2019年8月公開
日本近海でよく獲れることから、日本の食卓に馴染みの深い魚・いわし。
年間を通して手に入りやすいのですが、脂がのる6~10月が旬といわれています。
いわしは傷みやすいことでも知られていますが、
塩水に浸けてから油で煮る「オイルサーディン」にすれば、
冷蔵で2週間ほど保存が可能に。
和にも洋にも展開しやすいシンプルな「オイルサーディン」を
料理研究家・荒木典子さんに教わりました。
アレンジレシピは、さっぱりとした味わいの「いわしの洋風和え物」と、
煮込まずさっとでき上がる「オイルサーディンカレー」をご紹介します。
身近で栄養バランスのいい、いわし
コレステロールや中性脂肪を下げたり、
血液をサラサラにしたり、脳や神経系の機能を
高めることで知られる「不飽和脂肪酸」が豊富。
カルシウムやその吸収を助けるビタミンDも多く、
生活習慣病や骨粗しょう症予防にうれしい食材です。
目が澄んでいて、お腹が張っているものが新鮮です。
教えていただいたのは…
料理研究家 荒木典子さん
大学を卒業後、フランスへ留学。帰国後調理師学校で料理の基礎を学び、調理師免許を取得。料理本の編集者として働いた後、2007年に料理の道へ。季節感を取り入れたシンプルで丁寧な料理をモットーに、書籍や雑誌、WEBサイト、企業へのレシピを提供や料理店の監修、料理教室を主催。「テリーヌ&ムース」(日東書院本社)、「グラチネ ~アツアツのグラタンを召し上がれ」(成美堂出版)、「旬の和ごはん 12ヵ月」(講談社)など、著書多数。オフィシャルサイトは、こちらから。
材料(つくりやすい分量/
完成量約720g ※油を除く)
- いわし…14匹(約1.2㎏)
- 水…800g
- 塩…80g(水の10%)
- 生姜…1片(30g)
- 油…800ml
※水や油の量は、使用するいわしや鍋の大きさによって調整してください。
1.いわしは、ウロコが残っている場合は包丁の刃でなでるように落とし、胸ヒレのつけ根から頭を落とします。
2.腹を切り落とします。開くよりも切り落とす方が簡単なのと、腹部分のかたい骨を取り除くためです。
3.2の切り口から肛門の方向に包丁の刃を差し込み、肛門まで切り開きます。
4.そのまま包丁の刃で内臓をかき出します。尾も切り落とし、水でさっと洗います。
5.塩分濃度10%の塩水に4を2時間ほど浸けます。濃度の高い塩水に浸けることで、保存性を高めます。塩水に浸けているので常温で大丈夫です。
【ポイント】
キッチンペーパーなどを落とし蓋にすると、いわしがしっかり塩水に浸かります。
5.鍋や直火が可能な琺瑯バットなどに重ならないよういわしを並べ、生姜の薄切りを入れ、かぶるくらいの油を注ぎ火にかけます。泡が出てきたら弱火にします。ぐつぐつしない火加減が目安です。
【ポイント】
いわしが油から出ていると皮が剥がれてしまうので、いわしがしっかりかぶるくらい油を注ぎます。また、低温でゆっくり火を通すことで、身が崩れず仕上がります。
6.油に溶け出たたんぱく質がかたまって膜が張ったら取り除きます。1時間ほど煮たら火を止め、粗熱が取れたら保存容器に移します。油に浸かった状態で、冷蔵で2週間ほど保存が可能です。
【ポイント】
1時間ほど煮ると、背骨まで食べられるくらいやわらかくなります。骨は食べない場合は、加熱時間は15~20分でも大丈夫です。
荒木さんが選んだ器は…
5寸皿染付 菊(樋山真弓)
白地に青藍色の呉須で菊の模様が描かれた5寸皿。「取り皿によさそうなサイズです。縁が立ち上がって少し深さもあるから、汁気のあるものにも使えますね。やさしい藍色もすてきです」
ほどよい塩加減の「オイルサーディン」にタマネギとバジルを合わせ、
仕上げにきゅっとレモンを絞れば、
白ワインにも合いそうな洋風の和え物に。
さっぱりと食べられるから、暑い季節にぴったりです。
材料(2人分)
- 「オイルサーディン」
…2匹(100g) - 紫タマネギ…1/4個(40g)
- バジルの葉…5~6枚
- レモン…1/2個
- しょうゆ…小さじ1
つくり方
1. 「オイルサーディン」は骨を除いて適当な大きさにほぐします。紫タマネギは薄切りにします。
2. バジルの葉は適当な大きさにちぎり、1と混ぜて器に盛り、しょうゆを回しかけ、レモンを絞ります。
荒木さんが選んだ器は…
気泡皿 中(ガラス工房 清天)
再生ガラスを使い、無数に入った気泡が涼し気な琉球ガラスの平皿。「ぺたんこではなく少し深さがあるから盛りやすいかたちですね。涼し気に見えますが、厚みがあってあたたかな雰囲気もあるから、いろいろな料理に使えそうです」
トマトとタマネギと「オイルサーディン」を具に、
カレー粉だけでシンプルに仕上げたカレー。
具を炒めてさっと煮るだけだから、あっという間にできます。
「オイルサーディン」のコクとトマトの甘みをカレー粉がぴりりとまとめ、
あっさり食べられるカレーです。
材料(2~3人分)
- 「オイルサーディン」
…4匹(200g) - ニンニク…1片
- トマト…2個(400g)
- タマネギ…1個(400g)
- 「オイルサーディン」の油
…大さじ1 - カレー粉…大さじ2
- ウスターソース…大さじ1
- 水…100ml
- 塩…適量
つくり方
1. 「オイルサーディン」は骨を除いて、適当な大きさに切ります。ニンニクは包丁の背でつぶし、トマトとタマネギはざく切りにします。
2. フライパンに「オイルサーディン」の油とニンニクを熱し、香りが立ってきたらタマネギとトマトを入れて炒めます。タマネギがしんなりしてきたら「オイルサーディン」とカレー粉を加えてざっと炒めます。
3. ウスターソースと水を加えて蓋をし、10分ほど煮ます。蓋を外して水分が多ければ少し煮詰め、味をみて塩で調えます。
荒木さんが選んだ器は…
REGULAR PLATE 白濁釉(amabro)
今の暮らしにしっくりくる新しい定番を提案する「NEW STANDARD」シリーズのプレート。「洋にも和にも使える雰囲気のお皿ですね。リムがひっかかりになるから、カレーのようなごはんものも、すくいやすく食べやすいと思います」