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家事の基本 和食の基本 和食の調味料 酢

和食の調味料 酢

酸味を加える調味料である酢。
すっぱいと感じるさせることで、食欲を増す効果があります。
また、こってりした料理も酢を加えればさっぱりと食べやすくなります。
味覚に訴える以外にも、殺菌、防腐効果や、肉や魚を柔らかくする効果など、下ごしらえでも様々な力を発揮。
健康面にもたくさんのメリットがあるので、ぜひ毎日の食事に積極的に取り入れたい調味料です。


原料、製法

原料

酢は、米や麦、コーンなどの穀類や、りんご、ぶどうなどの果実など、糖質を含む様々な食材が原料となる発酵食品です。
これらの糖質が、酢の主成分である「酢酸(さくさん)」に変わって、酢ができます。
酢酸とは、酢酸菌の働きによってアルコールが変化してできる成分で、酸味のもとになっています。

製法

酢の種類には、製法によって「醸造酢」と「合成酢」の2種類があります。
家庭用として販売されているもののほとんどが醸造酢です。

醸造酢


まず原料を「アルコール発酵」させて酒をつくります。
純米酢の場合だと、米を蒸したところに米麹と水を加えることで、酵素が働き米のでんぷんが糖に変化。 そこに酵母を加えることで、アルコールに発酵し、酒ができます。 その後、酢酸菌の働きによってアルコールが酢酸に変わる「酢酸発酵」し、酢ができます。

  • 静置発酵法:仕込んだ酒を長時間かけてじっくり熟成させ、自然の力で発酵させたもの。天然醸造のため時間がかかり、つくられる量も限られていますが、旨味の元となるアミノ酸が多く、自然なまろやかさが生まれます。

  • 全面発酵法:巨大なタンクに酒を入れて、機械で人工的に空気を送り込み、高速発酵させたもの。効率よく安価に大量の酢を製造できます。

合成酢

酸味料や甘味料、香料などを調合して化学的につくったもの。
家庭用としてはあまり出回っていません。


種類

穀物酢



米、麦、とうもろこし、酒粕などの穀物をブレンドして醸造した酢。

穀物酢

原料、製法 米、麦、とうもろこし、酒粕などの穀物を使って醸造した酢で、酢1000mlにつき、40g以上の穀物を使っているもの。
ここでは狭義に米酢、純米酢、黒酢以外で、「穀物酢」という商品名で販売されているものについて説明します。
特徴、使い方 さっぱりした風味でクセがないので、和洋問わずどんな料理にも使いやすいです。
日本で最も一般的な酢で、価格が安いものも多いので、下ごしらえにも手軽に使えます。
米酢に比べると、シャープな酸味のものが多く、加熱しない料理の場合は酸っぱさが気になることも。
加熱すると酸味がやわらぐので、煮込み料理などに使えば気になりません。

米酢

原料、製法 酢1000mlにつき、40g以上の米を使って製造されたもの。
アルコールや他の穀物が含まれる場合もあります。
特徴、使い方 穀物酢と比べると、米の甘みと旨味でまろやかなコクが特徴です。
米でつくられているのでご飯との相性がよく、酢飯づくりに使われることが多い酢です。
そのほか和食全般に合い、まろやかな酸味は酢の物や甘酢漬けなど加熱をしない料理に使っても、美味しくいただけます。

純米酢

原料、製法 酢1000mlにつき、120g以上の米だけを使って製造されたもの
特徴、使い方 米酢以上に米本来の豊かな旨味とまろやかさを楽しめます。

黒酢

原料、製法 酢1000mlにつき、180g以上の玄米または大麦を使って製造されたもの
特徴、使い方 コクのある濃厚な味わいが際立つ酢。
ほかの穀物酢より酸味が強いのですが、加熱するとまろやかになります。 その特徴的な風味は脂肪分を含む食品と相性がよく、酢豚などの肉料理に多く使われます。
発酵および熟成によって褐色または黒褐色に色づいているので、料理に色をつけたくない時は不向きです。
また、体の代謝に欠かせないアミノ酸が豊富なので、水や炭酸などで割って飲むのも健康的です。

果実酢



りんごやぶどうなどの果物を使って醸造した酢。

りんご酢

原料、製法 酢1000mlにつき、りんごの絞り汁300g以上を使って製造されたもの
特徴、使い方 りんごのフルーティーな香りが特徴。
野菜と相性がいいので、ドレッシングやピクルスなどに。
水や炭酸などで割って飲みやすい、まろやかな酸味です。

ワインビネガー

原料、製法 ぶどう果汁を使って製造されたもの
特徴、使い方 すっきりとした酸味と、ぶどうのさわやかな香りが特徴
洋風の料理に合い、ドレッシングやマリネなどに使われます。
ワインと同様に赤と白の2種類があり、赤ワインビネガーはコクのあるどっしりとした味わい、白ワインビネガーは軽くてあっさりとした味わいと、それぞれに個性があります。

バルサミコ酢

原料、製法 ぶどう果汁を煮詰め、長期間熟成して製造されたもの
特徴、使い方 イタリア語で「芳香性の」という意味をもつ「バルサミコ」の名前通り、香り豊かで独特の甘みとコクがあります。
洋風の料理に合い、肉や魚のソースに使ったり、ドレッシングやマリネにも。
暗褐色なので、料理に色をつけたくない時は避けましょう。


料理における主な効能

酢には殺菌、防腐効果を中心に、料理を美味しく、美しくする様々な働きをします。
すべての効能は、酢の主成分である酢酸の働きによるものなので、どの種類の酢を使っても効果は期待できますが、下ごしらえに使うときには、安価でクセがなく食材の色を損ねにくい穀物酢がおすすめです。

  • 酸味をつける
    酢豚やマリネなど、酸味をつけることで食欲を刺激します。また、こってりした肉料理なども、さっぱりとした味わいに食べやすくしてくれます。

  • 殺菌、防腐する
    酢は調味料の中で最も殺菌力が強く、しめ鯖のように魚を酢でしめたり、ピクルスのように野菜を酢で漬けることで、保存を利かせることができます。砂糖や塩にも保存性を高める効果がありますが、糖分や塩分を抑えたい場合は料理に合わせて酢で代用しても。

  • 柔らかくする
    酢にはカルシウムを溶かす作用があり、魚の煮物に酢を入れれば、小骨が柔らかく食べやすくなります。またたんぱく質を分解する作用もあるので、硬い肉を酢で煮ると柔らかく仕上がります。

  • 臭みをとる
    魚を酢で洗ったり、しめると、魚の臭みの元であるトリメチルアミンに作用して、臭みをとってくれます。

  • 色を保つ、引き出す
    酢には、素材の色を保ったり、引き出す効果があります。ごぼうやれんこんを酢水にさらせば、アクが抜けて変色を防ぎ、みょうがを酢に漬ければ、含まれるアントシアニンという色素が酢の力で酸性になり、赤色が引き立ちます。

豆知識

味付けの順番ですが、酢はその香りや風味を活かしたいもの。 「さしすせそ」の順番どおり、砂糖と塩の後、醤油や味噌と同じタイミングで調理の仕上げに入れましょう。

酢の嬉しい健康効果

健康にいいことでも知られる酢。
具体的には、食後の血糖値の上昇をゆるやかにしたり、内臓脂肪を減少させたり、高めの血圧や中性脂肪値を下げたりする効果があります。
酢には塩味を引き立たせる効果もあるので、塩分を少なめにして酢を加えれば、減塩にも一役買います。

また、食欲がないときや、夏バテにも酢が効果的。
酸味が嗅覚と味覚を刺激することで胃液や唾液などの消化酵素の分泌を促し、食欲を増進させます。
疲労物質である乳酸を取り除いてくれる働きもあるので、疲労回復を助ける効果もあります。

味付けや下ごしらえに使うだけでなく、フルーティーでまろやかなりんご酢や、アミノ酸が豊富で特に健康効果が期待できる黒酢は、飲み物で割ってドリンクとして楽しんでも。
ぜひ積極的に毎日の食事に取り入れてみてください。


保存方法

直射日光を避けて、冷暗所で保存しましょう。
夏場の気温の高い時期には、冷蔵庫での保存がおすすめ。
賞味期限内に使い切ってください。
卓上用の容器に入れて食卓に常備しておけば、気軽に使いやすくなります。

おすすめの道具

  • 醤油差し・お酢入れ (東屋)

    醤油差し・お酢入れ (東屋)

    真っ白で清潔感のある上品なお酢入れ。液だれしにくく、汚れにくい仕上げなので、いつでも気持ちよく使えます。

  • G型しょうゆさし (白山陶器)

    G型しょうゆさし (白山陶器)

    醤油差しですが、お酢入れとしてもおすすめ。グッドデザイン賞受賞の優れたデザインの大小6色展開で、醤油差しと色違いやサイズ違いでどうぞ。


※参考文献:ミツカン、全国食酢協会中央会 全国食酢公正取引協議会、飯尾醸造、「手づくり健康酢バイブル」金丸絵里加著(主婦の友社)、フジテレビ商品研究所、クックパッド

監修

女子栄養大学生涯学習講師
弥冨 秀江(いやどみ ひでえ)先生

>> 詳しくはこちら

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