2019年9月公開
独特の香りや、しゃきしゃきとした食感が美味しい秋の味覚、きのこ。
そのままでは日持ちしませんが、天日干しにすれば、
干し具合によって2週間から半年ほど常温保存が可能に。
好きなときにすぐに使えて便利なうえ、
干すことでうま味が増していい出汁が出るといいことづくめです。
さらに、きのこと一緒ににんじんやれんこんなどを一緒に干しておくと、
味噌汁やスープから炊き込みご飯、煮物の具として大活躍。
そんな毎日のごはんづくりを助けてくれる「干しきのこ」を
料理家・坂井より子さんに教わりました。
「材料は何でも、そのときあるものでいいんですよ。
その都度違うから味が変わって、それが家庭料理のいいところ」と坂井さん。
目安として分量を表記しますが、ぜひ自由につくって楽しんでください。
干し具合も、セミドライから完全なカラカラの乾燥状態までお好みで。
アレンジレシピは、コンソメで洋風に仕立てる「干しきのことベーコンのスープ」と、
きのこの香りが食欲をそそる「干しきのこの炊き込みごはん」です。
干すと旨味や栄養素が増す、きのこ
きのこは、食物繊維が多く、低カロリーなうえ、
糖質や脂質の代謝を高めるビタミンB群や、
カルシウムの吸収を促進し骨を丈夫にする働きのある
ビタミンDが豊富です。
日持ちしないので、保存は冷凍か天日干しがおすすめ。
とくに天日干しは、うま味やビタミンDが増す利点も。
教えていただいたのは…
主婦・料理家 坂井より子さん
結婚を機に暮らしはじめた神奈川県葉山町で、自然に寄り添う暮らしを40年以上に渡り実践。40代後半から自宅での料理教室を主宰し、やさしい家庭料理の伝授と衣食住に渡った暮らしの知恵を交えた語りが好評に。さまざまな世代の女性から人気を集めています。近年は、若いお母さんたちの支えとなる活動としてお話会も開催。著書「受け継ぐ暮らし~より子式・四季を愉しむ家しごと」(技術評論社)や「暮らしをつむぐ」(技術評論社)も発行。オフィシャルサイトは、こちらから。
材料(つくりやすい分量/
完成量約100g)
- しいたけ…6個(150g)
- しめじ…1パック(200g)
- まいたけ…1パック(150g)
- えのき…1パック(200g)
- にんじん…中1本(100g)
- れんこん
…約φ6×H8cm(150g)
1.きのこ類は、石づきがついているものは取ります。しいたけは、2~3mmの薄切りにします。しめじとまいたけはそのまま、えのきは食べやすいよう長さを半分にしてから、それぞれほぐします。にんじんは長さ3~4cmの千切り、れんこんは1~2mmの薄さのいちょう切りにします。
【ポイント】
かたちはお好みで。乾燥しやすいようなるべく薄く切ります。
2.ざるに広げ、風通しのいい場所で数日直射日光に当てます。
【ポイント】
野菜に水分が多い干しはじめは、ざるにキッチンペーパーなどを敷いた上に野菜をのせると水分を吸ってくれます。
3.手で触って好みの乾燥具合になったら完成。写真は、少ししっとりした感触が残る程度で、保存期間は密封容器に入れて常温で約2週間。しっかりカラカラになるまで乾燥させると半年くらい日持ちが可能です。
坂井さんが選んだ器は…
手つき楕円ざる 中
両手に持ち手がついた、淡竹(はちく)製の楕円ざる。「自然素材のかごやざるが好きで集めていますが、これははじめて見るかたちです。キッチンツールとして台所で使うのはもったいない佇まいで、おむすびをのせたり、枝豆を盛っても美味しそう。食卓で使いたいざるですね」
「干しきのこ」は、お湯に入れて一煮立ちするだけで戻るから、
お味噌汁やスープの具として重宝します。
今回は、コンソメ仕立てでベーコンを合わせて洋風に。
「干しきのこ」の旨みが染み出て、しみじみ美味しいスープです。
材料(1人分)
- 「干しきのこ」…10g
- ベーコン…1枚(20g)
- コンソメキューブ…1個
- しょうゆ…小さじ1
- 水…250cc
- 青ねぎ…適量
※ベーコンの代わりに卵とじにしても。
つくり方
1. ベーコンは短冊切りにします。
2. 鍋に水250ccを入れ沸かし、コンソメとベーコンを入れます。ベーコンに火が入ったら「干しキノコ」を加え、一煮立ちしたらしょうゆで味を調え火を消します。
3. 器に盛り、青ねぎを適量散らします。
坂井さんが選んだ器は…
オルノ 手付きボウル
(フォースマーケット)
土物ならではのあたたかみのある質感の両手つきボウル。「磁器よりも、ちょっと厚みがあってざらりとした土物が好きなんです。コンソメ味で洋風のスープが似合いますね。取っ手がついているから、熱々のスープでも手を添えられて食べやすそうです」
新米の季節はとくに、お米を主役にした料理を食卓に並べたくなります。
手がかかるイメージの炊き込みご飯も、「干しきのこ」を使えばあっという間。
水加減の調節も不要で、お米を炊くときにそのまま一緒に入れるだけ。
「干しきのこ」ににんじんやれんこんも入っているので、
彩りや歯ごたえも楽しめます。
何より、干すことで凝縮したきのこの香りが食欲をそそります。
材料(4人分)
- 「干しきのこ」…15g
- 米…2合
- 薄口しょうゆ…大さじ1
- 塩…小さじ1/2
つくり方
1. 白米2合を炊く要領で炊飯の準備をします。
2. 1に「干しきのこ」、薄口しょうゆ、塩を加え軽く混ぜ、炊飯します。
【ポイント】
炊飯の水加減は白米2合を炊く要領ではかり、そこに「干しきのこ」と調味料を加えます。「干しきのこ」は戻さず、そのまま入れて大丈夫です。
坂井さんが選んだ器は…
面取り飯碗 粉引(福光焼)
成形後ヘラで勢いよく側面を削り落とす「面取り」がシャープな印象の飯碗。「六角の角度がついていいかたちですね。黒い『アメ黒』と白い『粉引』の2種類ありますが、料理が映える気がして白っぽい方が好みです。粉引の少しぽってりした感じも食卓で存在感が出ます」