管理栄養士・美才治真澄さんに教わる、二十四節気の食べごろレシピ 2019 啓蟄
2019年3月公開
二十四節気の「啓蟄(けいちつ)」は、
虫たちが地上に出てくる時季であり、これまでの寒さが和らぐ頃。
その一方で3月から4月頃にかけては、雨の多い時季でもあります。
「雨水(うすい)」に引き続き、すっきりしないお天気ですが、
静かな春の雨に心を落ち着かせ、4月からスタートする新生活に向けて少しずつ準備をはじめましょう。
啓蟄の献立
ブータンブランと
スナップエンドウのソテー
調理時間:40分
294kcal(1人分)
「ブータンブラン」は、フランスの北部、
アルデンヌ地方の郷土料理として知られている白いソーセージです。
肉々しさは控えめで、ぷりぷりとした食感。
塩やこしょうといったシンプルな味つけなので、
子どもはそのまま、大人はマスタードをつけたりなど
世代を問わず美味しく食べられます。
今回は、家庭でもつくりやすいよう、はんぺんを加えています。
はんぺんの原料である白身魚のすり身や、山芋、卵白などが
肉だねに粘りを与え、ラップで包む際に成形しやすなるのです。
食感も軽くしっとりするので、より美味しくいただけますよ。
旬のスナップエンドウと合わせて、
シンプルにソテーで味わってください。
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材料:2人分
鶏むねひき肉…200g
はんぺん…100g
ピクルス(刻み)…30g
イタリアンパセリ(刻み)
…大さじ1
牛乳…大さじ1
片栗粉…小さじ2
塩…小さじ1/3
こしょう…適量
バター…小さじ2
スナップエンドウ…16枚
ピンクペッパー…好みで適宜
粒マスタード…適宜
つくりかた
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1.
ボウルに冷蔵庫から出したての冷たい鶏ひき肉、はんぺん、塩、こしょうを入れ、はんぺんのダマがなくなるまでよく練り混ぜます。
【ポイント】
鶏肉の脂は溶けやすく、脂が溶けることによって全体がゆるくなると、後の工程で成形しにくくなってしまいます。脂は冷ますことで固まるので、ゆるくなってしまったら冷蔵庫で冷やし直しましょう。 -
2.
1にピクルス、イタリアンパセリ、牛乳、片栗粉を入れてさらに混ぜます。
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3.
ラップを約50cm幅に広げ、中央に2を横長のかたちにしてのせます。
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4.
空気が入らないようにラップを折りたたみ、転がしながら直径6cm程度(長さ20cm程度)の棒状にします。
【ポイント】
空気が入ってしまうと、表面に凹凸ができてしまいます。空気が入らないように、転がす前にしっかり空気を抜きましょう。もし空気が入ってしまったら、竹串か爪楊枝を使って穴を空けて空気を抜きましょう。
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5.
両端のラップをこより状にきつくねじり、中央でかた結びをして縛ります。薄いラップだと、かたちが崩れてしまう恐れがあるので、ラップは1重ではなく、2重にして包みましょう。
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6.
湯気のたった蒸し器に5を入れ、強火で20分ほど加熱します。
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7.
粗熱が取れたら1cm幅程度に切り、バターを敷いたフライパンで両面に写真のような焦げ目がつくまで焼きます。
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8.
7を取り出し、スナップエンドウを2分ほどさっと炒めたら、ブータンブランとともに器に盛ります。ディジョンマスタードを添え、好みでピンクペッパーを散らします。
栄養のまめ知識
*「鶏肉」は肉類の中でもやわらかく、消化がいいという特徴があります。また、皮膚や粘膜を守る「ビタミンA」や、粘膜を強化して免疫力を高めてくれる「ビタミンB6」が豊富に含まれています。
これからの季節に多くなる花粉症や鼻炎によって、外部から体を守る役割をしている粘膜が傷つきやすくなり、免疫が弱くなりがちに。免疫が低下するとアレルギー反応が出やすくなったり、ウイルス感染もしやすくなるため、粘膜を守る栄養素を積極的に摂っていきましょう。
*春先から初夏にかけて旬の「スナップエンドウ」にも、粘膜を保護する作用を持つ「β-カロテン」が含まれています。一旦茹でてから使うことが多い食材ですが、今回のように生のまま炒めても美味しく食べられます。たっぷりのスナップエンドウを1cm幅程度に切り、煮立った鶏ガラ出汁と塩でさっと煮た、スナップエンドウだけのシンプルなスープもこの時季ならではの美味しさです。添えものとしてだけではなくメインの食材としても活用してみてください。
*「鶏ひき肉」は透明感のある薄ピンク色で、トレーにドリップ(赤い汁)が出ていないものを選びましょう。鶏ひき肉は牛、豚ひき肉に比べ保存性が悪く傷みやすいので、買った当日に使い切るか、小分けにして冷凍保存するのがおすすめです。
*「スナップエンドウ」はさやがみずみずしくハリがあって乾燥していないもの。色が明るく濃い緑色のものがおすすめです。
料理に使った器や道具
美才治 真澄(びさいじ ますみ)
管理栄養士 / フードコーディネーター
香川栄養専門学校(女子栄養大学短期大学部)卒業後、管理栄養士・荒牧麻子氏に師事。のちブラジル・バイーアへ料理留学。帰国後ヴィーガンカフェ “Cafe Eight”のフードディレクターとしてケータリング・商品開発の企画運営に携わる。 現在はフリーランスとして、企業、メディアに向けたメニュー提案及び調理&スタイリング、栄養相談、料理教室、オーダーメイドケータリングなどを中心に活動中。女子栄養大学生涯学習講師。
著書に「満たされスープ」(世界文化社)、「かわいい!カラフルお弁当」(女子栄養大学出版部)。監修を手がけたものに「ギャル曽根流 大食いHAPPYダイエット」「世田谷農家に教えてもらう本当においしい野菜の食べ方」(ともにマガジンハウス)ほか。「ELLE a table」「VOGUE」「anan」「Hanako」「Tarzan」など各誌でも活躍中。ちなみに「トルコトラベルブック」(東京地図出版)は、cotogoto店長・涌井との共著本。
HP:http://bisaijimasumi.com/