2019年6月公開

初夏、梅しごとの季節がやってきました。
シロップやはちみつ漬け、梅酒や梅干しといろいろありますが、
一度は挑戦してみたいのが梅干しではないでしょうか。
梅と塩と紫蘇、余計なものが一切入っていない自家製の美味しさは格別です。
また、梅や天気の様子を伺いながらの梅干しづくりは、
季節を肌で感じられる家しごとの一つ。
難しいイメージがありますが、
まずは梅1kgから、少量で手軽にはじめてみませんか?
無理なく食べきれる量なので、
これから毎年つくって食べ比べるのも楽しいものです。

梅干しづくり暦


<困ったときはここを確認!>

  • 材料と道具の準備

    料理研究家・久保香菜子さんに教わった塩分濃度10%の梅干しをご紹介します。
    昔ながらの梅干しは、常温で保存できるよう塩分20%が主流でしたが、
    そのまま食べるにはかなり辛め。
    10%は、食べやすく、また、家庭でつくりやすい最低の塩分濃度に当たります。
    その分、冷蔵で保存しましょう。

    <材料>

    (梅の下ごしらえ~梅の下漬け)
    完熟梅……1kg
    自然塩……100g(梅の10%)

    (赤紫蘇の準備)
    赤紫蘇……300g(葉だけの状態にして200g)
    自然塩……50g
    白梅酢(下漬けで上がったもの)……50ml

    道具のこと

    • 漬ける容器

      長い間梅酢の酸に触れるので、琺瑯やガラス、磁器など酸に強いものを。梅に均等に重しがかかるよう、隙間なく同じ高さに梅が並ぶことが大切。梅の量に対して底面が大き過ぎず、広口のものを選びましょう。

      ▶ラウンドストッカー(野田琺瑯)

    • 消毒

      漬けている途中でカビが発生しないよう、使用前の容器を度数の高いアルコールで消毒します。吹きかけるだけのアルコールスプレーが便利ですが、なければ焼酎でも大丈夫です。

      ▶パストリーゼ77(ドーバー)

    • ボール

      梅の下ごしらえや赤紫蘇の準備で使用。長時間入れたままにするわけではないので、ステンレスのものでも大丈夫ですが、金気などが気になる人には、酸に強いガラスや琺瑯のものがおすすめです。

      ▶琺瑯ボール ネイビー(月兎印)

    • 竹ざる

      土用干し(天日干し)の際に使用。梅が並べやすいよう底が平らで、竹ひごも平らなものがベスト。今回は少量なので小さめのざるを複数使っても。金属製のものは網が細く、梅が食い込んでつぶれやすいため、竹製がおすすめです。

      ▶竹ざる(松野屋)

      ※梅1㎏には、「真竹角盆ざる 尺2寸」を2枚がおすすめ。

    • 竹串

      梅の下ごしらえで、梅のくぼみに残っているヘタ(なり口)を取るのに使用します。

    • 落とし蓋

      梅の下漬けや本漬けで使用。梅に均等に重しがかかるよう、真っ平らなものを。
      長時間梅酢に浸かるので、酸に強い素材を選びましょう。
      かたちやサイズが該当すれば、お皿などでも可。

    • 重し

      梅の下漬けや本漬けで使用。
      梅が1kgと少量なので、早く梅酢が上がるよう重めの3~4kg
      (梅が2kg以上の場合は、梅の倍の重さ)を用意します。
      ペットボトルに水を入れたものでも可。
      水の出し入れで重さを調節できるので便利です。

  • 梅の下ごしらえ

    • 1.

      梅1kgをさっと洗ってボールに入れ、梅がかぶるくらいの水に4~5時間浸けてアクを抜き、一つずつ水気を拭きます。 傷のついた梅は、カビの原因になりやすいので取り除きます。梅によっては茶色い斑点がありますが、梅干しになったら消えるので大丈夫です。

    • 2.

      梅のヘタ(なり口)を、梅を傷つけないよう気をつけながら竹串で取ります。自然に落下した梅にはヘタがついていないので、なければ次の工程へ。

  • 下漬け

    • 1.

      浸ける容器、落とし蓋をアルコール消毒したら、まず容器の底に薄く塩100gの一部を振り、梅、塩の順に交互に詰めていきます。動かないよう、梅はなるべく隙間ができないように詰め、最後に塩を多めに入れます。

    • 2.

      落とし蓋をして3~4kgの重しをし、ごみが入らないようラップなどをかぶせて梅酢が上がってくるまで室内に置きます。塩分濃度が10%だと浸透圧の関係で梅酢が上がりにくいので、重しは重めに。 1日目で梅の高さの1/3まで梅酢が上がっていなければ、重しを増やします。また、容器をゆすって塩が全体に行きわたるようにします。

    • 3.

      目安として、3日で梅酢が上がってひたひたになれば下漬け完了です。ここで上がってきた梅酢が「白梅酢」です。赤紫蘇が出回る時期まで、冷蔵庫で保存します。梅が梅酢に浸っていないとカビが出ることがあるので、必要であれば軽く重しをして、梅が梅酢に浸った状態を保ちます。

  • 赤紫蘇の準備

    • 1.

      赤紫蘇300gは、茎を取り除き、葉だけの状態で200gになるようにします。太い茎だけでなく、葉についた細い茎まで丁寧に取り除くと、えぐみがなく、色もきれいに仕上がります。

    • 2.

      大きなボールに入れ、水を何度か替えながら、両手ですくうように洗います。ざるに上げ、30分以上置いてしっかり水気を切ります。

    • 3.

      えぐみを取り、色をきれいに発色させるため、塩で揉みます。ボールに2と分量の1/2の塩(25g)を入れて、揉み込みます。

    • 4.

      揉んでいくと絞れるほど汁気が出てきます。そのまましばらく揉み続け、写真くらいの汁気が出たらきつく絞って汁を捨てます。

    • 5.

      再びボールに4と残りの塩を入れ、揉み込みます。まだまだ汁気が出てきますが、汁が写真のようなきれいな紫色になるまで、そのまま揉み込み、きつく絞って汁は捨てます。

    • 6.

      下漬けで上がった白梅酢50ml(下漬けの工程3)を、ほぐした5に回しかけます。全体によく絡め、赤紫蘇のアントシアニンが酢に反応しきれいな赤色に発色したら軽く絞り、汁は捨てます。

  • 本漬け

    • 下漬けして冷蔵保存していた梅に、赤紫蘇をほぐしながら全体に広がるように加え、再び冷蔵庫で2週間ほど本漬けをします。この際、梅が梅酢から出てしまうようなら、梅酢が梅にかぶる程度の重しをしてください。ときどき容器をゆすって赤紫蘇の色素が回るようにします。

  • 土用干し(天日干し)

    • 1.

      赤紫蘇が出回る時期、本漬けを経るとだいたい7月20日頃(土用)に当たります。晴天が3日ほど続く頃を見計らい、風通しのいいところで土用干し(天日干し)をします。ざるに梅同士がくっつかないよう一つ一つ並べ、赤紫蘇も汁気を切ってのせます。直射日光に当てることで梅の皮がやわらかくなり、梅酢の浸透もよくなるため、ネットなどは被せない方がおすすめです。

    • 2.

      梅酢も消毒のため、1日日光に当てます。その際、ほこりが入らないよう保存容器にラップをします。また、写真のように蓋が閉まる瓶に移し替えても便利です。

    • 3.

      1時間ほど干して梅の表面が乾いたら、ざるにくっつかないよう裏返します。返した面が乾いたら、再度裏返します。初日は2回、2日目と3日目も1日1回は裏返します。途中雨が降りそうになったら取り込みますが、基本は三日三晩干し続けます。干すことで皮がやわらかくなり、梅酢の浸透がよくなるので、3日は干しましょう。夜は軒下など屋根のあるところが安心です。

    • 4.

      表面がさらさらと乾いた状態で、耳たぶくらいのやわらかさになったら干し終わりです。少し白っぽく塩を吹いたような見た目になります。

    • 5.

      干した梅と赤紫蘇を梅酢に戻し、梅酢が絡むように混ぜます。清潔な瓶に移し替え、冷蔵庫で半年くらい寝かせます。寝かせることで塩や酢がまろやかになります。瓶に移し替えるときは、瓶全体に梅酢を行きわたらせるため、先に梅酢を入れてから梅を入れます。保存の際は、必ず梅が梅酢に浸った状態にします。梅酢が足りなければ、市販の赤梅酢を足してください。

    • おまけ.

      赤紫蘇は、5で梅酢に戻さず、乾燥したまますり鉢であたり、ざるで濾すと、自家製の赤紫蘇ふりかけができます。

  • 完成

    • 土用干し(天日干し)の後半年ほど寝かせることで、酸味やしょっぱさが落ち着き食べやすくなります。寝かせるほどまろやかになっていくので、熟成期間はお好みで。

  • 困ったときはここを確認!

    • 梅の選び方

      塩分濃度10%は浸透圧で梅酢が上がりにくいため、しっかり完熟し、果肉部分が多い(4L程度/φ4.5~4.9cm未満)の梅を選びましょう。黄色く、やや赤くなっているくらいのものがベスト。青い部分が残っている場合は、風通しのいいところに広げて常温に置き、追熟させます。

    • 塩の選び方

      さらさらした精製塩ではなく、にがりを含むしっとりした自然塩(成分表示で塩化ナトリウムが95%以下のもの)を用意してください。梅によく絡み、梅酢が上がりやすくなります。

    • 保存容器がないときは……

      1kgの梅なら、Lサイズ程度のジッパーつき保存袋に入れて、下漬けや本漬けをすることもできます。その場合は、梅を平たく並べて封を閉じ、ちょうど収まるサイズのバット(15取)に入れます。その上にさらに同じサイズのバットをのせ、重しをします。袋で漬ける場合、梅酢が全体に回りやすいので、カビにくいという利点もあります。

    • もしもカビてしまったら……

      下漬けの段階で白っぽいものが浮いてきたら、カビです。その場合は、表面の白い膜をすくい取って捨て、梅を取り出し、梅酢を鍋で煮沸します。容器、落とし蓋、重しもきれいに洗い、日光に当てて乾かします。下漬けの工程1と同じようにアルコール消毒をしたら、梅酢と梅を戻し、再び漬けなおしてください。

      • 監修/料理研究家 久保香菜子さん

        高校生の頃から京都の老舗料亭「たん熊北店」にて懐石料理を学び、同志社大学卒業後、辻調理師専門学校に入学。調理師免許、ふぐ調理免許を取得。その後、出版社で料理書の編集に携わり独立。テレビや書籍、雑誌、Webサイトでの料理製作、スタイリングの他、レストランのメニュー開発・テーブルコーディネイト、編集など、食に関するジャンルを問わず活動中。「旬の味手帖 秋と冬」「きちんと、おいしい 昔ながらの料理」(共に成美堂出版)、「きちんと、野菜の小鉢」(河出書房新社)など、著書多数。オフィシャルサイトは、こちらから。

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