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家事の基本 和食の基本 和食の調味料 砂糖

和食の調味料 砂糖

天然の甘味料として料理に甘みを加えたり、下ごしらえにも活躍する砂糖。
特に最も一般的な砂糖である「上白糖(白砂糖)」は、日本特有の砂糖で、素材の美味しさを活かす和食には欠かせない調味料として使われてきました。
その一方で、摂取しすぎると肥満や生活習慣病につながることも。
用途にあわせて適した砂糖を、適した量だけ使えるようにしたいですね。

原料、製法

原料:サトウキビ/サトウダイコン

砂糖とは、サトウキビやサトウダイコン(てんさい、ビート)に含まれる「ショ糖」を主成分としたもの。
多くの砂糖が原料とするのはサトウキビで、日本では沖縄や鹿児島など暖かい地域で栽培されます。
一方サトウダイコンは北海道など寒い地域でつくられます。

一般的には、サトウダイコンからつくられる砂糖は「てんさい糖」のみ、そのほかの砂糖は「サトウキビ」が原料であることが多くなっています。

製法:精製(分蜜糖)/無精製(含蜜糖)

砂糖は、製法によって大きく2つに分けられます。
1つ目は、原料の絞り汁を精製してつくる、「分蜜糖(ぶんみつとう)」。
糖蜜からショ糖だけを取り出し、糖質以外のミネラルなどを取り除きます。
2つ目は、無精製の「含蜜糖(がんみつとう)」。
原料の絞り汁をそのまま煮詰めて乾燥させたものです。


種類

分蜜糖

上白糖(白砂糖)

原料、製法 サトウキビ
種類 分蜜糖
透明(光の乱反射により白く見える)
ミネラル 極めて少ない
特徴、使い方 しっとりさせるため、「ビスコ」という甘みの強い転化糖(ブドウ糖と果糖の混合物)を加えてあるので、グラニュー糖に比べて純度(ショ糖の割合)は低いですが甘みが強く、高い吸湿性があります。
味にクセがなく色も付かないので、素材の味を活かしたい料理を中心に、どんなものにも使えるオールマイティーな砂糖です。
また、吸湿性を活かして、しっとり仕上げたいカステラなどのお菓子にもおすすめです。

グラニュー糖

原料、製法 サトウキビ
白双糖と同じ製法
種類 分蜜糖
透明(光の乱反射により白く見える)
ミネラル ほぼなし
特徴、使い方 結晶が上白糖よりやや粗く、サラサラしており、白双糖よりは細かいです。
純度が高く、上白糖以上にクセのない淡白な甘さなので、純粋に甘みだけをつけて、素材の風味や香りを活かしたいときに向いています。
料理よりも、香りを楽しみたいコーヒーや紅茶、素材の繊細な味わいを引き出したいお菓子、果物の美味しさを損ねたくないジャムづくりを中心に使われます。

白双糖(しろざらとう・白ザラメ)

原料、製法 サトウキビ
グラニュー糖と同じ製法
種類 分蜜糖
透明(光の乱反射により白く見える)
ミネラル ほぼなし
特徴、使い方 結晶がグラニュー糖より粗く、2mm以上あります。
純度が高く、淡白で上品な甘さから、高級菓子やゼリーなどに。

中双糖(ちゅうざらとう・黄ザラメ)

原料、製法 サトウキビ
白双糖に風味付けのためカラメルをコーティングしたもの
種類 分蜜糖
黄褐色
ミネラル ほぼなし
特徴、使い方 カラメル成分を含むため、白双糖に比べて風味がまろやかでコクがあります。
白双糖と同じく結晶が2mm以上と大きいので、煮物や佃煮などに使うと、ゆっくりと溶けて食材に染み込みます。

氷砂糖

原料、製法 サトウキビ
グラニュー糖や白双糖を溶かして結晶化させたもの
種類 分蜜糖
透明(光の乱反射により白く見える)
ミネラル ほぼなし
特徴、使い方 結晶が氷のように大きいことが特徴。
純度が高く、溶けるのに時間がかかることから、ゆっくりと糖分を溶かして美味しさを引き出したい果実酒づくりなどに使われます。

三温糖

原料、製法 サトウキビ
上白糖やグラニュー糖を分離して残った糖液を煮詰めて、カラメル色に仕上げたもの
種類 分蜜糖
黄褐色
ミネラル ほぼなし。
見た目は含蜜糖のきび砂糖、てんさい糖と似ていますが、ミネラル分は上白糖、グラニュー糖よりやや多い程度で、ほとんど変わりません。
特徴、使い方 上白糖と同じくしっとりさせるため、「ビスコ」という甘みの強い転化糖(ブドウ糖と果糖の混合物)を加えてあるため、またカラメルによって生まれる甘みがあるため、他の分蜜糖に比べて甘みが強く、独特の風味があります。
煮物や佃煮など、コクを出したい料理におすすめです。

含蜜糖

黒砂糖

原料、製法 サトウキビ
種類 含蜜糖
黒褐色
ミネラル 非常に豊富
特徴、使い方 独特の甘みと強いコクがあるため、黒砂糖の個性を活かしたい料理やお菓子などに適しています。

きび砂糖

原料、製法 サトウキビ
精製途中の糖液を煮詰めています
種類 含蜜糖
黄褐色
ミネラル 豊富。半精製のため、黒砂糖には劣ります。
特徴、使い方 さとうきびの風味を感じるマイルドな味わい。
色が薄いので、黒砂糖の代わりに使いやすい砂糖です。
多少色が着くことを気にしなければ、万能に使えます。

和三盆糖

原料、製法 サトウキビ
なかでも「竹糖(ちくとう)」と呼ばれる品種に限定されます。
主に香川と徳島で伝統的に生産されています。
種類 含蜜糖
※特殊な製法のため、どちらにも属さないという説もあります。
淡い黄褐色
ミネラル 豊富
特徴、使い方 結晶が非常に小さいのできめが細かく、上品な甘さが売り。
和菓子に使われる非常に高級な砂糖です。

てんさい糖

原料、製法 サトウダイコン(てんさい、ビート)
種類 含蜜糖
※一般的に「てんさい糖」としてスーパーなどで売られているのは含蜜糖ですが、サトウダイコンからつくられたビート上白糖やビートグラニュー糖などを広義に「てんさい糖」と呼ぶこともあります。
黄褐色
ミネラル 豊富。
含蜜糖の場合はミネラルに加え、ラフィノースというサトウダイコンから抽出されたオリゴ糖が含まれます。
オリゴ糖は腸内のビフィズス菌の活性化の手助けをして、腸内環境を整える効果があります。
特徴、使い方 サトウダイコン由来のあっさりとした優しい甘さ。
多少色が着くことを気にしなければ、万能に使えます。

豆知識

上白糖、グラニュー糖、氷砂糖、黒砂糖など、ほとんどの種類の原料はサトウキビです。
ただし、これらの砂糖がサトウダイコンからつくられる場合も稀にあります。
その場合には、「ビート上白糖」など、サトウダイコンが原料であることを明示してあり、一般にサトウキビ製のものよりもすっきりとした甘さが特徴です。

料理における主な効能

砂糖には甘みをつけるだけでなく、大きな作用として水によく溶けて、水を引き付ける力「脱水性」と、保持する「保水性」の両方の働きがあります。
また、「浸透圧」という、水分の多い食材から水分を抜き取る効果も。
尚、塩も親水性と浸透圧の作用をもちますが、どちらを使うかは、仕上げたい味によって使い分けたり、一緒に使うことで効果を高めます。

  • 甘みをつける
    すき焼きや肉じゃがのように甘みをつけることで、食欲をかき立てます。

  • 柔らかくする
    焼く前の肉に砂糖を揉みこむと、肉の組織の間に砂糖が入り込んで水分を引き付け、コラーゲンと結びつくことで肉を柔らかくします。ぱさつきがちな鶏胸肉にも効果的です。

  • 保存性を高める
    食品の中の水分を砂糖が抱え込むことで、微生物が水分を利用しにくくなり、繁殖を抑えて保存性を高めます。そのため、保存をきかせたいジャムやおせち料理などに、砂糖が使われます。

  • とろみをつける
    ジャムづくりの際に砂糖を入れると、果物の細胞内にある「ペクチン」が砂糖の浸透圧によって外に出て、砂糖の糖分や酸と一緒に加熱されることでゲル化。ジャムのとろみは、砂糖のこの作用によるものです。

  • 香りや美味しさを引き出す
    果実酒をつくるときには、砂糖の浸透圧で果物のエキスが外に出ます。果物の水分だけでなく、香りや味までしっかり引き出されるためには、時間をかけて溶ける氷砂糖がおすすめです。

  • コクを出す
    煮物にコクを出したいときには、砂糖が必須。特にカラメル成分を含む三温糖や中双糖、サトウキビそのままの強いコクのある黒砂糖がおすすめです。

豆知識

砂糖は塩よりも分子が大きいので、塩を先に入れてしまうと食材に砂糖が染み込みにくくなってしまいます。そのため「さしすせそ」の順番どおり、砂糖を最初に入れることがおすすめです。

砂糖を健康的に活用するコツ

甘くて美味しく、料理に様々な効能を与えてくれる砂糖ですが、糖分は血糖値を急激に上げる作用があり、摂取し過ぎると肥満や生活習慣病を引き起こす原因になります。
砂糖の種類によってミネラルが豊富など、健康面への効果が謳われていることがありますが、どれも糖分であることは同じ。
いずれにせよ、摂取しすぎないことが大切です。

また砂糖だけで補給できるミネラル量は微々たるもの。
砂糖は栄養源ではなく調味料と捉え、料理にあわせて選び、使い分けることが一番重要です。

調理の上で砂糖を減らすためには、全体的に薄味にすることが大切。
例えば煮物の場合、しょうゆなど全体の味付けを控えれば、自然と砂糖の量も減ります。
また食事の際には、野菜やきのこ、海藻など食物繊維を含むものから先に摂ると、血糖値の上昇が穏やかになります。


保存方法

砂糖には賞味期限がなく、味が変わったり甘さが落ちることはほとんどありません。
さらさらとした状態を維持するために、湿度を一定に保てるよう、密閉容器や調湿材の利用がおすすめです。

おすすめの道具


※参考文献:独立行政法人農畜産業振興機構、株式会社明治フードマテリア、
てんさい糖(ホクレン)、日和製作所

監修

女子栄養大学生涯学習講師
弥冨 秀江(いやどみ ひでえ)先生

>> 詳しくはこちら

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