2019年4月公開
爽やかな香りとほのかな苦味、さくさくとした歯応えが特徴的な、
春を代表する山菜「うど」。
酢味噌和えや天ぷらなどが一般的ですが、
甘酢につけてピクルスにすれば、日持ちがして、いつでも好きな時に活用できます。
うどの風味を生かしたやわらかな酸味の「うどのピクルス」を、
料理家 ・いづいさちこさんに教わりました。
アレンジレシピは、うどの香りと食感が料理のアクセントとして活躍する、
「うどとドライフルーツの白和え」と「うど香るたまごサンド」です。
春の訪れを感じさせる山菜・うど
たらの芽と同じウコギ科の山菜・うど。
穂先から脇の茎、太い茎、皮まですべて食べられます。
出回っているものは栽培ものが多くなっていますが、
天然ものは3月から初夏が旬。
成分の多くは水分で、瑞々しさが美味しい食材です。
茎が太く穂先がきれいな緑色のものを選びましょう。
教えていただいたのは…
料理家 いづいさちこさん
「くにたちの食卓 いづい」主催。大学卒業後、オーガニックレストラン、懐石料理店、 パン屋、料理教室のインストラクターなどを経て、 2004年夏より自宅にて料理教室を開始。出張教室、季節のイベント、キッズ教室の開催をはじめ、カフェのメニュー開発、料理やお菓子の注文販売なども行っています。箱詰め名人としても定評があり、「箱詰めもてなしレシピ」(誠文堂新光社)、「箱詰め名人の持ちよりベストレシピ」(家の光協会)、「続けられるおべんとう」(誠文堂新光社)など著書も。オフィシャルサイトは、こちらから。
材料(つくりやすい分量/
完成量正味約230g)
- うど…中1本(300g)
- 酢…100cc
- 水…100cc
- 砂糖…30g
- 塩…少々
(A)
1.(A)を耐熱容器に入れ、電子レンジ(600W)に2~3分かけて混ぜます。冷ましておきます。
【ポイント】
砂糖を溶かすためピクルス液を加熱しますが、うどの色をきれいに残すため、うどを漬ける前に冷まします。うどに余計な火が通らないので、さくさくした食感に仕上がります。
2.うどは5cm幅に切り、皮を剥きます。繊維のかたさが部位によって異なるため、かたい下の方は皮を厚めに、やわらかい上のほうは薄く剥きます。
3.皮に生えた細かな繊毛がついていたら、口当たりをよくするため、濡れ布巾で拭き取ります。
【ポイント】
繊毛を水で洗い流すと、うどが水っぽくなってピクルス液が薄まり味がぼやけてしまいます。濡れ布巾で拭く程度に止めます。
4.3をさらに縦に6等分します。うどは空気に触れると色が変わりやすいので、切った端からピクルス液に漬けていきます。
5.細い部分も5cm幅に切り、他のものとサイズを揃えるように縦2等分にします。皮を剥かずにそのままピクルス液へ。皮を剥かない分口当たりはかたいので、「うど香るたまごサンド」のように刻んで使うと、美味しくいただけます。
6.緑色の芽の部分も一緒に漬け込むと、彩りもきれいに。味が馴染んでくる半日後からが食べごろです。冷蔵で3週間ほど保存が可能です。
【ポイント】
漬ける時間が長くなるほど、うどに酸味が移ります。漬けはじめのフレッシュなものと時間が経ってしっかり漬かったものと、味の変化も楽しめます。
いづいさんが選んだ器は…
リムプレート 120 Black
(2016/Teruhiro Yanagihara)
丸皿だけれど直線的でシャープな印象のリムプレート。「ほどよい深さがあって、盛りつけた食材が浮き立つような、立体感が出ますね。マットな質感だけれど食材の色を邪魔せず、うどの透けるような白さが際立って見えます」
「うどのピクルス」に春野菜の菜の花、
やさしい甘さのドライフルーツを合わせ、白和えに。
うどだけでなく菜の花が加わることで、よりいっそう春の香りを満喫できます。
そして、意外な組み合わせのようですが、白和えにフルーツは好相性。
今回はドライフルーツを使用していますが、
いちごや柑橘類などフレッシュなものもおすすめ。
ほどよい甘みが爽やかなうどともよく合います。
白に緑、赤や橙など、色とりどりで目にも楽しく、
おもてなしの一品としても喜ばれそうです。
材料(2人分)
- 「うどのピクルス」…50g
- お好みのドライフルーツ…30g
※今回は、あんずとクランベリーを使用。 - 菜の花…1/3束(50g)
- 木綿豆腐…100g
- 砂糖…大さじ2/3
- 練りごま…小さじ1/2
- 薄口しょうゆ…少々
- 塩…少々
(A)
つくり方
1. 豆腐は耐熱容器に入れ、ラップをかけずに電子レンジ(600W)で2~3分加熱します。取り出して布巾やキッチンペーパーに包み、重しをして水切りをします。
2. 「うどのピクルス」は1cmの長さに切り、ドライフルーツは大きければ1cm角に切ります。
3. 菜の花は、さっと塩茹でして(塩は分量外)水に取り、水気を絞って1.5cmの長さに切ります。
【ポイント】
菜の花を茹でるのは、わずか20秒程度。茹ですぎると、青菜特有の香りとしゃきしゃきした食感がなくなってしまいます。
4. すり鉢に1を入れてすり、(A)を混ぜて和え衣をつくります。
5. 食べる直前に2、3、4を5で和え、器に盛りつけます。
いづいさんが選んだ器は…
デザートカップ 大(JICON・磁今)
生成りに近い白肌と少しマットな質感の、脚つきカップ。「足つきの器は、料理の目線が高くなるので華やかに見えるんですよね。白和えはボテッとした印象になりがちですが、足つきだとすっきり見えます。フルーツが入った遊びのある白和えなので、盛りつけにも特別感を出してみました」
「うどのピクルス」を刻んで、たまごサンドのアクセントに。
さくさくした食感や爽やかな香り、ほんのりとした酸味が、
もったりしがちな卵の食感や風味を引き締め、ついつい後を引く美味しさです。
ゆで卵とマヨネーズ、そして「うどのピクルス」があれば、
あっという間にできてしまう手軽さもうれしいところ。
お弁当にもおすすめです。
材料(2人分)
- 「うどのピクルス」…80g
- ゆで卵…4個
- サンドイッチ用食パン…8枚
- マヨネーズ…大さじ2
つくり方
1. ゆで卵、うどのピクルスは粗みじんにします。
2. マヨネーズで1を和えます。
3. サンドイッチ用食パンはそれぞれ片面に、マヨネーズを小さじ1/2ずつ塗ります。2を塗り広げ、もう1枚の食パンでサンドします。
4. かたく絞った濡れ布巾をかけ、しばらく置きます。具材がパンに馴染んだら、食べやすい大きさにカットします。
いづいさんが選んだ器は…
パン皿(大久保ハウス木工舎)
桜の木を刳り抜き、中心に向かってすり鉢状に凹凸のあるかたちが特徴的な木の皿。「木の色に卵の黄色が引き立って、美味しそうに見えます。サンドイッチのかくかくして平坦な印象が、お皿の削り跡のおかげでやわらぎますね」