

和食の調味料 酒

酒は美味しい和食の陰の立役者です。
他の調味料と違い、はっきりとした甘さや塩辛さ、酸っぱさなどの味は加わりませんが、コクと旨味を出すほか、アルコールの力による調理効果が期待できます。
また料理に使う酒と言えば料理酒と思っている方が多いかもしれませんが、清酒(日本酒)でも代用できます。
料理酒と清酒の違いなどもご紹介します。
種類
料理に使われる酒は、清酒(日本酒)と料理酒の2種類があります。
またこのほか、中華には紹興酒(しょうこうしゅ)、洋食には赤ワイン、白ワインなどのお酒が用いられます。
清酒(日本酒)
原料、製法 |
白米に米麹、水、酵母を加えて発酵させたもの。 飲んだときに美味しく感じられるようつくられているので、米の周りを削ったものを原料に使い、雑味を少なく仕上げます。 |
特徴 |
普通の日本酒。 飲用としてつくられていますが、料理にも使用可能です。 料理に使うときには、あえて安いものを選んだ方が、雑味に含まれる旨味が料理に活きることも。 飲まずに余った日本酒があれば、ぜひ料理に使ってみてください。 |
料理酒
原料、製法 |
清酒に2~3%の塩を加えたもの(海水に近い塩分濃度)。 または酸味や雑味を残したもの。 |
特徴 |
多くの料理酒は塩を加えることで、酒税(※)がかからないようにしているので、清酒に比べて安価で購入できます。 塩が含まれているかどうかは、原材料名で確認可能。 塩が入っている場合は、塩加減に注意が必要です。 また、料理用に清酒より酸味や雑味を多く残して調理効果を高めているものもあり、コクや旨味を加えることができます。 |
※酒税は、アルコール度数1%以上の飲料にかかる税金です。
料理における主な効能

酒にはアルコールの効果によって、料理を美味しくする様々な力があります。
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味を染み込みやすくする:
アルコールがすばやく食材に染み込み、一緒に他の調味料も染み込みやすくします。
調理の最初に入れるとアルコールの働きが最大限に活かされます。
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肉や魚の生臭さを取る:
アルコールが蒸発するときに、肉や魚の奥にある生臭さの成分を一緒に抱えて蒸発するため、臭いを消すことができます。
また料理に酒の豊かな香りが付きます。
調理の最初に入れるとアルコールの働きが最大限に活かされます。
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素材を柔らかくする:
肉に酒を揉みこんでから焼くと、柔らかく仕上がります。
これは、アルコールが浸透し水分を保った状態をキープするためです。
調理の最初に入れるとアルコールの働きが最大限に活かされます。
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コクと旨味を出す:
雑味が多い安価な清酒や、雑味を多く残した料理酒の場合、料理に使うとコクや旨味が生まれます。
すき焼きの割り下に水ではなく酒を使うと、こってりとコクのある仕上がりに。
酒を健康的に活用するコツ
酒は他の調味料と異なりはっきりとした味が付かないので、つい入れ過ぎてしまうことも。
アルコール分は加熱することで飛びますが、料理酒の場合は塩分が含まれるため、塩分過多になり過ぎないように気をつけましょう。
保存方法
温度変化の少ない冷暗所での保存がおすすめです。
※参考文献:宝酒造、オエノングループ