素材別 肉 牛肉
独特の旨味と食べごたえがあり、
普段はもちろん、焼肉やステーキ、すき焼きと、
ちょっとしたご褒美感覚で食べたくなる牛肉。
とくに赤身は動物性タンパク質がたっぷり。
筋肉をつくり、代謝を上げる効果があります。
また鉄分や亜鉛も豊富です。
脂ののり方や旨味の強さは、部位によって大きく異なります。
料理に合わせて上手に使い分けましょう。
豆知識
鶏肉や豚肉に比べると、牛肉のお値段は高め。
その理由は、他の肉より販売できる状態になるまで
育てる期間が長いから。
鶏肉は約2ヶ月、豚肉は約半年、
牛肉は約2年かかるといわれています。
また1頭あたり必要な飼料の量も多いのです。
主な部位
肩
肩の部位。
よく動く部分のため筋肉質で、脂肪は少なく赤身が多いです。
ややかためですが、肉の風味が濃厚。
コラーゲンや旨味成分がたっぷり含まれているので、
シチューやスープなどの煮込み料理におすすめです。
肩ロース
肩の背中よりの部位。
赤身の中に脂肪が適度に入っています。
牛肉らしい美味しさがあり、幅広い料理に合います。
薄切りにすることで旨味を引き出せるので、すき焼きや焼肉に。
サーロイン
腰の上部の部位。
赤身の間に細かな筋状の脂「サシ(霜降り)」を含みます。
きめが細かくやわらかいので、ステーキに最適です。
ヒレ
サーロインの内側にある貴重部位。
「フィレ」とも呼ばれ、サーロインと並ぶ高級部位です。
最もやわらかく、脂肪が少ないので、
ステーキやローストビーフ、ビーフカツなど、
焼いたり揚げたりする料理におすすめです。
加熱しすぎるとかたくなるので注意しましょう。
ちなみに、ヒレのなかでもとくに脂肪の少ない中央部分は
「シャトーブリアン」と呼ばれ、幻の部位ともいわれています。
ランプ
腰からももにかけての部位。
脂身は少ない赤身肉で、やわらかく、あっさりといただけるので、
たたきや焼肉、ステーキなどさまざまな料理に合います。
もも・外もも
後足のつけ根の部位。
赤身が中心で脂肪が少ないので、お好みで焼肉などに。
また大きなかたまりでとれるので、ステーキにもおすすめ。
外ももはかためできめが粗いので、
薄切りにして炒め物や挽き肉に。
バラ
あばら骨についている部位。
キメは粗くかためで、赤身と脂肪が層になっています。
濃厚な風味を活かして、焼肉やすき焼き、
煮込み料理に幅広く使えます。
ちなみに焼肉屋で「カルビ」という言葉をよく耳にしますが、
カルビとは朝鮮語であばらを意味する言葉。
つまり、あばらの周りについている肉「バラ」を焼肉用に切ったものを
カルビと呼ぶことが多いようです(店により異なります)。
栄養
動物性タンパク質が豊富で、
筋肉をつくり代謝を上げる効果が期待できます。
カロリーが気になる人は、脂を多く含むサーロインやバラは避け、
ももなどの赤身が多い部位を選ぶといいでしょう。
また肉の中でも鉄分の量が圧倒的に豊富で、
とくに赤身が多いももに多く含まれます。
鉄分の吸収を進めるビタミンCを含む
ブロッコリーやほうれんそうなどと一緒に食べるとさらに効果的です。
造血に必要なビタミンB6、B12も多く、
貧血の予防や疲労・倦怠感の改善にも。
細胞の修復を助けたり、新陳代謝を促す亜鉛も豊富で、
とりわけもも肉、肩ロースに多く含まれます。
選び方
弾力があり、瑞々しい光沢があるもの、鮮やかな赤色のものを選びます。
ドリップ(赤い肉汁)が溜まっているものは避けましょう。
主な切り方・下ごしらえ
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ステーキなど1枚まるごと肉を使うときの
反り防止や食感をよくするために
豆知識
豚肉は絶対に中まで十分に火を通さないとダメ! とよくいいますが、牛肉はレアステーキ(中心部分まで55~65℃で火を通した状態)でも食べることができます。
その理由は、牛肉は飼育環境および生体そのものの性質から、肉の中心部は無菌で、表面にだけ菌が付着するから。
外側はしっかり焼いて、菌を死滅させることが重要です。
ただし、食中毒菌は時間とともに内側に浸透していくので、子どもや高齢者などはしっかりと火を通して食べた方がいいでしょう。
また、ミンチなどの加工肉や成形肉は内部まで菌がいる可能性があるため、必ず中まで加熱してください。
保存方法
常温:×
冷蔵:○
冷凍:○
すぐに使う場合は冷蔵で、
使わない場合は、冷凍保存がおすすめです。
生のまま使う量ごとに分けて、乾燥を防ぐためにラップでしっかりと包み、
金属製のトレイなどにのせて急速冷凍します。
氷水にくぐらせてから包んで冷凍すると、
表面に酸化防止の膜ができて、乾燥しにくくなります。
新鮮なうちに冷凍すれば、1ヵ月程度は美味しくいただけます。
長く保存すると、表面から水分が蒸発し、
脂肪が酸化する「冷凍焼け」が発生してしまいます。
使うときは冷蔵庫に移して、自然解凍しましょう。