すすむ屋茶店に教えてもらう 美味しい日本茶の淹れ方
普段何気なく口にしている日本茶。
ペットボトルで売っていたり、ティーバッグのものもあって簡単に味わえますが、
茶葉から淹れることで、より深く日本茶を楽しめたら素敵ですよね。
とはいえ、煎茶やほうじ茶などさまざまな種類があって
きちんと淹れるとなると難しそうなイメージがありますが、そんなことはありません。
基本の淹れ方を覚えれば、お茶の種類ごとに茶葉の量やお湯の温度を変えるだけで
美味しいお茶が淹れられるのです。
今回は鹿児島県に工房を構える「すすむ屋茶店」の代表・新原光太郎さんに
日本茶の淹れ方について教えてもらいました。
1.美味しい日本茶の淹れ方
煎茶はもちろん、ほうじ茶や玄米茶、冷茶などの
美味しい淹れ方をご紹介します。
正しい手順を踏めば、いつものお茶がより美味しくなります。
煎茶
日本で最も多くつくられている日本茶(緑茶)の一種。
日本茶=煎茶と言っても過言ではありません。
日本茶で最も多く生産されているのが緑茶で 、
摘んだ生葉を加熱して酵素の動きを止めてつくられるお茶のことを指します。
そのため煎茶をはじめ、玉露、ほうじ茶なども緑茶に含まれます
煎茶は摘みたてのフレッシュな状態のまま、茶葉を蒸してつくられるため、
茶葉の色そのままのきれいな緑色のお茶になります。
爽やかな香りや程よい渋味、苦味の中にほのかな甘みを感じられる
バランスのとれた味わいです。
茶葉
茶の水色
美味しい日本茶の淹れ方
おすすめの分量(2人分)
【手順】
1.沸かしたお湯を湯冷ましなどに移して、湯気が落ち着くまで冷まします。
2.お湯を冷ましている間、急須に茶葉を入れます。
3.急須にお茶を注ぎます。
このとき、茶葉を端によせて直接お湯をあてないように注ぎましょう。
茶葉にお湯をあてると早く抽出できますが、甘みなどが抽出されにくくなります。
お湯をあてずに茶葉がゆっくり開いて抽出されることで
茶葉本来の甘みが引き出されます。
4.急須に蓋をして、1分ほど待ちます。
5.湯呑にお茶を注ぎます。
お茶の濃さが均等になるよう交互にお茶を注ぎます。
最後の一滴まで余すことなく注ぎましょう。
※「ほうじ茶」や「玄米茶」も基本の淹れ方は同じです。
おすすめの茶葉の量やお湯の温度、抽出時間が異なるので以下を参考にしてください。
おすすめの煎茶
こくまろ(すすむ屋茶店)
その名の通り、コクがあってまろやかな煎茶です。茶葉には甘みが特徴の「さえみどり」、コクがある「ゆたかみどり」をベースに使っています。生に近い状態に超浅煎りで火入れをしているため、茶葉本来の味わいを楽しむことができるのもポイントです。味のバランスがよく、多くの人に好まれる茶葉です。
ほうじ茶
煎茶や茎茶、番茶などを高温で焙煎し、水分を飛ばしてつくります。
茎茶も番茶も緑茶の一種。
茎茶は「棒茶」とも呼ばれ、茶の若枝や茶葉の柄、新芽の茎を混ぜてつくられるお茶のこと。
番茶は煎茶と製法はほぼ同じ。
焼きやすいよう大きな葉などを用いてつくられるほうじ茶は、
高温で炒ることでカフェインが破壊され、
渋味成分のタンニンが消えるので胃腸への刺激が少ないのも特徴。
さっぱりとした味わいで焙煎の香りが立つ、香ばしいお茶です。
茶葉
茶の水色
おすすめの分量(2人分)
おすすめのほうじ茶
ほうじ茶(すすむ屋茶店)
新芽の根元部の大柄な茶葉を茶色になるまで焙煎しています。すっきりとした味わいとほのかな渋味が特徴的なので、こってりとした料理に合わせるのがおすすめです。お湯を急須に注ぐと、干草のような香りが広がって、ほっと心安らぐはずです。
玄米茶
深蒸し茶やほうじ茶を用いていたり、抹茶が混ぜられたりなど
さまざまなタイプの玄米茶が見られますが、
一般的には番茶と炒った玄米を1対1で合わせたものを指します。
火入れによってカフェインが減少しているので、
身体への刺激が少ないのもうれしいところ。
ほんのり感じられる玄米の香りと煎茶の甘みを楽しめます。
茶葉
茶の水色
おすすめの分量(2人分)
おすすめの玄米茶
大福茶 (すすむ屋茶店)
お正月に一年の無病息災を祈っていただく縁起のいい「大福茶」。地域や茶店によって中身はさまざまですが、cotogotoで扱っているすすむ屋茶店の大福茶の中身は「玄米茶」です。鹿児島県産の煎茶に熊本産の玄米を使用。玄米は実際に食べられるお米でつくられた贅沢な一品で、香ばしい香りとすっきりした飲み心地です。
冷茶
夏に爽やかにいただける冷茶も正しい手順を踏めば、
より美味しくいただけます。
主流の「オンザロック」と、最近話題の「コールドブリュー」の2種類の
冷茶の淹れ方をご紹介します。
オンザロック
冷茶のつくり方で主流の「オンザロック」は、
お湯で淹れたお茶を氷で一気に冷やしてつくります。
この方法で淹れる利点は、
体温の上昇を抑える効果が期待できるカテキンをたっぷり摂れること。
お茶には4種類のカテキンが含まれていますが、
水出しで抽出した場合、全体の約20%しかカテキンが摂れず、
残りの約80%はお湯でないと出てきません。
この方法なら、カテキンをたっぷり摂ることができ、
夏バテ予防にもおすすめです。
step1
お茶を濃い目に淹れます。
step2
氷をたっぷり入れた
グラスを用意します。
step3
グラスにお茶を注いで
急冷したら完成です。
コールドブリュー
水で抽出するコールドブリューコーヒーが近頃話題になっていますが、
同じ方法で日本茶を淹れても美味しい冷茶がつくれます。
温度の低い水で、じっくり抽出することで
お茶の成分の特徴から渋味や苦味が出づらくなり、
本来持つ甘みや旨味がでてまろやかな味わいに。
抽出に3~6時間ほど必要なので、必要な時間に合わせて準備をしておくのがいいでしょう。
step1
急須に茶葉を入れ
水を注ぎます。
step2
蓋を閉めて
そのまま3~6時間程度、
好みの濃さになるまで
待てば完成です。
※抽出中はむやみに振ったり、
棒などでかき混ぜると
早く抽出されますが、
渋味が出やすくなるので
気をつけましょう。
ティーバック
お湯を注ぐだけで手軽にお茶をつくれるティーバッグ。
そこにほんの少し手間を加えるだけで、より美味しいお茶を楽しめます。
step1
カップに湯を注ぎます。
step2
湯気が落ち着くまで冷めたら、
ティーバッグを入れて
1分ほど待てば完成です。
使用する道具
正しい淹れ方がわかったところで、さっそくお茶を淹れてみましょう。
お茶を淹れるために必要な道具といえば、一番に急須を思い浮かべますが、
他にもより美味しく、楽しくお茶を淹れるために
さまざまな道具があるのです。
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茶葉
日本茶の茶葉は茶の木の葉を摘んで、蒸して、揉んで、乾かすという複数の工程を経てつくられます。同じ品種でも、店によって火の入れ方などのレシピが異なるため、渋味や甘み、香ばしさなど違いを楽しむことができます。
>>写真は、
緑茶・ほうじ茶・紅茶
(すすむ屋茶店) -
急須
お茶を淹れるために欠かせない急須にも、内部の茶こしや持ち手の位置、細かな意匠などさまざまな違いがあります。美味しいお茶を淹れるためには底が広く、茶葉が開きやすいよう、内側が広い急須がおすすめです。
>>写真は、
平急須 (東屋) -
茶筒
茶葉は湿気ってしまうと香りや味が悪くなるため、密閉性が高い茶筒が必要です。茶葉は空気に触れるたびに劣化してしまうため、大きな茶筒に大量の茶葉を保存しておくより、大体1ヵ月程度で消費できる量の茶葉と、それに合った茶筒を選ぶのが好ましいです。
>>写真は、
すすむ茶筒・茶匙
(すすむ屋茶店×FUTAGAMI) -
茶匙
茶葉をすくい、急須へ移すために使う茶匙。使うことで茶葉の量の目安がわかりやすく、無駄遣いもなくなるはずです。こだわりの茶匙を使うことで淹れている手順も合わせて、お茶の時間が少しだけ豊かなものになりそうです。
>>写真は、
茶匙 (東屋) -
やかん
お湯を沸かすために必要なやかんやケトル。家族が多い場合や2煎目を楽しむなら、1200ml以上の大きめのやかんを。1~2人分なら700ml程度の小さめのケトルでもよさそうです。シュンシュンとお湯が湧く音を楽しみながら、熱々のお茶を楽しみたくなります。
>>写真は、
ステンレスケトル(柳宗理) -
湯冷まし
適温で旨味をしっかり抽出することが大切な日本茶。湯冷ましに湯を一度移すことで温度を調節できます。使用する湯呑を代用してもいいですが、移すときにお湯がこぼれてしまったりするので、美しく淹れるにはお湯がこぼれる心配のない注ぎ口がついた湯冷ましが便利です。淹れたお茶を一度湯冷ましに移すことで均等の濃さのお茶を楽しめる、という使い方も。
>>写真は、
茶海/湯冷まし (東屋) -
茶こし
より澄んだ、見た目にも美しいお茶を淹れるのに必要な茶こし。来客時などに重宝するはずです。湯呑のお茶に触れないよう、茶こしを少し浮かせて急須から注ぎ出すのがポイントです。
>>写真は、
茶こし(金網つじ) -
湯呑・汲み出し
お茶を飲むための容器である湯呑や汲み出し。湯呑は片手で持てる大きさで、筒型のかたちが一般的。汲み出しは湯呑と比べると低くて、横長のかたち。素材やデザインなどお気に入りのものを見つければ、よりお茶の時間が心地よくなるはずです。
>>写真は、
汲み出し碗(南景製陶園)