。
シャツにネクタイを締めた職人たちが黙々と働く姿はテイラーのよう。

工房の壁の一面にはオリジナルの同じ箱がずらりと並びます。
「工具などをしまっている箱です。
ラベルを貼っていないので、中身を覚えるのが大変ですが……」と語るのは、
RHYTHMOSの代表、飯伏 正一郎(いぶし しょういちろう)さん。
「でも、この方が見た目がすっきりしていて好みなので」と、
美しさへの徹底したこだわりを滲ませます。

理に適った財布「Zip」

Zip

▲「Zip L」。シンプルなポーチ型の財布です。

Zipの中

▲中を開くと3つの部屋に分かれています。

人気、知名度ともに、RHYTHMOSの代表作。
それが、この財布「Zip(ジップ) L」です。
財布といえば二つ折りのものや、ファスナーがコの字やL字に付いたものなど、
ある程度かたちが決まっているもの。
しかし「Zip」は上だけに真っ直ぐファスナーが付いた
ポーチのようなデザインで、パッと見ただけでは財布には見えません。
ファスナーを開くと中は3つの空間に分かれ、
まるで3つのポーチがつながっているようです。

Zip

▲一般的な長財布より少し横幅が短く、深さのあるかたち。
1cmの違いが、大きな使い勝手の差を生み出します。

財布に見えないのは、
普通の長財布ほど細長くないことも理由かもしれません。
一般的なサイズは横19cm×縦10cm前後ですが、「Zip L」は横18cm×縦11cm。
横幅は短めですが、1万円札を入れてみても
取り出しやすい最低限のゆとりをもって収まり、十分な大きさに感じます。

一方、高さは11cmと標準より深さがあります。
財布はたくさん入れると膨らみ、その分高さに余裕がなくなってしまうため、
少し深めに設計しているのです。

大容量

▲スマートフォンやパスポートもすっきりと収まります。
通帳や名刺入れ、小さめのノートなど、すべて1つにまとめることが可能。

そしてもう1つ。高さが11cmあることで、
「Zip L」には通帳やパスポート、さらにはスマートフォンをも収納することができます。
そのうえ一般的な財布に多いマチやジャバラは採用せず、
3つの袋が合わさったようなシンプルな構造にすることで、パーツの数を極限までカット。
財布自体が薄く、軽いので、
いろいろ入れてもすっきりとしたフォルムと使い心地を保ちます。

「つくりのシンプルさにはかなりこだわっていて、
それは丈夫さにも影響します。
シンプルなものほど丈夫で、複雑なものほど壊れやすいもの。
構造を工夫することで、少ないパーツと縫い目で
一般的な財布以上の収納力や使いやすさを実現しています」。

Zipの中

▲折り財布だと小銭を出すとき、カードを出すとき、持ち替える動作が発生しますが、「Zip」の場合は不要。
また、小銭入れを中心に左右対称のかたちは利き手を問わず、左利きの人でも使いやすいのです。

Zipの中

▲「Zip」のファスナーは一直線。元々ファスナーは直線でできているものなので、L字に取り付けると無理な力が加わりやすくなるそう。

そのほかにも、左右対称なかたちは持ち替えるストレスがないように、
ファスナーが直線なのは壊れにくいようになど、
すべてのつくりに完璧なまでの理由が。
聞けば聞くほど「なるほど」と唸ってしまう、実に理に適った財布なのです。

固定観念を覆す使いやすさ

「Zip L」のカード入れは6つ。
少ないと感じる人もいるかもしれません。
「カード入れがたくさん欲しいという声はよく聞くのですが、
カード入れが多いと、そのぶんカード同士が重なり財布は膨らみます。
それって本当に使いやすい状態なんでしょうか?」
そう問われて考えると、カードでぱんぱんの財布は重たく、
いっぱい詰まっているのでカード入れからカードを取り出すのも億劫。
そもそも何のカードが入っていたかの記憶も危うく、
「本当にそのカード全部必要?」と聞かれたら、答えに詰まってしまいます……。

飯伏さんがカードポケットを6つにした理由は、
多くの人にとって絶対に必要なのはクレジットカード、免許証、保険証、
銀行のカード、交通系ICカード、汎用性のあるポイントカードなどの6枚程度と考えたから。
カード入れがたくさんある財布もつくれますが、
使い勝手のいい財布にはシンプルさこそが重要と信じます。

Card Sleeve

▲別売りのカードスリーブ「Card Sleeve L」を使えば、収納力がさらにアップ。
「Card Sleeve」を入れておくと芯のような役割を果たし、財布の型崩れも防いでくれます。

とは言え、もう少しカードを入れたいという人には、
オプションパーツの「Card Sleeve(カードスリーブ)」が用意されているから安心です。
「Card Sleeve L」の場合、カード類10~15枚を収納可能。
そのまま「Zip L」の中にすっぽり収まります。
お札とレシートの間の仕切りとしても便利です。

飯伏さん

▲愛用の「Zip L」を持ち出して、説明してくれる飯伏さん。

「男性の場合、財布はお尻のポケットに入れたいから
折り財布しか考えられないという人もいるかもしれません。
でも『Zip L』もデニムやチノパンのポケットには収まるし、
その使い勝手やつくりを説明すると、考えが覆されて購入し、
永く使い続けてくれる男性のお客さんもたくさんいらっしゃいます」。

たしかに長財布と言えば女性のイメージが強いですが、
「Zip L」に関しては女性と同じ、
もしくは男性の愛用者の方が多いほどだそう。

Zip S

▲それでも小さい財布がいいという人には、「Zip S」がおすすめ。お札が2つ折りで入る大きさです。

「僕も財布はズボンのポケットに入れて鞄すら持たない派でしたが、
それでも『Zip L』のよさに惹かれて購入し、
『Zip L』に変えてからは自然と手に持つ習慣が身につきました」と、
飯伏さんのもとで働く職人の砂原 悠一さんも口をそろえます。
「道具を変えれば習慣も変わるものですよ」。

財布はカード入れがたくさんないといけない、
ズボンのポケットに入らなければいけない。
「Zip」は、そんな一人一人の固定観念を超えて、
まったく新しい使いやすさを教えてくれる財布なのです。

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